気負いは感じられなかった。1977年に調教師免許を取得し、翌年に開業した中村師。その40年を超える長いキャリアが、3重賞を前にしても平常心で臨む重要性を教えてくれる。
     「これまでも精いっぱいやってきたしね。最後だからと欲がないのがいいのかもしれない。今週も地方交流を勝てたしね。よく無欲の勝利って言うでしょ」。23日に園田競馬でマイネルジェンマがV。今年に入って中央でも既に2勝を挙げる。2月末の定年まで、これまで通りに管理馬と誠実に向き合い、一つでも多くの“無欲の勝利”を積み重ねたいところだ。
     3重賞で最もチャンスが大きいのは、前走の淀短距離Sを勝ち、シルクロードSに挑戦するナインテイルズだろう。「8歳にして生涯最高の出来だと思う。前走は正直、状態は良くなかったし、いつもの切れ味ではなかった。そこから体も締まったしね」と楽しみは大きい。根岸Sは昇級戦のヤマニンアンプリメ。「今までにないくらい出来はいい。モーニンやコパノキッキングとも差のない競馬をしているし、人気はないけど、面白い」と色気は十分だ。愛知杯のキンショーユキヒメは「ここ一本で調整してきたけど、まだもうひとつかな。けど、中京は相性もいいので」と4戦2勝の舞台で改めて期待。個性派3頭で、自らの調教師人生に新たなタイトルを刻む。