教室内の空気が凍る中、それも達也ですら顔を苦々しくしている空気の中、大輝は何食わぬ顔で言った。
「彼女だけど?」
直後、レオ、幹比古、エリカからそれぞれ、拳、足、大蛇丸が飛んで来た。
「ってあぶねぇな‼︎特に赤髪!刀とか正気かお前⁉︎」
「それはこっちの台詞よボケナス‼︎あんたがしたことはね、せっかくビビが何とかしようとしてるのに、再戦の火種をぶち込んだBWのアホ共と同じ事なのよ!」
「あぁぁぁんなゴミカス共と一緒にすんなよ!別に本当の事を言っただけで……!」
「お兄様?」
氷点下より冷たい声がした。見ると、加奈が大輝を睨んでいる。
「………彼女ってどういうことですか?」
「どういうも何も、そのまんまの意味だろ。恋人、カップル、結婚を前提にお付き合いだ」
「けっこ………⁉︎」
「いいから大人しくしてろカス。授業中だぞ。落ち着いてゲームも出来やしねぇ……」
言いながら椅子に座る大輝。だが、気付いた。1-Eにいる教室の全生徒がいなくなっていることに。
「………あれ?達也?みんな?」
「お兄様………?」
「あんだよお前うるせーから座って……木刀振り上げて何してんの?」
「許しません……。愛と、怒りと、悲しみのォッ‼︎」
「ま、待て!お前は俺と違ってモノホンの」
「シャイニングフィンガーソォォォォドッッ‼︎」
外見だけ見たらシャイニングフィンガーソードが大輝の上に振り下ろされる。学校の天井と壁を大きく破壊しながら、大輝に迫った。が、その光の剣が消滅する。
「流石、お兄様……魔法切り、ですか」
「そうだよ。つーか何してくれてんの?そのうち風紀委員と生徒会が集まってくんぞ」
「関係ありません……お兄様が私に黙って女を作るなど……万死に値します……」
「お前、俺に勝てるとでも思ってんのかよ?また前みてぇに泣かされんのがオチだぞ、やめとけ」
「ふふふ、お兄様にいじめられるのが趣味の私でしたが、最近はそろそろ逆になってもいいのでは?と思ってきましたんですよ」
「………やってみろコラ」
ピリッと空気が変わった。二人は木刀を構えて睨み合う。
「真田くん!何があったの……⁉︎」
風紀委員を引き連れて花音がやって来た。
「! バカ、来るな千代田先輩!」
大輝がそう言った直後、加奈が突っ込んで来た。それを人とは思えない速さで反応し、ガードする大輝。ギギギギッと押し合いになる中、大輝の足元がパァッと光る。
「っ!」
「爆ぜろ……!」
直後、加奈は大きく後ろに飛ぶ。光った足元は爆発寸前のように大きく光るが、大輝が魔法切りで地面を叩き、キャンセルさせる。それを狙っていたかのように、今度は自己加速術式で突きを放って来た。
「もらった……!」
ニヤリと笑って加奈は突っ込んだが、それは大輝にも読めていた。カウンターを喰らわせようと木刀を振るった時だ。加奈の突撃の軌道は大きく外れ、大輝の木刀を躱し、背後を取った。
「!」
「終わりです!」
完全に倒したと思った。が、大輝は急に土下座して回避した。
「っ⁉︎」
そのままさらに足を振り上げ、加奈の首を両足で挟むと、回転しながら顔面を地面に叩きつけた。
「ああん!お兄様のお尻……!」
と、ほざきだしたのでさらに脳天をゲンコツしてなんとか黙らせた。
「…………ふぅ、疲れた」
「真田くん、チョット……」
小野遥に呼ばれた。この後、普通に停学になった。