俺も魔法科高校に入学する 作:フリーザ様
<< 前の話 次の話 >>
あのあと、達也はリーナを捕獲し色々と尋問していた。というか、大輝の名前を出せば一発で色々と話してくれたそうだ。
で、今は週明け。ちなみに昨日、大輝は達也に呼び出されていたのだが、バックれた。で、教室。鈴音と別れて1-Eの教室に入り、自分の席に座った。そして、後ろの席の達也にギュルンッと振り返った。
「Bad Communication!」
「ご機嫌だな。どうして昨日来なかった」
「カラオケ行ってた」
「なめてるのか?」
「いやいや、攫われた次の日から鈴音と別行動なんて無理ゲーにも程がある」
「まぁ、それも一理あるが……」
「例えばお前、深雪が攫われた次の日とかに俺に呼び出されたらどうするよ」
「お前を殺す」
「ヒイロかお前は。ってことは、俺が今お前を殺しても文句はないな?」
「価値観の相違だ」
「言ってることメチャクチャだぞお前」
そんな会話をしてると、一限目が始まったので、大輝は前を向いて下を向いて寝た。
○
昼休み。大輝と鈴音は校門の前の中庭で飯を食っていた。
「はい、お弁当ですよ」
「どーも。……ん?同居してるのになんで家出る前に渡してくれなかったの?」
「渡すの忘れただけです」
で、食堂で飯を食う二人。
「美味い」
言いながら大輝はもっさもっさと咀嚼する。その時だ。
「あ?」
校門前に車が止まっていた。小型トレーラー。そして、そこに向かってリーナが走っているのを見かけた。
「………なんであんなものにシールズさんが?」
鈴音が声を漏らす。
「ちょっと、見てきますわ」
大輝はもっさりと立ち上がって欠伸混じりに車に近付いた。で、車の扉にノックする。
「電報ですよー。リーナー」
「っ⁉︎ 大輝⁉︎」
リーナがビビったような声を出す。
「お前こんな所で何してんの。もしかしてお弁当忘れあるお母さんに届けてもらったのか?」
「そんなわけないでしょ!ママがこんな所にいたらそれ留学じゃないわよ!」
「じゃあ何してんの」
その質問の回答に困るリーナ。その時だ。大輝が木刀を抜いた。それに対して魔法を使おうとするリーナだが、大輝は木刀を自分の後ろに回してガードしている。
「何してんだ。エリカ」
「退きなさい」
「いやダメだろお前。それでアメリカにリーナが帰った時に『日本人はいきなり斬りかかってくる』みたいな噂ばら撒かれて世界戦争になったらどうするつもりなんだよ」
「話が飛躍し過ぎよ!いいから退きなさい!さもないと……!」
「あ?俺とヤル気かオイ」
ニヤリと大輝が邪悪に口を歪ますと、冷や汗が頬を流れるエリカ。だが、その後ろからさらに人が来る。
「退け、真田」
十文字だ。
「そうはいきませんね。理由は知らんけど、いやむしろ理由を話してもらうまでは俺は退きませんよ。死んでもここに居座ってやるザマーミロ」
「お前も一緒に処分するぞ」
「やってみろよ」
にらみ合う二人。すると、リーナが中にいた女、ミカエラを連れて逃げようとした。それを追うようにエリカは刀を鞘から抜こうとする。その鞘を大輝は木刀で突き抜いた。中の刀も貫通し、刀が抜けなくなるエリカ。
「動くな」
「ッ」
その時だ。リーナの耳元に囁きが飛び込んできた。
『リーナ、聞こえますか⁉︎』
「シルヴィ?」
『良かった!ようやく通じた。例の白覆面、正体が分かりました!ミアだったんです!白覆面の正体はミカエラ・ホンゴウです!』
ミア、とはリーナがまさに助けようとした女だった。
「ミア、貴方が白覆面だったんですか⁉︎」
だが、ミアは何も喋らない。冷たい視線を向けるだけだ。
「…………えっ?まじ?」
大輝は今更、自分のやったことを思い知った。思いっきり敵を庇ってた。
「………ごめんなさい」
「いいから木刀抜きなさいよ」
「アッハイ」
エリカに言われて大輝は木刀を抜こうとした。だが、抜けない。
「あれっ、抜けねっ。マジ抜けねっ」
「ちょっと!何やってんのよ!」
「ぬけないんだってば!ふんぐおおおおお!」
なんてアホやってる二人にミカエラが襲い掛かる。
「「えっ?」」
無理矢理大輝は木刀を引っ張って、エリカを引き寄せるとお姫様抱っこして躱した。
「きゃっ!」
そして、十文字の横に置くと、
「木刀抜いとけよ!」
と吐き捨ててミカエラに向かってった。
「ムリよダイキ!吸血鬼に素手でなんて……!」
止めるリーナを無視して大輝はミカエラの攻撃を躱すと、ミカエラの顎にコキンッと回し蹴りを入れた。一瞬、倒れそうになるミカエラだが、なんとか意識を保った。それを見越していたように大輝はミカエラの背後を取り、バックドロップを決めた。
「ふぅ……乙」
そう呟く大輝をリーナは驚いて見ていた。