今日は「歯科保健指導(後編)・歯科診療補助論(前編)」です。

歯科保健指導分野では食生活指導、口腔機能管理、健康教育、

歯科診療補助論では、総論、主要歯科材料の種類と取扱い・管理について出題します。

※出題形式の都合上、解答方法を変更している問題があります。ご了承ください。

解説はこの記事の、問題の下にありますので、解き終わったら復習に役立ててくださいね。

歯科保健指導論(後編)・歯科診療補助論(前編)

ここでは、歯科保健指導論、歯科診療補助論の一部を出題します。

解説

解答と解説です。

間違っていたところ、悩んだところは特に、問題文と合わせて読み返してみてくださいね。

3歳の男児の保護者へ食生活指導を行うこととなった。
ある日の男児の食事記録を示す。
指導内容で適切なのはどれか、正しい組み合わせを選べ。

問1表
a.手づかみ食べを基本にする
b.間食の回数と量を制限する
c.朝昼夕の食事を基本に改善する
d.飲料をスポーツドリンクに変更する

答え:b,c

幼児期は乳児期に次いで、心身の成長の時期で、行動範囲も広がり、運動量も増えるので、食習慣の基礎作りとしての食事が重要であり、成長のために必要な栄養素と活動に見合ったエネルギーが必要である。
しかし、幼児は消化機能が未発達なため、3度の食事だけでは食事摂取基準を満たすことができない。
したがって、1日の摂取エネルギーの10~20%を、1日1~2回、時間と量を決めて間食にあてる。
たんぱく質、カルシウム、鉄分、ビタミン類などの補給に役立つものであることが望ましい。
また、砂糖含有量の多い間食や飲料は、う蝕の誘因となると同時に正しい食習慣を身につけることができなくなり、偏食の原因ともなる。
問題の症例である3歳男児への適切な指導内容は、朝昼夕の食事を基本に、間食の回数と量を制限することである。

3歳頃になると、手を使わなくてもスプーンなどで上手に食べられる子が増えてくる。

(第27回 午後89)

咀嚼機能で正しいのはどれか、正しい組み合わせを選べ。

a.胃腸の蠕動運動を活発化する
b.基本的機能は離乳期に獲得される
c.上下顎の蝶番運動によって営まれる
d.喪失歯の増加に伴い咀嚼能力は増大する

答え:a,b

咀嚼は胃腸の蠕動運動を活性化し、食物の消化・吸収を助け、咀嚼することをとおして血液循環をよくするなど、さまざまな働きをもっている。
また、咀嚼機能は乳汁を吸うことから食物をかみつぶして飲み込むことが始まる離乳期に基本的機能が獲得される。
なお、咀嚼は上下顎の蝶番運動と滑走運動などの顎関節の運動によって営まれる。
喪失歯の増加は咀嚼能力を減少させる。

(第27回 午後81)

ある事業所で40~50歳の特定保健指導の対象となった社員50名に対して、産業医の総評のあと、歯科衛生士が30分ほど講話をすることになった。
講話の内容として適切なのはどれか、正しい組み合わせを選べ。

a.低栄養の予防
b.定期的な歯科受診
c.サルコペニアの予防
d.歯周病と医科疾患の関連性

答え:b,d

特定保健指導の対象とは、特定健康診査の結果から生活習慣病の発症リスクが高く、生活習慣の改善により生活習慣病の予防が期待できる者である。
40~50歳は歯周病の羅患率が高いことから、歯周病が冠状動脈疾患、心内膜炎、糖尿病などの医科疾患と関連性があることや歯周病予防のための定期的な歯科受診を勧めることが適切な講話内容といえる。
低栄養の予防やサルコペニアの予防は高齢者や要介護者への講話内容である。

(第27回 午後79)

小学5年生のサッカー教室に通う25組の親子に対して、食育関連の話をすることになった。
対象者の特徴を示す。
歯科衛生士の講話として適切なのはどれか、正しい組み合わせを選べ。

問4
a.間食の選択
b.肥満と食事内容
c.軟性食材と仕上げ磨き
d.口腔状況とよく噛むことの必要性

答え:a,d

対象者の食習慣には、菓子パン、スナック菓子などの高カロリーで糖質が多く、スポーツドリンクも糖分が多い飲み物であり、夕食に影響を与えることが考えられる。
また、朝食の欠食も多いことから、適切な間食を選択できるような内容が必要となる。
口腔内の状況から、側方歯群の交換期で、未萌出歯も多い時期である。
咀嚼が十分に行われていないことを伝え、口腔の状況を理解しよく噛むことを伝える必要がある。

ローレル指数〔学童の肥満度を表す指標:体重(kg)/身長(cm)³×10⁷〕の平均は標準であり、講話に肥満をとりあげるのは適切とはいえない。
軟性食材と仕上げ磨きについては、対象者の特徴から軟性食材の摂取は把握できない。また、小学校5年生は本人の歯磨き習慣づくりが確立する時期であり、仕上げ磨きの必要はない。

(第27回 午前89)

