俺も魔法科高校に入学する 作:フリーザ様
<< 前の話 次の話 >>
気合を入れた鈴音は風紀委員会本部へ向かった。最終下校時間となり、風紀委員も終わったはずの時間だからだ。
「失礼します。真田くんはいますか?」
「あっ、市原先輩」
中にいたのは花音だった。
「真田くんなら司波くんと帰りましたよ?」
「へっ?」
おかしいと思って携帯を見たらLINEが来ていた。
大輝くん『雫の家で勉強してくる』
それを読んで、まず鈴音は分析をした。
(大輝くんはまず同級生の女の子は下の名前で呼ぶ、問題ナシ。前に一度行ったことあるらしいし、女の子の家に遊びに行くというのは大輝くんにとって友達の家に行くようなもの、問題ナシ。勉強してくる……まぁ友達とならもしかしたらやるかもしれない、問題ナシ。また、司波くんと一緒に出て行った所から二人きりということもない、問題ナシ)
「……どうかしましたか市原先輩?」
「問題ないですね」
「は?」
「あっ、いやなんでもないです。では、お邪魔しました」
そのまま鈴音は笑顔で出て行った。
(今日の夕飯は何にしましょうか)
そんな事を考えながら。
○
「……ぐぁーっ!訳ワカンねぇ!」
「五月蝿い!叫ぶな!鬱陶しい!」
「お前のが五月蝿ぇよ赤いの!」
「れ、レオくんもエリカちゃんも大輝くんも落ち着いて……」
雫の家。達也、深雪、大輝、エリカ、レオ、美月、幹比古、ほのか、雫といういつもの面子。
「ていうか!あんたに五月蝿いとか言われたかないわよ!」
エリカがソファーの上で音量マックスでゲームやってる大輝を指差した。
「あん?お前のせいでモンスターの声が聞き分けらんねんだよ。それによって捕獲可能か聞き分けてんだよ」
「知らないわよ!てか職人?どこまでのめり込んでるのよ!」
「いいだろ別に黙っとけや。あっ、お前ペイント外しちゃったじゃねぇか。どうしてくれんだこの野郎」
「そもそも勉強会なのよここは!」
「ほっとけエリカ。あいつはもう手遅れだ」
達也に言われ、渋々黙るエリカ。鈴音の予想は外れていた。
「そうですよ。あの人はもうダメです」
「そうだよ。ダメなものはどこまで行ってもダメ」
「目の前で言っちゃうんだ」
ほのかと雫の容赦ない一言に、大輝は棒読みで呟いた。
「まぁ、モンハンは面白いからな。ダメになるのも分かる」
達也が意外にも賛同した。
「だべ?」
「お兄様?ゲームなんてやってたんですか?」
「ああ。深雪もやってみるといいよ。中々面白いし、ネットワークに接続すれば世界中の人と出来る。俺も大輝とよくやってるよ」
「へぇ、意外です達也さん。私も買います」
F91かってレベルで手の平を返すほのかの隣で雫が呟いた。
「安心した。それをアメリカに留学しても一緒に遊べる」
「そうだね。よかったねしず……今なんて言った?」
聞き捨てならない言葉に、ほのかは聞き返した。
「一緒に遊べる」
「その前」
「安心した?」
「その後!」
「アメリカに留学?」
「はい、そこぉ!」
ビシィッと指を差すほのか。
「聞いてないよ⁉︎」
「ごめん、昨日まで口止めされていたから」
本当に申し訳なさそうに言う雫。
「でもさ、留学なんてできたの?」
「ん、何でか、許可が降りた。お父さんが言うには交換留学だから、らしいけど」
雫が説明する。
「交際交流だかなんだか知らないが、そんな上っ面なことのためだけに友情を引き裂くたぁ、流石日本だなおい」
「なんだお前。北山さんのこと心配してるのか?浮気か?浮気なのか?」
レオがニヤニヤしながら聞いた。だが、大輝は真顔で返した。
「いや、俺ロリコンじゃないし」
「大輝さん、私、同い年」
単語だけで抗議する雫。だが、大輝はゲームから目を離さずに返す。
「顔も身長もオッパイもロリータだろうが。凹凸一つない平面な田舎だろうが……」
と、言いかけた大輝のコメカミに、シャーペンが突き刺さった。雫が投げたものだ。プシューっと出血する大輝を無視して、達也がまとめるように言った。
「じゃあ、送別会をしなきゃな」
○
帰宅した。大輝は帰りにブックオフだのなんだのと寄り道してから帰宅。キチンと節約の為に立ち読みで済ませている。
「たでーまー」
テキトーに挨拶して家に入る。鈴音が出迎えた。
「おかえりなさい」
「あ、起きてたんだ。寝てても良かったのに」
「いえ、そうもいきませんよ。ご飯食べますか?」
「頼むわ」
もう作ってあったのか、さっと出てきた。今日の飯はカレーだった。
「………バター入れた?」
「よく分かりましたね」
「美味い。味は本当神。でも次からは甘口にしてくれ」
「本当に甘いものが好きなんですね。糖尿になりますよ」
「定期的に甘いもの取らないと錯乱するんだわ俺」
「もはや病気ですねそれ」
で、食べ終わった。
「それで、今日はどこまで進んだのですか?」
「ハンターランクが871になった」
「は?」
「あ?…………あっ」
今更自分の失言に気付いた大輝。だが、遅かった。
「今夜は寝かせませんからね」
「このスケベ女」
「そういう意味じゃありませんよ!」
結局、この夜は本当に勉強させられた。