魔法科高校の劣等生~双子の運命~【本編完結】   作:ジーザス
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達也と深雪に兄妹がいる設定の小説が数多くあったので自分も書いてみようと思いました。


プロローグ
第一話 再会①


「あなたには第一高校に進学してもらいます」

 

そう言う女性は今の日本の魔法師社会を束ねる十師族のうちの一家、四葉家現当主の四葉真夜(よつばまや)だ。

 

現十師族の中で最も優秀だと言われている二つの家系のうちの一つで「極東の魔王」や「夜の女王」という異名を持ち当代最強と称される魔法師である。

 

実年齢は四十五歳なのだが外見は三十すぎにしか見えず大人の女性の美しさをしており異性を引き付ける魅力がある。

 

ここは真夜のプライベートスペースで執事序列一位の葉山忠敬(はやまただのり)と家具と機械のメンテナンス業者以外は入ることのできない場所だ。

 

何故そんなところに俺がいるのかというとそれは出生に関係がある。だが今は当主の話を聞くことが先である。

 

「文句を言うつもりはありませんが何故第一高校に進学させたいのかお聞きしてもよろしいですか?」

 

俺に反発する気はない。というよりしようと思えない。なぜなら四葉家の恐ろしさを身をもって知っているから。

 

「あなたなら理由を説明しなくてもわかっていると思うのだけれど…」

「達也と深雪に向けられる注意を分散させるためですね?」

 

意味ありげに笑みを浮かべる叔母に対して俺が自分なりの回答をすると満点とでもいうようにうなずいた。

 

「達也さんと深雪さんの家に住んでもらいます。近くにいた方が何かと対処しやすいでしょうしあなたの固有魔法なら二人の心も安らげることができるでしょうから」

 

俺が持つ四つの固有魔法のうちの一つが『回復(ヒール)』だ。俺の想子(サイオン)が枯渇、簡単に言うと死ぬまで作用する魔法で怪我した部位が完治していれば問題はないのだが途中までしか治っていないときは怪我をした状態に逆戻りしてしまう副作用がある。

 

『回復』の派生形である「癒し」はある程度のストレスを和らげ感情をある程度コントロールすることができる。これは対象者と自分の信頼関係がなければ成り立たない魔法で信頼が高いほど効果は強い。

 

逆に自分が敵と認識したり相手から明確な敵意(憎悪など)を向けるものに対しては苦痛として相手に与えることができ精神干渉魔法に分類されている。

 

「二人には私から伝えますのであなたはメイドと一緒に引っ越し準備をしておきなさい四日後に出発予定です」

 

それだけ言うと話はこれでお終いとでもいうように紅茶を口にした。

 

俺は二人とまた会えることをうれしく思った。

 

一緒に暮らせるし学校にも通うことができるので踊り出したくなるほど嬉しかった。

 

俺は葉山さんにお礼を言ってから部屋を出た。

 

 

 

葉山が新しい紅茶を目の前に置くのを待ち真夜は一口含むと葉山に尋ねた。

 

「葉山さん、言いたいことがあるなら言っても構いませんよ?」

 

「僭越ながら。奥様、あの三人を一緒にされてよろしいのですか?揃えばわが四葉家でも対抗するのは難しいと思いますが」

 

葉山は心配なようだあの三人が四葉家を裏切るかもしれないと。

 

「気にしなくても大丈夫よ葉山さん。達也さんは深雪さんと彼がいれば問題を起こさないし深雪さんは達也さんと彼がいれば暴走しないから」

 

真夜の言葉に納得したかのように一礼して退出した。

 

 

 

真夜は一人になると背伸びをした。大人の女性としては少々はしたない行為だがたまには目をつぶってもらおう。

 

「あの三人が一緒の学校に通っていたらよくないことが起きそうだけどしょうがないわよね達也さんはトラブルを引き寄せてしまうもの。彼が望んだことではないのだけどやっぱり私と姉さんのせいかしらね」

 

独り言をつぶやいた後真夜は翌日達也と深雪の家に連絡を取るために就寝することにした。

 

 

 

昼頃、深雪は入学筆記試験の勉強をしていたがなかなか問題が解けないので憂鬱になっていた。こういうときは勉強のできる兄がうらやましい。

 

説明してもらおうと立ち上がると電話の呼び出し音が鳴り深雪は電話にかけより応対した。

 

「はい、司波です」

『ごきげんよう深雪さん。今大丈夫かしら?』

 

自分たちの母親である故人司波深夜(しばみや)旧姓四葉深夜の双子の妹である叔母の四葉真夜からであった。

 

「ご無沙汰しております叔母様、もちろん大丈夫です。今出ますので」

『あせらなくてもいいわよ。達也さんにも話しておきたいから一緒にでてもらえるかしら?準備ができたらまた電話してね』

 

それだけ言うと電話は切れた。

 

{自分だけでなく兄にまで話しておきたいこととはよほどのことなのでしょうか?}

 

そんなことを考えていたが早くしたほうがいいので兄を呼びに行った。

 

兄は休日のほとんどの時間を地下の施設でCAD(術式補助演算機)の調整をして過ごしている。

 

