俺も魔法科高校に入学する 作:フリーザ様
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達也は大輝にCADを向けた。相手は大輝だ、手を抜けばこちらがやられる。だが、大輝はいつの間にか達也の後ろに回っていた。
「っ……速いっ」
そして、下から来る大輝のアッパー。それを後ろに仰け反って躱すと、がら空きになったボディに拳を叩き込んだ。その拳を大輝は反対側の手でガードすると、達也の顎に膝蹴りを入れた。
「グッ……‼︎」
後ろに怯んだ達也の顔面を大輝は掴むと、地面に力任せに叩き付けた。そのまま地面に達也の顔面を押し付けたまま、木刀を握る大輝。達也は殴られる前に大輝のケツを蹴り上げて自分の上に転がした。
その大輝に達也追撃した。飛び蹴りを大輝に放つが、それを重心移動だけで躱され、腹に木刀で一撃喰らった。肋骨が折れ、自己修復術式をオート作用させながら受け身を取った。
「チィッ……面倒な奴に寄生しやがって」
大輝は首をカクッカクッと、まさに寄生された人みたいな感じで動かした。そして、再び達也に襲いかかろうとした時、プルプルプルプルッと着信音が鳴った。いやそっちのプルじゃなくて。その瞬間、大輝はシュンッと急いでその場から離れた。
「………ッ⁉︎」
達也には理解できない行動だった。パラサイトに寄生された奴は携帯の着信音を恐れる習性でもあるのか?と、推測してみたが、遠くから声がした。
「えっ?今どこかって?渋谷だけど……いや、夜遊びとかじゃないから!ちょっと用事が……そ、そんな心配するようなことしてないって……キャバクラ⁉︎行ってねぇよ!行くなら風俗に……あっ、いや冗談です……はい、怒らないで、あっいやなんでもな……ええっ⁉︎な、泣くなよ!俺が悪かったよ……浮気なんてしてないってば……うん、うん。なるべく早く帰れるように……はい、すいませんでした。心配かけて。……うん、もうしない。今から帰ります。はい……」
丸聞こえだった。その時点で達也の闘気は殺気に変わり、戦意は殺意に変わっていた。そして、大輝の場所を確認すると、そこへ向かった。
「はーあ……またスズに怒られるよ……あの人、怒るとヤンデレより怖いから嫌なんだよなぁ……」
「おい」
達也に声をかけられ、ビクッとする大輝。だが、すぐに襲い掛かってきた。が、達也は躊躇せずに分解を発動。ギリギリ躱す大輝だったが、大輝の後ろの木が煙のように分散した。
「僕の名前は分解くん、なんでもかんでもバランバラン」
と、中村○一の声で歌う達也。大輝の眉間にCADを押し付けた。
「元に戻せなかったら、ごっめんね」
「懐かしいなオイ!ごめんなさい!」
「どういう事だ。パラサイトに寄生されたんじゃないのか」
「や、その……寄生された、フリ?」
「なんでお前がパラサイトを知ってる」
「えっ、モンハンのダウンロードクエストのダウンロードが終わったついでにレオのお見舞いに行ったら、なんか楽しそうな話が聞こえたからさ。お前、なんか朝の電話の様子だと俺がレオの仇討ちに行ったと勘違いしてたみたいだし、ちょっと面白そうダナーって思って……」
「そうか……一応聞いておくが、あそこでぶら下がっていた男はなんなんだ?」
「あれ本物」
「何?」
「なんか来たからとりあえずベッコベコにしといた」
「………………」
達也は顎に手を当てて少し考えたあと、大輝に向けていたCADを下ろした。
「お前に対する怒りが百だとすると、パラサイトを捕らえてくれた感謝は百一だ。だから、お前のことは殺さないでおいてやる」
「ありがとうございます、分解くん」
「誰が分解くんだ」
「お前だよ!」
で、達也は一応調べておこうとさっきの全裸男の元へ。だが、
「!」
「どうした分解くん」
「奴の姿が消えた」
「マジでか」
とりあえず、二人は帰ることにした。
○
達也と別れて、大輝は自宅に向かった。
「帰って来たウルトラマーン」
と、「ただいま」の意味の挨拶をしながら大輝が玄関を開けると、鈴音が腰に手を当てて立っていた。
「何やってたんですか?」
ゴゴゴゴゴッと効果音が目に見えてる気がした。
「や、これは……その……」
と、大輝がなんて言い訳しようか思考をフル回転させてると、鈴音は大輝に抱き付いた。
「す、スズ……?」
「心配、したんですからね……」
キューっと抱き締められ、大輝は少し困った顔をしながらも微笑んだ。
「すいません……」
「で、渋谷で何してたんですか?」
「えっ?えーっと……達也と遊んでました」
嘘は言ってなかった。
「……………まぁ、いいです。無事に、帰ってきてくれましたから」
「その、鈴音さん。この前はゴメン」
「この前?」
「リーナの件。あれは、その……エロ目的じゃなくて、いきなりあいつが殴りかかってきたので返り討ちにしただけだったんですよ……で、ついでに罰則も兼ねて……ああしただけです」
「………もう、怒ってませんよ。私もごめんなさい。あんなに怒ることではありませんでしたね」
「鈴音、さん……」
「仲直りです」
「…………はい」
「さ、ご飯にしましょう」
二人は部屋に戻った。