二人目の妹は入学すら出来ませんでした 作:スパイラル大沼
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次の日の放課後。あたしは学校の帰り道にゲーセンに立ち寄った。音ゲーのイベントがあるからだ。
「ふんふふーん♪」
鼻歌なんて歌いながらウィーンッと自動ドアの向こう側へ。そして、ゲームの前に立った。さて、やりますか!
*
フィー疲れた……。hardでフルコンを三回連続。あー疲れた、としか言えない。なんか兄ちゃんは『遅くなる』ってメールだけ来たし。しばらくはここにいて平気かな、さて、もう1ゲームと思った時だ。後ろからトントンと肩を叩かれた。振り返ると、雫ちゃんとほのかちゃんが立っている。
「こんにちは」
「し、雫ちゃん!結婚しよう!」
「無理。それより何してるの?」
「音ゲーだよ。雫ちゃん達は?」
「ここの前通ったら、中で見えたから」
「そっかー。あ、雫ちゃんもやる?ほのかちゃんも!」
「うーん、どうしよっか?」
「私はやってもいいよ?」
「じゃあやろっか!」
そのまま音ゲーコーナーへ足を運ぶ。
「でも、色々あるけどどれにするの?」
「どれでもいいよ!どうせあたしは負けないし!」
すると、ムッとする雫ちゃん。よし、掛かった。
「いいよ。絶対負けない」
「じゃ、あれやろう!」
あたしが指差したのはグルコス。ここはそんなに大きいゲーセンじゃないからどのゲームも2台ずつしかないんだよなぁ。
「うん。やろう。負けない。ルールを聞こうか」
「ルールもわからないのに負けないとか言ってたの⁉︎(可愛い!)よし、じゃあちょっと待ってて」
あたしはほのかちゃんの隣に行った。
「この携帯でさ、ゲームやってる雫ちゃんのどうが撮ってくれるかな?」
「ふえ?なんで?」
「可愛いじゃん。ぐへへっ……」
「(このヒト、ほんとに大丈夫なのかな……)う、うん。分かった……」
「やったぜ☆ さて、じゃあ始めようか!」
まずはチュートリアル。最初の方のあのヌルい奴を完璧に終わらす雫ちゃん。
「…………余裕!」
雫ちゃんはキメ顔でそう言った。なにこの子可愛い結婚したい。
「じゃ、やろっか。曲は選んでいいから」
「その余裕、腹立つ」
そんなわけで、いざゲーム開始。あたしは横で雫ちゃんを見ながらゲームする。最初は余裕の表情、だが、段々と雲行きが怪しくなる。画面ではまったく追いつけていない。で、とうとう手がピクリとも動かなくなった。つーか、この子音ゲーヘッタクソだなー。
「ムズイ……」
あ、この苦戦してる顔可愛い。思わずヨダレが垂れちまったぜ……。あ、泣きそ。そのままゲームは続き、あたしはフルコン、雫ちゃんはクリアラインにすら届かなかった。
「むぅ………」
「大丈夫だよ、あと二回出来るから」
とは言ったものの、出来ない人にとっては地獄でしかないはずだ。思わずニヤニヤしてしまう。すると、ふとこっちを見る雫ちゃん。
「………意地悪」
「えっ?」
「私が出来ないところ見て、楽しそうにしてた」
「そんな事ないよ‼︎」
あたしの大声にビクッとする雫ちゃん。大声出してしまったのは申し訳ないけど、訂正しなければならない事はある。
「あたしは、追い詰められて泣きそうな雫ちゃんにハァハァしてただけだよ!」
「なおさら悪いよ!」
なんてやり取りはともかく、なんとか許してもらえた。そのまま三人でゲーセンを巡り、気が付けばいい時間になっていた。
「そろそろ帰ろっかー」
「そうだね。帰ろう」
そのままゲーセンを出た時だ。
「光井さん、北山さん!」
振り返ると、一高の生徒がいる。
「あ、森崎くん」
「どうしたのこんな所で」
「2人こそ。ゲーセンなんて行くタイプに見えなかったけど……」
「この人とたまたま会ってね。みんなで遊んでたんだー」
