今日は「歯・口腔の健康と予防に関わる人間と社会の仕組み(後編)」です。
保健指導や保険の制度など、暗記することが多い分野ですので、しっかり意味を理解するようにしておきましょう!
※出題形式の都合上、解答方法を変更している問題があります。ご了承ください。
解説はこの記事の、問題の下にありますので、解き終わったら復習に役立ててくださいね。
歯・口腔の健康と予防に関わる人間と社会の仕組み(後編)
歯科に関する統計や社会福祉制度、地域の歯科保健活動に関する問題を出題します。
解説
今日の問題の解答と解説です。
間違えたところ以外も読み込んでみてください。
OHIのDebris ScoreとCalculus Scoreを表に示す。
OHIはどれか。
答え:3.5
OHIは口腔衛生状態の評価に用い、歯面に付着しているプラークと歯石の付着・沈着面積をそれぞれ、0~3の4段階で評価する。
口腔内を上の図のように6分割し、さらに頬側と舌側に分け、1区分の頬側・舌側それぞれの最も高い値を示す歯を選び計算する。
OHIのスコアは、DI(Debris Index)=(DSの合計)/(被検区分数)と、CI(Calculus Index)=(CSの合計)/(被検区分数)の合計で、最小値は0、最大値は12となる。
設問では、スコアの集計は図の通りとなり、DI=15/6、CI=6/6で、OHI=3.5である。
(第26回 午後21)
DMFとは永久歯列におけるう蝕の( )を表す
答え:経験
DMFは永久歯のう蝕経験を示す。
Dは未処置歯(decayed teeth)、Mはう蝕による喪失歯(missing teeth)、Fは処置歯(filled teeth)を示し、乳歯はそれぞれ小文字で示す。
未処置歯だけでなく、治療済みの歯やう蝕により喪失した歯もカウントし、う蝕の経験の程度を数値化して表すものである。
(第27回 午後20)
健康日本21(第二次)において、健康寿命とは「健康上の問題で( )が制限されることなく生活できる期間をいう」とされた
答え:日常生活
2013年4月に国民の健康づくり対策を進めるため、「21世紀における第二次国民健康づくり運動〔健康日本21(第二次)〕」が開始され、基本的な方向の1つとして、「健康寿命の延伸と健康格差の縮小」が掲げられた。
健康寿命は、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」であり、健康格差は、「地域や社会経済状況の違いによる集団における健康状態の差」とされた。
健康寿命は、健康日本21(第二次)策定時(2010年のデータを使用)は男性70.42年、女性73.62年であったが、直近値(2016年)では、男性72.14年、女性74.79年となり延伸傾向にある。
(第27回 午後24)
人口動態統計において、1人の女子が15~49歳の間に産む子供の数を示す指標はどれか
答え:合計特殊出生率
1人の女子が15~49歳の間に産む子供の数を示す指標は合計特殊出生率であり、2015年では1.45である。
出生率は、人口千人あたりの年間出生数をいい、2015年では8.0である。
総再生産率は合計特殊出生率のうち生まれた子供を女児に限った場合の値を示し、純再生産率は、総再生産率のうち、生まれた女児が妊娠可能な年齢を過ぎるまでの死亡を見込んだ値を示す。
2015年では、総再生産率0.71、純再生産率0.70である。
この純再生産率が1(合計特殊出生率では2.1程度)以上であれば将来人口は増加し、1を下回ると減少する。
(第27回 午後25)
就学時の健康診断を実施する主体はどれか
答え:市町村教育委員会
学校保健における健康診断は、学校保健安全法に基づき、
(1)就学時の健康診断
(2)児童生徒等の定期・臨時の健康診断
(3)職員の定期・臨時の健康診断
がある。
(1)は、市町村教育委員会が就学4か月前(前年11月30日)までに実施する。
(2)は学校において、定期健康診断は毎年6月30日までに実施し、臨時健康診断は特に必要と認めるときに実施する。
(3)については学校措置者が、定期健康診断は毎学年適切な時期に実施し、臨時健康診断は特に必要と認めるときに実施する。
なお、学校設置者とは、国、地方公共団体または学校法人のことを指し、たとえば公立学校の場合は地方公共団体になるが、この職務の権限は地方公共団体の長(市町村長、都道府県知事)ではなく、教育委員会に委任されている。
