SUBARU(スバル)は23日、国内唯一の完成車工場である群馬製作所(群馬県太田市)の稼働を16日から停止していると発表した。主要部品の一部に不具合が見つかったが、対策部品を準備できたため、28日にも再開できる見通し。出荷済みの一部の車にも原因の部品が搭載された可能性があることからリコール(回収・無償修理)も検討する。
不具合のあった部品はハンドルと車輪の動きを電動で制御する電動パワーステアリング。軽い力でハンドル操作できるように補助する機能がある。走行中やエンジンをかけた時点でメーター内の警告灯が点滅し、ハンドルが重くなるという。
問題の部品が搭載されたのは多目的スポーツ車(SUV)の「フォレスター」や「XV」、小型車「インプレッサ」の3車種。2018年12月下旬から19年1月16日までに生産された車に組み込まれ、一部は出荷された可能性がある。
スバルの工場では複数車種を同じ生産ラインに流す「混流」方式を採用しているため、一部の車の生産を止めると連鎖的に他の車種の生産も止まってしまう。1日あたり約2600台を生産しており、28日までの停止で2万台以上に影響が及ぶ恐れも出てきた。
問題の部品は日立製作所子会社の日立オートモティブシステムズが製造した。スバルは「詳しい故障の原因は調査中」としているほか、日立オートモティブシステムズは「組み立て時の衝撃を受けて壊れた可能性は低い」という。電動パワステの電子基板の一部部品が故障していたとみられる。
スバルは独自の「水平対向エンジン」を採用したことで車軸などのレイアウトが一般的な車と違い、電動パワステも特注品を使っていた。代替製品に切り替えるにも設計からやり直さねばならず、原因を突き止めて対策を講じた方が早期に対応できると判断した。
17年秋から続く品質不正の現場となった完成車の検査部門でも見破れず、出荷後の性能検査で発覚したとされる。問題の部品を搭載した「フォレスター」など3車種について、リコールするか、現在、スバルで検討している。
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