俺も魔法科高校に入学する 作:フリーザ様
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「じゃ、加奈。帰れ」
大輝は当然の事を言った。
「嫌です」
「ダメだ。帰れ。殺すぞ」
「今日はお兄様と一緒に授業を受けます♪」
「ざけんな。ブラコンやろう。帰れよマジで。300円あげるから」
「嫌です。お金よりもお兄様との時間の方が大事です」
「分かった、10万円やるから帰って」
「嫌です」
「マジでかお前」
すると、加奈は急にグズッとしゃくり上げた。
「だって……今までお兄様と離れ離れで、寂しかったんですもん……」
「いや、そういうのいいから……」
『ハッ?』
達也、レオ、幹比古、エリカ、美月の五人が全力で声を荒げた。
「なんだよハゲども。チョキでシバくぞ」
「いや流石に今のは兄としてどうなんだ?」
「そうだぜ。流石にヒデェ」
「可哀想だよ流石に」
「あたしだって兄貴達にそんな態度取られたら泣くわよ」
「お前本当に人類か?」
一人ほどキャラが破綻していたが、全員に追い詰められる。
「な、なんだよ。そもそもこいつ部外者で……」
「どうせこの教室なんて先生来ないじゃない」
エリカに一蹴される。
「そうだよ。移動教室もないし」
幹比古も続く。これ以上ゴネれば面倒そうだ。
「わーったよ……」
「! 本当ですか⁉︎」
「ただし、俺の半径10メートル以内に近付くな」
『アア?』
「何でもない」
疲れる1日になりそうだ、と額に手を当てた。
○
で、授業が始まったのだが、後ろの席の達也は集中出来なかった。
理由は、大輝の隣に座る加奈、それはいい。ただし、大輝の指示で空気椅子に座ってるからだ。一方の大輝は気持ち良さそうに寝息を立てている。
『余分な椅子ないからお前空気椅子な』
という理由だ。必死に涙目で耐える加奈を達也は見ていられなくなった。
「加奈、と呼ばせてもらっていいか?」
「司波さん、構いませんよ?」
「大丈夫か?もしあれなら椅子を持って来るが……」
「いえ、大丈夫です。お兄様の命令ですし……」
「………いや、しかしこちらが集中出来ないんだが」
「大丈夫です!」
「うん、話聞こうか。俺が大丈夫じゃないんだ」
達也は教室を出て、椅子を取りに行った。で、生徒会室の椅子を一台拝借して戻った。
「おい、椅子を持って来て……」
目の前に映ったのは大輝のアイアンクローを喰らってる加奈の姿だ。
「はぁぁ!お兄様!もっと……もっとぉおぉぉ……」
無視して大輝は窓に向かい、外に放り投げた。窓の鍵を閉めて、自分の席に戻る。
「……一応聞くけど、何があった?」
達也が聞いた。
「寝てる俺の頬にキスした」
「………なんか『もっとぉ』とか聞こえたが」
「言い忘れたけど、あいつクソドMだから」
「ああそう……」
一瞬でも同情した自分を殴りたくなる達也だった。そんな中、教室の普通のドアから戻って来た加奈が聞いた。
「そういえばお兄様。朝、お兄様の家にいた女性とはどういう関係なんですか?」
教室内が、凍った。