ほのかちゃんはたしを指差す。と、思ったらあたしを見るなりなぜか顔を赤らめる森崎クン。
「って、み、深雪さん⁉︎今日は生徒会に呼ばれてるんじゃ……」
「や、あたし妹だよ。双子の」
「ふ、双子……?」
「おかしいなぁ…あー、まぁ最近染めてた髪色落ちして来てたっけ……それでも他校の制服のはずなんだけど」
「も、申し訳ありません」
「いやいや、気にしないで。あたしは美雨。よろしくね」
「………………」
「? なに?」
「な、なんでもありません!」
なんかジッと見られてた。顔赤らめて。あ、この人深雪が好きなのかな?それともあたしが好きなのかな。どっちでもいいけど。あたしにはもう心に決めた人がいるもん。雫ちゃんっていう。
「じゃ、あたしそろそろ帰るから。またね」
「うん」
「じゃあね」
「お、お疲れ様です!」
そのまま三人と別れた。うん、今日は楽しかったかな。
*
家に到着。中にはすでに兄ちゃんと深雪がいた。深雪はコーヒーを淹れていて、兄ちゃんはソファーで寛いでいる。
「ただいまー」
「おかえり。どこに行ってたんだ?」
「雫ちゃんとほのかちゃんと三角関係デート」
「出掛けてたのか。まぁ友人が出来たようで何よりだ」
「なんかパパみたいだね。兄ちゃん」
「そんな歳じゃないんだがな……まぁいい。仲良くやれよ」
「美雨、コーヒー飲む?」
「うん!砂糖と牛乳入れて。で、兄ちゃんはそっちどうなの?」
あたしは聞きながら兄ちゃんの隣に座った。
「あー……俺はなぁ……」
「なになに?なんかあったの⁉︎」
「や、あのな……」
そこで、あたし達の机の前にダンッ!とカップが置かれた。
「コーヒーがはいりました」
ニコリと笑う深雪。
「なんだよこのクソブラコン。制服濡れちゃったじゃん」
「そうだ。制服にシワが着く、着替えてきなさい」
「はーい」
兄ちゃんに言われたので、コーヒーを一口だけ飲んで自室へ。着替えて、ベッドにダイブした。そのまま上に転がってるvitaの電源をつけた。二つ。
「さて、やりますか……」
プレイヤー名:シルバー
プレイヤー名:ホーン
*
「んーーーッッ‼︎」
あたしは大きく伸びをした。まっさか、四人パーティ×5に待ち伏せて襲われると思わなかったなぁー。まぁ勝ったけど。ちなみにシルバーホーンは兄ちゃんの別名だ。あたしのこのキャラのお陰で、シルバーホーンはゲーム内でも伝説になっている。
「そういえばコーヒー残してたわ」
取りに行こうとリビングに向かう途中だ。兄ちゃんの部屋の灯りがついてるのに気付いた。チラッと中を覗くと、
「お兄様、ずるいです……」
「深雪っ?」
「深雪はそんなに恥ずかしい思いをしておりますのに、お兄様はいつも平気な顔……」
「いや、深雪、あのな?」
「それともわたしでは、異性の内に入りませんか?」
「入ったらまずいだろう!」
パシャっ
あたしは下着姿で兄ちゃんにあすなろ抱きしてる深雪を写真撮った。その瞬間、こっちを振り向く2人。が、すぐに顔を真っ赤にする深雪。
「あっ……あっ……あぁっ……」
「………………」
急いで襲い掛かってくる深雪。慌てているのか体術で来るが、あたしに殴り合いで勝てる人類なんて限られてる。人差し指でデコピンして気絶させた。そのまま下着の深雪を担ぐ。
「お前……加減しろよ。と、言いたいところだが、正直助かった。美雨」
「この写真、あげよっか?」
「馬鹿言うな」
その時だ。あたしの下半身が凍っていた。
「げっ……」
「まだ、私の意識を奪えてないわよ?」
やべっ…浅かったか……と、思ったら深雪は兄ちゃんの方も睨む。
「お兄様も、助かったとはどういう意味ですか?」
「や、それはだな。うん、えと……あれ、なんだっけ……」
「お二人共、お仕置きです」
深雪さんマジ怖いです。