また、学校保健委員会は、学校における健康の問題を研究・協議する組織であり、学校長・保健主事・養護教諭などの常勤職員、学校医などの非常勤職員、PTA役員などの保護者代表、地域保健関係機関、児童生徒の代表などから構成される。
(第27回 午後29)
歯科衛生士の業務として正しいのはどれか
答え:小窩裂溝填塞
歯科衛生士の業務は歯科衛生士法に規定されているが、歯科診療補助の範囲は法律上の明確な規定がなく、過去の判例や行政解釈により個別に判断する。
また、歯科医師が行わなければ衛生上危害を生ずるおそれのある行為を絶対的歯科医行為とし、それ以外の行為を相対的歯科医行為として区分する考え方もある。
小窩裂溝填塞は歯科衛生士の業務の範囲であり、義歯調整とブラケットの装着は、絶対的歯科医行為に該当するとされる。
フッ化物洗口剤などの薬剤の処方は、医師法や歯科医師法に基づき、医師や歯科医師が交付することから、歯科衛生士の業務ではない。
なお、歯科医師の指示を受けずに、歯科衛生士が医薬品を授与したり、指示したりすることは歯科衛生士法で禁止されている。
(第27回 午前28)
歯科診療所で患者に交付されるのはどれか、正しい組み合わせをえらべ
a.診断書
b.処方せん
c.業務記録
d.技工指示書
答え:a,b
歯科医師法において、歯科医師は患者の求めに応じた診断書(死亡診断書を含む)を交付する義務があり、また、必要に応じて患者に処方せんを交付する義務があることが規定されている。
歯科衛生士業務記録は、歯科衛生士が業務を行った場合に、その記録を作成・保存することが歯科衛生士法施行規則で規定されているが、患者への交付は目的としていない。
歯科技工指示書は、歯科技工士法に基づき、歯科医師が歯科技工士(または歯科医師)に歯科技工の業務を依頼する際に、歯科医師の指示事項を記したものであり、患者への交付を目的としたものではない。
なお、病院内や診療所内の技工室において、歯科医師が歯科技工士などに直接指示できる場合には、歯科技工指示書はなくてもかまわない。
(第27回 午前29)
健康増進法に基づいて市町村が実施するのはどれか、正しい組み合わせをえらべ
a.健康教育
b.日常生活支援
c.生活機能評価
d.健康手帳の交付
答え:a,d
健康増進法に基づき市町村が実施する保健事業として、①生活習慣相談等と②健康増進事業とがある。
①では、健康手帳の交付、健康教育、健康相談、機能訓練、訪問指導、総合的な保健推進事業が、
②では、歯周疾患検診、骨粗鬆症検診、肝炎ウイルス検診、特定健康診査非対象者への健康診査、特定健康診査非対象者への保健指導、がん検診が定められている。
なお、介護保険法に基づき、2017年度からすべての市町村が介護予防・日常生活支援総合事業を実施することとなった。
生活機能評価は、要支援・要介護状態になるおそれのある高齢者を早期に把握することを目的として、介護保険法に基づき市町村が実施していたが、現在では任意実施となっている。
(第27回 午後22)
すべての年代が給付対象となるのはどれか
答え:医療保険
医療保険は、すべての国民がいずれかの公的な医療保険に加入することが義務づけられており、すべての者が給付対象となっている(国民皆保険制度)。
介護保険は、第1号被保険者(65歳以上)と第2号被保険者(40~65歳未満)のうち、要介護認定された者が介護給付または予防給付の対象となる。
雇用保険は、労働者を対象とし、失業時などの生活安定と再就職促進などについての給付を定めている。
労働者災害補償保険は、労働者を対象とし、業務上の災害・業務上の疾病の際の医療給付などについて定めている。
(第27回 午前30)
歯科衛生士が行う居宅療養管理指導で正しい組み合わせをえらべ
a.医療保険で実施する
b.居宅サービス計画に基づいて実施する
c.通院可能な患者も利用することができる
d.摂食嚥下機能に関する実施指導を行うことができる
答え:b,d
居宅介護療養指導は環境や身体的要因により通院することが困難な人を対象に医師、歯科医師、看護師、歯科衛生士など専門職が自宅を訪問し健康管理や指導を行う介護保険におけるサービスである。
要介護1~5に認定されている介護保険被保険者が居宅サービス計画に基づいて実施される。
歯科衛生士による管理指導では計画的な歯科医学管理を行っている医師、歯科医師の指示に基づき療養上必要な指導として、患者に適切な歯磨きの方法や義歯の清掃などの実施指導、摂食嚥下機能の保持や回復の重要性に関するアドバイスや指導を行う。
(第27回 午後87)