俺も魔法科高校に入学する   作:フリーザ様
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惚気

 

 

週明けの教室は怪事件の話題で持ちきりだった。怪事件というのは、変死体が3件発見されてるという事件だ。当然、達也たちにもその話が出るわけで、

 

「おはよー達也くん。昨日のニュース見た?」

 

と、エリカが早速話を振った。

 

「ニュースって、吸血鬼のか?」

 

「あれってさ、やっぱり単独犯とは思えないよね?あたしは臓器売買ならぬ血液売買組織の犯行に一票なんだけど」

 

「それだと一割しか抜かなかった理由が分からないな」

 

「殺すつもりはなかったんじゃない?」

 

「だったら自体を街中に放置したりはしないだろう。それに、血を抜き取った後がないのは不可能だ」

 

「……ふーん、なるほど。確かに痕跡がないのは不自然だよね」

 

「テレビで言っているように、オカルト的な存在による殺人なんでしょうか?」

 

美月が口を挟んだ。

 

「オカルト的な存在か……お前はどうだ、幹比古。妖怪とか魔物とか、そんな存在が関わっていると思うか?」

 

達也が話を振ると、「う〜ん……」と、唸る幹比古。

 

「ただの人間の仕業とは思えないんだけど、断言はできないな」

 

「はよッス、何の話だ?」

 

その話にレオが割り込んだ。

 

「今日は随分遅かったな」

 

達也がレオに尋ねた。

 

「あー、チョッと野暮用で夜更かししちまって……それに、大輝だってまだ来てないぜ?」

 

レオの言う通り、大輝は来てなかった。

 

「そういえばそうだな……」

 

「どうかしたんでしょうか」

 

達也の呟きに、美月も心配そうに声を漏らした。すると、その良いタイミングで大輝が入ってきた。

 

「あ、大輝。遅かったね」

 

幹比古が声をかけるが、大輝から帰ってきたのは全く答えになってない一言だった。

 

「………餃子に包まれたい」

 

「はっ?」

 

何があったのか聞こうとしたが、一限目のチャイムが鳴って全員解散した。

 

 

 

 

達也は早速一限目の課題から取り組んでいた。が、目の前の大輝がウザくて中々集中できない。具体的に言うと、机の上で伏せてると思ったら、チラッと達也を見てくる。

最初は無視していたが、いい加減鬱陶しくなって「何の用だ?」と声をかけた。

 

「………話、聞いてくれんの?」

 

アピールしてたのお前だろ!というツッコミを堪えて達也は頷いた。

 

「実はさ……スズと三日も口聞いてないんだよね……」

 

「……何かあったのか?」

 

で、大輝はこの前のリーナとの一件を話した。

 

「………お前が悪いな」

 

「分かってるんだけど……でも、スズが怖くて……」

 

「怖い?お前がそう感じるのか?」

 

「ああ………」

 

その事に関しては達也は少なからず興味があった。水泳と勉強以外で弱点らしい弱点のない大輝が恐れるものだからだ。

 

「スズのさ、態度が怖いんだよ」

 

「市原先輩の?」

 

「ああ……そのリーナとの一件の帰り道もさ、なんかあの人、風紀委員本部に来て、俺のことを睨んだと思ったら帰り出すから俺も慌てて追かけて、一緒に帰ってる間は無言だし、家でも机に伏せて漫画読んでたら『晩飯できたから退け』みたいな圧力かけてくるし、昨日なんて『スーパー行くから買い物手伝え』って睨まれるし……今朝なんていつもより五分も早く起こされたんだぜ?まぁジャンプの発売日だったしいいけど」

 

「待て、色々ツッコマせろ」

 

達也はひとまず言ってから続けた。

 

「まず、同棲してるのか?」

 

「ん?おお。車椅子の時から」

 

「………まぁいい。それとな?今の話だと惚気にしか聞こえないぞ」

 

「はぁ?あんでよ」

 

「言葉交わさなくても通じ合ってるじゃないか。夫婦かお前ら」

 

「いやいや。そのくらい読めるだろ。好きな女のことくらい分かるだろ」

 

「ベテランだなおい。もう結婚しとけよお前ら」

 

「何言ってんだ?一八にならないと男は結婚できないぞ?」

 

イラッとしたが堪えた。

 

「それより、どうしたらいいかな……もう謝ったんだけどな……説教された時に」

 

「心配いらないよ」

 

「は?」

 

「そのうち、市原先輩の方から来るさ」

 

「はぁ?あの人メチャクチャ怒ってたぞ?」

 

「大丈夫だろ。心配ない。だから、そろそろ課題に戻るぞ」

 

「ああ、後で写させろよ」

 

「たまには自分でやれ」

 

と、その時に授業終了のチャイムが鳴った。

 

「……………」

 

「俺トイレ行くわ」

 

「お前のせいだからな」

 

 





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