歯科用ユニットのエアコンプレッサーで正しいのはどれか、正しい組み合わせを選べ。

a.作動音は小さい
b.電源は常に入れておく
c.水抜きバルブが設けられている
d.エアタービンハンドピースの動力源となる

答え:c,d

エアコンプレッサーは、空気を圧縮して溜めて排出することでエアタービンハンドピースの動力源やスリーウェイシリンジから噴出する圧搾空気を提供している機器で、診療の開始前に電源を入れ、診療終了後には電源を切る。
使用後は、空気タンク内の水分を抜くために水抜きバルブを開いておく。
また、モーターで作動しているため、作動音が大きく、診療室外に設置されていることが多い。

(第27回 午前97)

擦式手指消毒の手順で最初に行うのはどれか

答え:手掌

手指衛生(手指消毒)は、歯科医療従事者の手指を介して病原体を伝播・拡散させないことや歯科医療従事者自身を病原体から守るための感染予防の基本的手段である。
擦式手指消毒の手順は、
手掌をこする→手の甲を反対の手掌でこする→指を組んで手掌をこする→指の背を反対の手掌でこする→拇指(親指)を握り回転させてこする→指先、爪の間を反対の手掌の上でこする→手首を洗う
以上を速乾性擦式消毒薬(アルコール製剤等)が乾燥するまで行う。

(第27回 午前96)

滅菌法の特徴で正しいのはどれか

答え:高圧蒸気滅菌の滅菌温度は121~134℃である

滅菌とは、芽胞、ウイルスを含むすべての微生物を確実に死滅させ、無菌性保証水準を10⁻⁶レベルに達した状態にすることである。
対象物により滅菌法を選択する。
高圧蒸気滅菌は、滅菌温度121~134℃、時間10~50分で毒性はない。
適用は、歯科用器材、金属製器材、リネン類、ガーゼ、ガラス製品などである。
低温プラズマ滅菌は、滅菌温度45℃、滅菌時間75分、毒性はない。
適用は、歯科用器材、繊維製品や液体を除き広範囲である。
EOG(エチレンオキサイドガス)滅菌は、滅菌温度40~60℃、滅菌時間2~24時間で残留毒性があるためエアレーション(空気置換)が必要である。
専用のエアレーター内で行われ、50℃で12時間、60℃で8時間、室温で7日間要する。
適用は、歯科用器材、金属製器材、プラスチック製品、ガラス製品である。
低温蒸気ホルムアルデヒド(LTSF)滅菌は、滅菌温度50~80℃、滅菌時間約4時間、毒性はない。
適用は、歯科用器材であり、リネン、ガーゼ類、スポンジ類は適さない。

(第27回 午後98)

支台歯が生活歯である場合、ブリッジを仮着するのに用いるのはどれか

答え:酸化亜鉛ユージノールセメント

完成したブリッジは、口腔内での調整後に合着されるが、仮着を行って経過をみる場合もある。
ブリッジを仮着する際、支台歯が生活歯の場合に必要な要件はブリッジを容易に外せることと、歯髄に対する刺激性がないことである。
仮着材にはユージノール系、非ユージノール系、カルボン酸系があり、ユージノール系には歯髄鎮静作用がある。
酸化亜鉛ユージノールセメントはユージノール系の仮封・仮着材である。
リン酸亜鉛セメントは合着に、接着性レジンセメントは接着に、グラスアイオノマーセメントは合着・裏層に主として使用される。

(第27回 午前45)

セルフエッチングプライマーに含まれるのはどれか

答え:接着性モノマー

セルフエッチングプライマーは、ツーステップシステムに用いられる。
プライマー中に酸性のレジンモノマーを配合し、歯質のエッチングと象牙質のプライミングを同時に行う、セルフエッチングプライミングシステムである。
含まれるのは、接着性モノマーである。
フィラーは、コンポジットレジンに含まれ、機械的強度や耐摩耗性の向上・重合収縮の減少・熱膨張率の低減化・吸水膨張の低下などの役割をもつ。
カンファーキノンは、光重合型コンポジットレジンに含まれる重合開始剤である。
過酸化ベンゾイルは化学重合型コンポジットレジンに含まれる重合開始剤である。

(第27回 午前38)

根管治療終了時にストッピングの準備を指示された。
ストッピングキャリアの過熱を行っている写真を示す。
正しいのはどれか。

問10

答え:④

写真はガスバーナーでストッピングキャリアを加熱し、キャリア内に挿入したテンポラリーストッピングを軟化しているところである。
ストッピングキャリアは金属製で熱伝導がよいため、粘膜保護の目的でカバー(黒色のラバー部分)が付いている。
加熱する際は、カバーを上方へスライドさせストッピングキャリアの屈曲部分(金属)を加熱する。
①はカバーをスライドさせておらず、ストッピングキャリアの先端を加熱している。
②は屈曲部分より上方を加熱しており、ストッピングが十分軟化しない。
③は加熱している部分がストッピングキャリアの把柄部である。
④はカバーをスライドさせ屈曲部分を適切に加熱している。

(第27回 午後102)