MBTI - 解説と考察 -




STPとNTPのTi

前回に引き続きTiについての解説をしていきたい。
前回はTiのアウトロー性のいわば根本原理について語ったわけだが、今回はその性質が実際どのような形で表れるかについて述べよう。
それはタイトルにあるようにSTPとNTPで違った表れ方をする。
結論から言えばSTPは相手を舐める、NTPは相手を論破するという形で表される。
もうお気づきだと思うがSeとNeがその原因となっている。もう一歩踏み込んで言えば着眼点の違いがそうさせている
まずSTP(ESTP・ISTP)だがこの2タイプは優勢知覚がSe、つまり対象の物理的・表面的な要素に注目するということだ。
その対象が人間相手の場合、腕力、容姿、成績などに注目する。
そうやって集めた情報を基にTiで判断するという流れになる。
ポイントはTeのように肩書や地位といった世間的な判断は軽んじられるということだ。
つまりより究極的な、生物としての優劣や強い弱いといった物差しを使って相手を測ることになる。
なので例え相手が上司や先輩であったとしても自分の中では見下してよい対象ということで、舐めるとはそういうことだ。
それとこの2タイプは上に反抗する問題児という評価を下されがちだがその見方はニュアンスとして間違っている。
というのも反抗する人間には権威やルールなどに対して人一倍意識を向ける心理があるからそうしている場合が多いが、
この2タイプはそういったものに対しての意識はむしろ低いといった方がいい。
反抗という表現よりも無視や気に留めないという表現が適当といえる。強いて抵抗という程度に収まる。
そういった意味で反抗という表現に近いのは次に解説する2タイプ(ENTP・INTP)の方だろう。
さらにはNTPに関してはNeが優勢であることと共にSiが劣勢であることにも注目する必要がある。
さてNTPが論破という形を取るとはどういうことなのか?
論破というからには理屈が大事ということになる。じゃあNeが理屈に関わる機能であるかというと半分正しく半分は誤りである。
Neとは知覚機能だ。判断するのではなく受け取る機能なのだ。つまりそれ自体は理屈をこねる機能ではないのである。
それなのに理屈に関わる機能であるというのは直観という概念にその理由がある。
直観とは推理によらず物事の本質を捉えることだ。
つまりその着眼点が物理的、表層的な範囲に留まらず抽象的、概念的な部分まで包括されるということなのだ。
これはまた別記事で解説するがNeという機能は五感以外の部分にまでその目が及ぶという外向機能でありながらまるで内向機能のような側面を持つ。
五感で認識出来る事から五感で認識出来ない概念的なものまで含めた、まるでごった煮のような情報を基にTiで判断を下す。
これがNTPを理屈屋たらしめている理由である。
さらに言うとNTP2タイプの考える理屈は他人にとって容易に理解されがたい側面を持っていることも忘れてはならない。
着想や未確認情報(Ne)を基に独自に思考(Ti)するのだから当然と言えば当然だろう。
そういった危うさに拍車を掛けている要因が先に述べた劣勢Siである。
つまりただでさえ演繹的な思考法ゆえその確からしさに欠けている所にもって、習慣、前例、経験則といったせめてもの武器さえ放棄する訳だ
これが人間相手だといわゆる権威や既存勢力などに対して反抗したり敵対するということに繋がっていく。
では現時点で結果が出ていないが、しかし理屈の上では結果を出力できると考えられる物事について人を説得するにはどうすればいいのか。
それがつまりは論破という形で表現されるというわけだ。
演繹的な思考(Ne+Ti)が権威・既存勢力(Si)をも敵に回すとするならば優れた理論であることをまずは証明するしかないということだ。
空理空論であればこそより一層実際の行動で示す必要があるのだろうが、この2タイプ(特にINTP)は手足を動かすより口を動かすタイプである。
INTPはNe的な着眼点を基礎にしたTi主機能なので実際の行動という点でアウトプットが疎かになりがちになる。
ENTPはE型故に本来ならすぐに行動したいのだが、Te的な組織的行動を本質的に苦手とするため独自方法によって目的を達成しようとする。
だからプライベートならともかく会社などのパブリックな人間関係の場においてENTPのロジックは受け入れられ難く、実行の機会自体を得にくい。
それ故やむなく論破するという行動を先に取ることになりがちだ。
まあENTPは議論好きなので半ば楽しんではいるんだが現実の成果を得るために障壁があるのはやはり事実であり、
この辺りがSiが劣等であるという特徴、つまり実績という名の前例を自ら遠ざけている遠因なのかもしれない。
ということで今回の記事はこのあたりで終わらせたいと思う。
こういった似たタイプの相違点や見分け方については今後も掲載していきたいと考えている。