「達也お兄様、深雪です入ってもよろしいですか?」

 

問いかけると中から「いいよ」と兄が返答した。自動扉を抜けると上半身をこちらに向けている兄がいた。

 

「どうした深雪?勉強してたんじゃないのか?」

 

心配をしてくれることにうれしく思いながらも用件を伝えた。

 

「していたのですが叔母様から電話をいただいたのでお伝えしに来ました」

「どんな内容だったんだ?」

 

叔母から連絡があるのは重要なことを伝えるときだけだ。様子を聞くことなどそうそうない。

 

「それが…お兄様にもお伝えしたいとおっしゃいまして折り返しで連絡してほしいそうです」

 

困惑しながら深雪は内容を伝え達也も少なからず動揺しているようだ。

 

{叔母上が俺にも話したいことか…。やっかいなことでなければいいが…}

 

そこまで考えて深雪にお願いした。

 

「わかった。すぐ行くからさきに準備しておいてくれ」

「はい!」

 

と深雪は答えてリビングに向かった。俺はさきほど開いていたファイルを保存しCAD調整機の電源を落として深雪の後を追った。

 

 

 

リビングに着くとちょうど深雪が電話をかけているところで数回コール音が鳴ると真夜が出た。

 

『折り返しありがとう深雪さん。達也さんも久しぶりね』

「…お久しぶりです叔母上」

 

相変わらず年相応の外見をしていないので少し反応が遅れるが気になるほどの間をおかずに返答できた。

 

「ところで叔母上今日は一体どんな御用で?二ヶ月前にお会いしたばかりなので様子見ということではないでしょう」

『まあ、達也さんそんなにせっかちだと深雪さん以外に近寄ってくれる女性がいなくなりますよ?』

 

とクスクスと笑いながら答えた。あながち冗談に聞こえなかったのでどう反応したらいいのか達也にはわからなかった。

 

深雪は頬を軽く赤く染めてはいるが少なからず嬉しそうだった。

 

『今回お電話したのはほかでもありません克也(かつや)と一緒に第一高校に入学してほしいんです』

 

真夜からお願いが来るとは思ってなかった。しかも克也と生活してほしいそうだ。

 

「「克也(お兄様)とですか!?」」

 

俺と深雪は同時に発言した。

 

『ええ、そうよ。克也もあなたたちに会いたそうにしていましたからよい機会でしょう。戦闘にはあまり適していませんがとしては最適なはずですよ?』

 

ウインクを最後につけながら言ってきた。

 

「よろこんで迎えますよ俺も会いたいですから」

 

達也の中に残っているわずかな感情がうずく。

 

『そう言ってくれると思っていましたけど安心しました。名義は私の息子四葉克也として学校には提出します。住所はあなたたちと同じです。関係性として幼馴染ではどうですか?親の仕事の事情で仲良くしていたというような感じで接してあげてください』

 

同じ家に四葉家の名前があれば四葉家の関係者と思われてしまうので肩書は必須だ。今さら嘘が一つや二つ増えたところで変わらない。

 

俺たち兄妹の個人情報はもともと嘘で真っ赤に染まっている。

 

親の仕事の都合というのもあながち間違っているわけではない自分たちの父親は四葉家のある意味関係者なのだから。

 

『三日後に到着すると思いますのでよろしくお願いします』

 

それだけ言うと真夜とのテレビ電話は切れしばらくして深雪がうれしそうに聞いてきた。

 

「克也お兄様と一緒に生活することができるのですね!?私はうれしいです!」

「俺もだよ深雪。克也とまた暮らせるとは思わなかった」

 

達也に残っている感情「家族愛(深雪と克也のみ)」が膨らむ。

 

「深雪、克也が来た時に喜んでもらえるように部屋を掃除しよう」

 

そう提案すると深雪は鼻歌を歌いながら空き室の掃除をしに行った。

 

{また一緒に暮らせるようになるとはな。少し波乱な高校生活になりそうだが補って余りあるぐらい楽しいことになりそうだ}

 

そう思いながら深雪の手伝いをするために空き室に向かった。

 




一話をお読みのみなさまありがとうございますどしどし更新していくのでお願いします。
かっちゃん、たっちゃんと呼べますが原作とは何も関係ありませんww。



四葉克也(よつばかつや)・・今作の主人公。達也の双子の兄。事情で別々に生活していたが高校進学を理由に同棲を始める。魔法知識も豊富で魔法力も非常に高い。達也よりはましだが深雪に対する想いはかなりある。固有魔法を四つ持っている。

司波達也(しばたつや)・・克也の双子の弟。魔法実技に難点があるがそれを補って余りある能力がある。重度のシスコン。

司波深雪(しばみゆき)・・克也と達也の妹。可憐な容姿で年齢男女関わらず魅了する。重度のブラコン。

四葉真夜(よつばまや)・・十師族の一員である四葉家の現当主で克也たちの叔母。年齢に似合わない容姿をしている。




回復(ヒール)・・克也の持つ4つの固有魔法のうちの1つで傷を癒す力能力ある。

癒し・・克也が使う固有魔法「回復(ヒール)」の派生形。対象者の感情をコントロールし精神的なものもかいふくさせることが出来る。





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