俺も魔法科高校に入学する 作:フリーザ様
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いつもと違って、鈴音は大輝より遅く起きた。実のところ、鈴音は寝起きのいい方ではない。いつも早起き出来るのは、大輝への愛がなせる技であった。
なので、今回はおそらく初めて大輝より遅く起きただろう。寝ぼけテイストで騒がしい玄関を見ると、見知らぬ女の子に抱きつかれてる大輝の姿があった。
寝ぼけテイストが一発で覚醒した。その辺にあったバズーカで玄関をぶっ放した。ああ、今日はいい朝だ。
○
「と、いうわけで、妹だ」
大輝が加奈の頭に手を置いた。
「真田加奈です。よろしくお願いします」
ぺこりと礼儀正しく頭を下げた。
「よーし加奈、よくキチンと挨拶できたな。偉いぞー」
「もう、お兄様ったら……私は子供じゃないんですよ?」
「そうかそうか。じゃあ……」
言うと大輝は加奈の襟首を掴んで窓から晒し出した。
「今すぐ帰るかここから飛ぶか選べ」
「ちょっ……大輝くん⁉︎」
その行動に鈴音がガタッと立ち上がるが、大輝の目は容赦ない目だ。が、その鈴音の声を聞いて加奈の目の色が変わる。
「⁉︎ 女の声……⁉︎」
「グッドラック」
その台詞を遮って手を離した。当然、落下する加奈。その隙に窓の鍵を閉めて玄関の鍵も閉めた。
「だ、大輝くん!やり過ぎですよ!」
「鈴音さん、学校の準備して」
「へ?あ、朝ご飯は?」
「食う暇ない。いいから早く」
言うと大輝は携帯の電源を切り、着替え始めた。鈴音も頭上に「?」を浮かばせながらも着替え始め、準備完了。大輝は玄関のポストから外を見た。加奈の姿はない。
「……鈴音さん」
「な、なんですか?」
大輝はその辺にある紙に字を書いた。
『なるべく音を立てずに窓の鍵開けて(※筆談である理由は聞くな)』
言われて鈴音はコクっと頷いて窓を開けた。大輝はカチッと玄関の鍵を開けた。瞬間、窓へ猛ダッシュ。
「えっ?えっ?へっ?」
戸惑ってる鈴音を走る途中で抱えた後、窓から跳んだ。
「ひゃっムグ!」
悲鳴を上げかけた鈴音の口を手で封じた。そのまま民家の窓の上を跳ねながら大輝は移動した。そして、学校の近くまで来た時、ようやく手を離した。
「ふぅ……ここまでくれば……」
「な、なんなんですか?というか玄関の鍵はどうして開けたんですか」
「あれはフェイクだ。玄関から出ると思わせといて窓から降りたんだよ」
「でも鍵開けっ放しじゃ……」
「問題ない。家に盗られて困るもんないし、例え泥棒が入ってもジャンプの山の誘惑に狩られて俺達が帰るまで漫画延々と読み続ける地獄に陥ることになる」
ねーよ、と鈴音は思ったのだが、ツッコミはいれなかった。
「いいのですか?加奈さん」
「いいんだよ。じゃないと鈴音が死ぬ」
「…………はっ?」
「あいつは極度のブラコンだから。しかも強さは俺より少し弱いくらいだし、俺と違って魔法も使える。俺と達也を除いた風紀委員メンバー全員が掛かっても勝てねーぞ」
「……………えっ?」
「そんなわけで、放置した。じゃ、学校着いたから。死ぬなよ」
「戦場⁉︎」
鈴音のツッコミも虚しく、大輝は自分の教室に向かった。
○
が、地獄を見るのは大輝の方だった。
「………うーわっ」
下駄箱の中にはチョコが大分盛られていた。
「つか、何これ。新手のイジメ?」
「バレンタインだからだよ」
隣から聞き覚えのある声がした。
「ああ、幹比古か。おはよう」
「おはよう」
「なるほど、バレンタインか今日は……。しかしどうするよこれ」
袋がない。この場で胃袋に詰めるのはアレだし、だからと言ってこのまま放置も出来ない。
