俺も魔法科高校に入学する   作:フリーザ様
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千年殺し

 

「明日の準備があるので今日は家に入らないで下さい」

 

鈴音のその一言で大輝は家から追い出された。まぁこの後はエリカに稽古つける予定があるから別に暇にはならなかったんだけど。

家にある自転車を漕いでエリカの家に向かった。自転車をその辺に置いて、門をくぐる。

 

(………あれ、何処でいつも殴り合ってたっけ)

 

ど忘れしながら歩いてると、ブンッブンッと木刀を振ってる音が聞こえた。

 

「こっちか?」

 

ガララっとドアを開けると、門下生と思われる人間が何十人も木刀を振っていた。……こっちに向かって。

 

「間違えました」

 

言ってドアを閉める。だが、すぐに扉が開けられた。

 

「おい待て!なんだ貴様!」

 

ゴッツイ奴が怒鳴る。

 

「迷子」

 

「怪しい奴め!」

 

と、殴りかかってきた。正面から振り下ろされた木刀を正面からキャッチする。

 

(………ああ、そういえば前に素振りやってる奴は入門したばかりの奴とか言ってたな。もしかして、侵入者かもしれない俺を捉えて技を教えてもらおう的な腹か?)

 

「………こいつを仕留めれば俺は……」

 

ぶつぶつとなんか言ってる。どうやら予想通りのようだ。面倒だったので木刀を取り上げて、脇腹を思いっきりブン殴ってブッ飛ばした。壁に減り込んだ男を一瞥してから大輝は聞いた。

 

「あの、エリカ何処にいるか知らない?」

 

「道場破りが来たぞー!」

 

「えっ、いや待って。何でそうなるの」

 

大輝が聞いても誰も反応せずに木刀を大輝に向ける。

 

「あの、お願いだから話を聞いて」

 

「かかれ!」

 

別の男の声で全員が殴り掛かった。大輝はため息をつくと木刀で床を思いっきり殴った。床が思いっきり割れる。その瞬間、全員の動きが止まる。

 

「……あの、頼むから話聞いてくんない?」

 

「……すんませんでした」

 

「おい、なんの騒ぎだ」

 

すると、奥から千葉寿和が歩いて来た。

 

「………君は(見たことあるようなないような……)」

 

「……あ、ども(え、俺のこと知ってんのかな)」

 

「(知り合いっぽいな)ひ、久し振り」

 

「は、はぁ……(知り合いなのか)」

 

「(とりあえず話を振ってみるか)あ、あの時は大変だったなー!」

 

「(あ、あの時⁉︎どの時⁉︎)そ、そっすね!な、なんかエリカに実はキ○タマがついてると聞いた時はマジで」

 

ガンッ!と後ろから殴られた。エリカが立っていた。

 

「誰が実は男よ」

 

「ああ、エリカ。今日も来たぞ」

 

「? エリカの知り合いか?」

 

寿和に聞かれてエリカは「まね」と返した。

 

「それよりこの床は何なの?」

 

「ああ、あそこで寝てる奴がやってたよ」

 

「そう、破門ね」

 

最初に殴りかかってきた奴にさらっと責任を押し付けると、大輝は言った。

 

「さ、早いとこやろうぜ。……つっても鈴音に家追い出されてるから帰れないんだけどな」

 

「そう?……ああ、なるほどね」

 

「? 何が?」

 

「何でもない。カズ兄貴、どっかに空いてる道場ない?」

 

エリカが寿和に聞いた。

 

「あーまぁあるにはあるけど……どうするんだ?」

 

「こいつと稽古するの」

 

「……ああ、またあの時の西城くんみたいにか?」

 

「逆よ。あたしが教わるの」

 

「…………へっ?」

 

寿和が目を何度か瞬きさせるが、エリカは説明を加えようとしない。

 

「さっ、じゃあ行くわよ」

 

「おー」

 

エリカはその部屋を出て、その後を大輝はもっさりもっさりと続いた。

 

 

 

 

エリカの突きを大輝はジャンプして躱した。そのジャンプした先にさらに突きが放たれる。それを掴んで木刀から腕を足で挟んでへし折ろうとした。

が、エリカは腕を掴まれる前に木刀を離した。大輝は落下するが、腕を床に着いて受け身を取る。その隙をエリカは逃さず追撃。思いっきり大輝に殴り掛かった。手刀を繰り出す。ガッ!と直撃したが、当たったのは床に突き刺さった木刀二本。

 

「えっ?」

 

その瞬間、大輝の蹴りがエリカの胴に直撃した。エリカは受け身を取り、構えて大輝を見た。すると、目の前には投げられた木刀が迫っていた。

 

「っ⁉︎」

 

思わずキャッチして前を見ると、また木刀が目の前にある。

 

「このっ……!」

 

エリカはキャッチした木刀でガードした。が、違和感がした。衝撃が軽過ぎる。二発目も投げられた木刀だった。辺りを見回すも大輝の姿はない。と、思った時、ケツの穴に変な感覚が出た。

 

「千年殺しィィィィッッ‼︎」

 

「ギャアァァァァァッッ‼︎」

 

天井にめり込んだ。

 

 

 

 

翌日、大輝はマシンガンバリに連呼された呼び鈴の音で目を覚ました。

 

「……るっせーな。誰だよ畜生が」

 

言いながら起き上がって玄関に向かった。

 

「はぁーい、どちら様ですか」

 

言いながら玄関を開くと、その瞬間、ガバッとその人物は飛びついてきた。

 

「っ⁉︎」

 

「お久しぶりです!お兄様!」

 

「か、加奈⁉︎」

 

妹だ。大輝の。

 

 





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