俺も魔法科高校に入学する 作:フリーザ様
<< 前の話 次の話 >>
試験が終わった。鈴音の素晴らしい指導により、今回も乗り切った大輝は、クリスマスということもあって鈴音と二人で出掛けた。
本来なら、雫の送別会の予定だったのだが、「クリスマスなんだから彼女と!」と、エリカに押し切られて出掛けることになった。
「………あのさ、クリスマスデートってどこに行けばいいの?」
「いや私に聞かれても……」
さっきからずーっと大輝と鈴音は公園のベンチで座ってる。
「………つーかアレ、寒くない?とりあえずどっか店入って暖まろうぜ」
「そうですね。何処に行きます?」
「マック」
「ええ……クリスマスですよ?」
「じゃあケンタ」
「クリスマスといえばあるかもしれませんがファーストフード以外でお願いします」
「………もう家でよくね?」
「それは嫌です。………はぁ、まぁそうですよね。大輝くんに期待した私がアホでしたね。そんな事もあろうかと、事前に予定を決めておきました」
真由美にアドバイスもらったのは内緒である。
「決めてたのかよ……」
「ショッピングです。せっかくですから、何か買ってくれるんでしょう?」
ニッコリと微笑む鈴音。
「はいはい……。じゃあ行くか。なんか欲しいものある?」
「それ聞いちゃうんですか?」
「俺のセンスに任せるとガンプラとか買っちゃうけど」
「…………自分で選びます」
で、二人はとりあえずアウトレット的な所に出かけた。
○
街はほとんどカップルしかいなかった。
「さて、まず何処行く?」
「そ、その前に……お願いがあるんですけど……」
「あん?」
「あ、あれ………」
顔を赤らめながら鈴音は目の前のカップルを指差した。そのカップルは、腕を組んで歩いている。
「あれ、やりたいのですが……」
「ん」
大輝は腕を差し出した。すると、少し恥ずかしそうに鈴音はそれに、腕を通す。大輝はポケットに手を突っ込んだ。
「………あったかい」
目を閉じて呟く鈴音。
「柔らかい」
「台無しにしないでください」
「いやーでも意外とあるんだよねスズって……って痛たたたゴメン謝るから抓るな抓るな」
「外であまり言わないでください」
「へいへい。で、どの店入る?」
「……………」
じーっと大輝の顔を見る鈴音。
「何。鼻毛出てた?」
「いえ、その、照れたりしないのかなと思いまして」
「は?」
「せっかく、その……こちらが近くに寄ってるのに……顔色一つ変わらないんだなぁと思いまして」
「近くにどころか俺、あんたの穴の中まで入りましたからね?」
「〜〜〜っ‼︎だからそういう事言わないでください!」
と、顔を真っ赤にして大輝をポカポカ叩く。それでも大輝は涼しい顔を崩さない。
「で、何処入るの?これ三回目な」
「あ、すいません。えーっと……じゃああそこで」
鈴音の指差す先には服屋があった。
「了解」
そのまま店に突入。鈴音は早速、自分の好きな服を見に行った。普通に見たまんま清楚な雰囲気の服が好きなので、そっちへ行った。
早速、お気に召す服があったのか、大輝から離れて服を自分に当てた。
「どうですか?」
「いや着ないと分からんよ」
「試着室は……」
「つーかサイズ合ってるのそれ?」
「………選んできます」
で、サイズを選んで試着室に入った。
「………覗かないで下さいね。ここは外ですからね」
「わーってるよ」
一応、釘を刺しておいて着替えた。その間に大輝はグルリと店内を一周見てみる。何処もかしこもカップルばかり。リア充死ね、あ、俺もリア充じゃんとか思いながら欠伸をすると、シャッと音がした。
「ど、どうですか?」
鈴音が試着室のカーテンを開いた音だった。鈴音の服装はいかにも鈴音といった感じで、なんつーのかな、大人しい服装だった。
「綺麗」
「あ、ありがとうございます」
ストレートに言われて、カアッと赤くなる鈴音。
「特に、その清楚に見えてオッパイだけは強調してるエロさが綺麗です」
「んなっ……!だからそういう事言わないで下さい!」
胸のことより、あっさり見抜かれたことが恥ずかしくて声を荒げる。
「まぁ、よく似合ってるよ」
「…………ありがとうございます」
もう一回お礼を言って、試着室に戻った。
○
まぁそんな感じで買い物を続けること数時間後、気が付けば夜になっていた。色々と大輝に買ってもらい、それを嬉しそうに鈴音は手に持っていた。
「そろそろ帰るか」
「せっかくですから、イルミネーション見て行きませんか?」
「……見てどうすんの?」
「本当になんつーか……もういいや。とにかく行きましょう」
で、二人はアウトレットの中央のツリーを見に行った。
「綺麗ですね……」
「眩しいんだけど」
「だから風情もへったくれもないこと言わないでください」
「悪かったよ」
すると、大輝は鈴音の前にスッと箱を差し出した。
「ん」
「はい?」
「プレゼント」
「……………へっ?」
「そんなに意外かよ」
「いえ、そうではなくて。いつの間に買ったんですか?」
「スズがウンコしてる時にたまたま良いもの見つけて」
「ウンッ……!じゃない、そっちじゃないです!」
「ほら、いらないのか」
「ありがとうございます!」
叩きつけるようにお礼を言って、鈴音はプレゼントを受け取った。
「開けていいですか?」
「どんぞ」
で、紐を解く。少し楽しみだった。大輝のセンスによるものだったからだ。
「………さっき、自分が買うとガンプラになるとか言ってませんでした?」
「ほっとけ」
開けた。瞬間、爆発した。
「あ、間違えた。それ爆弾だった」
「嘘つけ!絶対にワザトですよね⁉︎つーかなんで爆弾なんて持ってるんですか!」
「こっちが本物」
で、今度こそプレゼントを受け取った。中には青いネックレスが入っていた。
「!」
「どう?俺のセンスも中々っしょ?」
ニヒッと得意げに笑う大輝。それに鈴音も微笑み返して、言った。
「そうですね。大輝くんにしては」
「あっ、着けてやろうか?」
「お願いします」
鈴音の首の後ろに手を回して、髪の毛をかきあげてネックレスを付けた。
「どうですか?」
「………ネックレスってさ、あんまり似合う似合わないとかないのな」
「はい?」
「いや、思ったより……こう、なんつーの?ナチュラルだった」
「そこは似合うって言っておくんですよ」
鈴音は言いながらも、ネックレスを両手で持って言った。
「大切にしますね」
「どーも」
そう言うと、写真を撮って二人は帰宅した。