「コンビニの袋でよければあるけど」
「くれ。チョコ一個と交換」
「………刺されるよ?僕は別にいいけど」
「サンキュー。………えっ?さ、刺されちゃうの?」
「はい、じゃあまたね」
袋だけ渡されて幹比古は先に教室に向かってしまった。大輝はありがたく袋を受け取ると、袋の中にチョコを入れて靴を履き替えた。
で、教室。
「うぃーっす」
いつもの腑抜けた挨拶で入った瞬間、手元の袋を落とした。
「つまり、私は大輝お兄様の妹なんです」
「なるほど。あいつにも妹がいたのか」
「ははっ、大輝と違って可愛げがあるじゃねぇの」
「でも何でここに……?」
達也とレオと幹比古と仲良く話してる加奈の姿が見えた瞬間、大輝はクラウチングスタートの姿勢を取ると、走り出し、一度跳んで机の上に着地すると、もう一度跳んで足を伸ばした。
「あ、お兄……」
バゴンッ‼︎と人から出るとは思えない音が教室中に響き渡り、加奈は窓の外に投げ出された。
「だ、大輝⁉︎」
「……何をしてるんだお前は」
レオと達也に言われても無視して、とりあえず教室の入り口の前で落としてしまったチョコを拾い、席に着いた。
「いいかお前ら。あいつの事は忘れろ。とりあえず俺は配達頼んでくる」
「いや、配達でどうする気?」
幹比古に聞かれるも無視、と思ったら加奈が窓から戻って来た。それを見て大輝は疲れたように机に伏せた。
「お兄様!遅いですよ!」
「うるせーよ。なんなんだテメーは。何しにここまで遥々やってきた」
「もちろん!お兄様にチョコを渡すためですよ!」
「ああそぅ……」
ゲッソリする大輝。
「てかお前、今年受験生だろ。何してんの?てかどこ受けんの?」
「ここに決まってるじゃないですか」
「ちょっと引っ越しと転校の手続きしてくるわ」
「ダメです!来年はやらしくお願いしますね!」
「絶対断る。なんだやらしくって」
「じゃあ、よろしくでもいいですけど」
「そこ、渋るとこじゃないからな」
「それよりお兄様、こちらの方々をご紹介してくださいよ」
「えーっと、そのダメそうななのが吉田幹比古」
「ダメそうって何?」
と、幹比古。
「で、そっちのダメそうなのが西城レオンハルト、通称レオ」
「や、だからダメそうって何?」
と、今度はレオ。
「そこのダメなのが司波達也」
「おい、俺だけ断定か」
「で、こっちが去年の3月に別れ際に俺のパンツ盗んで俺に半殺しにされたダメな妹の真田加奈」
それはダメだわ、と三人は思った。
「よろしくお願いいたします、みなさん」
しかも訂正しないのかよ、とも思った。
「へっ?これ大輝の妹⁉︎」
遅れてやって来たエリカが声を上げた。美月も後ろにいる。
「ああ、来たか。加奈、こっちのダメそうな赤髪が千葉エリカ。ブラコンだから気を付けれ」
「よろしくね加奈。あとダメって何?」
(((いやブラコンでしょ……)))
と、達也、レオ、幹比古が思った時だ。ジロリとエリカに睨まれたので目線を逸らした。
「で、こっちの眼鏡が柴田美月」
「「「美月(柴田さん)はダメじゃないのか⁉︎」」」
男三人がツッコむが、大輝は説明をしようとしない。すると、加奈が笑顔で聞いた。
「所で、お二人はお兄様とどのようなお関係で?」
正面突破である。
「どのような、と言われても……」
「お友達、でしょうか……」
「嘘です!お兄様に女性の友達なんて出来るはずありません!」
その瞬間、大輝の廻し蹴りが加奈の顔面に飛んだ。バギャッ‼︎と鈍い音が教室に響く。が、加奈はガードしている。
「お兄ちゃん怒るよ?」
「申し訳ありません♪」
(((((ああ、こいつの妹だ)))))
満場一致で全員がそう思った。