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ヴァリニャーノ書簡の身元判明
別の記事で、百田尚樹『日本国紀』に引用されるヴァリニャーノ書簡が、Yahoo!知恵袋から無断転載している疑惑を報じました。
その段階では出典元不明だったのですが、この身元が判明しました!
比較テーブル
早速指摘いただいた箇所を比較します。
『日本国紀』p. 148 | Yahoo!知恵袋 | 『武器・十字架と戦国日本 イエズス会宣教師と「対日武力征服計画」の真相』(洋泉社, 2012, pp. 227-228) |
日本人の好戦性、大軍勢、城郭、狡猾さと、ヨーロッパ各国の軍事費を比較して、日本を征服することは不可能である | 日本人の好戦性・多軍勢・ 城郭・狡猾さと欧州各国の軍事費をふまえて、日本は征服できない | ❶「日本は外国人の兵士の手で征服され得ない」 ❷「日本はこの世でもっとも堅固で険しい地で、日本人はもっとも好戦的だからである」 ❸「難攻不落の要塞が、高く非常に険しい山中にある。日本人は極めて大勢であり、海に囲まれた島々にもいるため、彼らに対抗できる強国も兵士も存在しない」 ❹「日本人の間には反逆と裏切り〔が日常的なので、外国人が支配者となっても〕「裏切りが行われるであろう」 ❺「日本人を養い、日本国内に数多くの要塞、戦闘要員を大勢抱えるには、ポルトガルとスペインの両国王は、この上なく巨額の出費を余儀なくされよう。(中略)ヨーロッパから遠く隔たっている地で、大勢の日本人と巨額の経費を維持するには、両国の所有する全収入と人々では不十分であろう」 |
いやもう殆ど一致しませんね。
つまりYahoo!知恵袋の回答者が原著から大幅省略して紹介したものを、『日本国紀』が原典からの直接引用と勘違いしてそのまま転載してしまったという次第です。
本当にひどい話です。
これはすごいですね。
要約では単なる軍事、経済的な比較に終始していますが、元の文ではちゃんと地政学的な部分まで言及していますね。
孫引きがどうしていけないのか、サンプルになりそうな内容です。
内容のひどさには呆れましたが、ブックオフの広告には笑ってしまった。
>「日本人の間には反逆と裏切り〔が日常的なので、外国人が支配者となっても〕「裏切りが行われるであろう」
保守論壇は、やたらと祖国や出身民族を裏切った転向者を持て囃す反面、同国民及び民族でも思想的にそうしたご歴々に対しては、極めて容赦ないのが特徴です。
ヴァリニャーノ神父がご覧になったら、どう論評なさいますやら。
Valignano でググって見つかる文章を片っ端から読みまくった処、当時フィリピン制圧を成したスペイン王国が次は日本か中国かと迷っている処へ彼が「日本は武力で制圧は無理です。ここは宗教で。私に任せて欲しい」と進言したという話が幾つか見つかります。史実としては間違ってないのでしょう。
(百田本の問題点は、ここでは、[ 史実に反する ] 、の方ではなくて、[ パクリ ] の方ですね。)
Valignano が「日本は武力では攻め落とせない」と書いた(or 言った)のは本当だと思います。
しかしそれは、スペイン王国に対し、対日武力侵攻を思い留まらせ 自分の布教活動に協力させる為の方便だったのかも知れず、従って、(百田本が意図しているような)この頃日本に来た外国人が如何に日本人を高く評価していたかの証拠となるのか、疑問です。
聖職者による権力者への報告書として、正確かつ誠実な内容であって然るべきです。
しかし、当時の状況からみて「帝王の飽くなき征服欲を嗜めつつ、宗教的な勢力圏化を代償として提示し、布教への支持を得る」という目的での脚色はあり得ます。
本来、こういった権力者と行動者の駆け引きは小説家に取って格好の題材である筈です。
にも拘わらず、「とにかく褒めてくれたのだから、ありがたく受け取って置こう」なら未だしも「わざわざ褒めてくれたのだから、やっぱりスゴいぞ日本!」となる辺りが、にわか歴史屋の性でしょうか…
虎ノ門ニュースで櫻井よしこ氏が日本国憲法はコピペだと言っています。
占領下でつくられた国際法違反の憲法ですが、国民の多くは改正を望んでいないです。
それと同じで、私は日本の古代を間違えているので「日本国紀」を評価していませんが、多くの人は「日本国紀」を支持しています。
「日本国紀」のコピペを騒いで何になるのでしょうか?
もうすでに60万部売れているようです。虚しいと思いませんか?
思いません。
著作を無断で利用されることの深刻さを理解すべきです。憲法などの、他に例が少なく同じようなことがあった場合の影響の小さいものではなく、コピペはいついかなる時も身近にある問題です。
これを容認しては、いつ自分が被害者、加害者になるか分からないという意識を持つべきです。
コピペされた時にどんな気持ちになるかコピペされてからではないと分かりませんか?
×隠します
○比較します
では?
いつも良質の記事ありがとうございます
深謝