俺も魔法科高校に入学する   作:フリーザ様
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単行本が見つかったため復活!なぜかグレイズ改のガンプラの箱の中にありました。



師匠

 

 

「や、あの、ほんっとすいませんでした」

 

大輝は達也、深雪、エリカ、幹比古、美月、十文字、ついでに鈴音の前で正座していた。パラサイトは、あの後に幹比古や達也や美月が追い払った。

 

「俺も、あれ……てっきりリーナが狙われてるんじゃないかと、もしかしたら国際問題に発展するんじゃないかと、そしたらまた太平洋戦争になるんじゃないかと思って、その……や、俺なりに考えたんですよ。バカはバカなりに。そしたら、その……何、リーナが意外とアレだったみたいで……」

 

すごく謝った。

 

 

 

 

その日の放課後、大輝と鈴音は一緒に帰っていた。その前に、エリカが立ち塞がった。

 

「ねぇ、大輝」

 

「あ、シャンクス」

 

「髪の色だけでカテゴライズしないで。少し、お願いがあるの」

 

「あ?」

 

「私に、剣の稽古をつけてくれない?」

 

 

 

 

そんなわけで、エリカに連れられて大輝と鈴音はエリカの家へ。

 

「うーわ、広ぇー……」

 

「本当ですね……」

 

「こんな部屋に住んでみたい……」

 

「分かります。部屋割りとかどうします?」

 

「一つはガンプラ、一つはゲーセン、一つは漫喫だな」

 

「無駄遣いもいいとこですね」

 

なんて話をしてる間に、エリカは中で自分の父親に話を付けていた。で、戻って来た。

 

「道場、使わせてくれるって」

 

「うーい」

 

エリカの後に続いた。生返事してここまで来てしまったが、大輝は困っていた。別に自己流の剣法があるわけでもないし、師匠もいたにはいたが、その人の技を教わった覚えはない。教える事など何もないのだ。

が、エリカはヤケに楽しみにしてしまっている。断れなかった。

 

「大丈夫なんですか?大輝くん」

 

「際どい」

 

「気持ちはわかりますが……」

 

で、板の間の道場。幸いなのかは分からないが、エリカしかいなかった。

 

「さ、よろしくお願いします」

 

エリカがいきなり頭を下げた。

 

「………あー、とにかくその口調やめろ」

 

「へっ?」

 

「俺は別に師匠ヅラするつもりもないし、お前の師匠になったわけでもない。だからいつも通りに接してくれ」

 

「わ、分かった……」

 

「で、お前は俺の何を知りたいの?趣味?職業?」

 

「お見合いか!私が知りたいのはあんたのその強さというか……技よ」

 

「技?」

 

「そう。今日、あのままあんたの挑発に乗って私が戦ってたら、多分負けてた。それは、私になくてあんたにあるものがあるからだと思うの」

 

「チ○コじゃね?」

 

「違くて」

 

「じゃあキ○タマ」

 

「一々下ネタに置き換えないと話進めらんないわけ⁉︎」

 

大輝の頭を後ろから鈴音がチョップした。

 

「お願いだから私の彼氏である自覚を持ってください」

 

「はいはい……。で、エリカ。何だっけ?」

 

「だから、それを見つけたい。一時期はあんたの真似して私も戦ってみたりしたけど、やっぱりそれだけじゃわからないわ」

 

「……………」

 

「お願い」

 

頭まで下げられては、「いいえ」とは言えなかった。後頭部をガシガシと掻きながら大輝は言った。

 

「じゃ、まずは掛かってきな」

 

「へっ?」

 

「俺は人にものを教えるのは苦手だ。だからかかって来い。身体で教えてやる」

 

エリカはごくりと唾を飲み込むと、竹刀を大輝に渡した。エリカは竹刀を構え、大輝は竹刀を持ったまま棒立ちである。ジリジリと隙を伺い、エリカは最初の一歩を踏み出した。

 

「あっ、たんま」

 

止められてずっこけた。

 

「な、何よ!」

 

「いや、せめて胴だけでも防具着けてもらえるか?」

 

「あ、うん」

 

言いながら胴を取りに行った。

 

「意外と紳士なんですね」

 

「まぁな。嫁入り前の体ボコボコにしちゃ悪いし」

 

すると、戻ってきた。

 

「はい、あんたの分」

 

「俺のはいらねーよ」

 

「へっ?」

 

「そんなもん動きにくくなるだけだ」

 

「じゃあなんで私には着けさせるのよ!」

 

「怪我させると悪いから」

 

「このっ……!」

 

イラッとするエリカだが、自分が教わる立場である事を思い出し、何とか堪えた。で、再び構える。今度こそ隙を見て斬りかかった。

 

「やあぁぁぁ!」

 

まずは突き込む。それを大輝は右に躱した。エリカはすかさず、竹刀の軌道を変えて、斬りかかる。それも大輝はジャンプで躱す。

 

「ッ!」

 

空中に向かってさらに突きを放った。が、それを大輝は足の裏でガードしつつ、竹刀を踏み台にしてジャンプし、エリカの首に足を挟んで肩車させると、自分の手に持った竹刀をエリカの胸元に持ってくる。

 

「ッ!」

 

「これが本物だったら死んでるぞ」

 

「……………」

 

言いながら大輝は竹刀で胸を軽く突き、肩の上から離れる。

 

「OK、大体分かった。というか、今の俺とお前じゃ喧嘩にもならん」

 

「なっ……!もう一本よ!」

 

「戦場にもう一本はねぇぞ」

 

「!」

 

大輝に言われて、冷たい汗が頬を流れた。そして、悔しそうに俯いた。

 

「てなわけで、お前の相手をするのは1日1本だけだ。その間に何か掴むんだな。でも、今のままだと200年くらいかかりそうだからヒントをやる。それも3つだ。泣いて感謝しろよ」

 

言われてエリカは顔を上げた。

 

「じゃあ1つ目。『剣だけが武器だと思うな』。2つ目『刀身だけが武器だと思うな』。そして3つ目……」

 

そこで言葉を切る大輝、エリカの目は真剣だった。

 

「『修行料は毎月5000円でいいです』」

 

「真面目に聞いて損した……」

 

あからさまにがっかりするエリカだった。

 

「じゃ、帰るわ。またな」

 

「うん。ありがとね」

 

「さようなら、千葉さん」

 

「うん。市原先輩」

 

そのまま二人は道場を出た。

 

「いやーいい仕事したわー……」

 

んーっと肩を伸ばす大輝に鈴音は言った。

 

「それはそうと、さっき千葉さんの胸を竹刀で突きましたね?」

 

「おう。意外とやわらかかった。…………あっ」

 

「お説教です」

 

「すいませんした……」

 

 





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