俺も魔法科高校に入学する 作:フリーザ様
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勉強
期末テストが近くなった。大輝の身体はほとんど復活したにもかかわらず、鈴音は未だに大輝の家に居座っていた。
「はい、ご飯できましたよ」
「さんきゅー」
「………最近ゲームばかりですね。勉強はしてるんですか?」
母親みたいなことを言いながら鈴音は食卓に飯を並べていく。それを手伝いながら答えた。
「してるよ」
「しれっと嘘つかないでください。少なくとも家ではやってませんよね」
「いんだよ、勉強なんて。社会に出たってどーせなんの役にも立たないし」
「魔法科高校の場合は職業にもよると思いますが。どんな職に就きたいんですか?」
「ガンダムのパイロット」
「ねぇよ」
「じゃあザク」
「そういう問題じゃありませんってば」
「わかったよ。ジオング」
「人の話聞いてる?そもそも、直立戦車もまともに動かさなかったのにモビルスーツなんて夢のまた夢ですよ」
「うるせーなぁ。お前あれ意外と難しいんだぞこの野郎」
で、二人手をあわせる。
「いただきます」
「だきます」
「ちゃんと挨拶しなさい。生き物の命をもらっているのですよ?キチンと感謝なさい」
「感謝感激雨嵐」
「うんもうどうでもいいや」
で、飯を食べる。今日の飯は炒飯だった。
「……うめぇ」
「ありが………」
「俺が作ったほうが」
「本当に余計なことばかり言うのですね……」
「冗談だよ。普通に美味い」
「そうですか。良かったです」
そのまま飯を食う。
「………試験どうしよう」
「やっぱり不安なんですね……」
頭痛を抑えるようにこめかみに手を当てる鈴音。
「教えて下さい」
「………仕方ありませんね」
「いやー本当に助かるわ。留年したらどうしようかと思ったからなぁ」
「ちゃんと勉強しないからですよ……まったく」
「ままま、いいじゃんそこは。まぁスズがいれば大丈夫だよな。教えるの上手いし」
「来年からは無理ですからね。私も大学生で忙しいので」
「えーいーじゃん。面倒みてよ永遠に」
「ヒモになる気ですか」
「あっ、それ、いいかも………」
「よくありませんよ!私にだけ働かせるつもりですか⁉︎」
「つーか、俺と結婚する気なの?気、早くね?」
すると、カアッと顔が赤くなる鈴音。
「ば、バカ!アホ!すけべ!」
「何でだよ!」
「いいから早く食べなさい!」
「な、なんで怒ってんの……?」
そのままもっさもっさと食べ終わった。
「では、勉強しますよ」
「その前に食休みさせてぇ〜」
「分かりました。十分だけね?」
「うーい……」
十分後。
「じゃ、勉強始めますよ」
「ごめん、風呂入ってくるわ」
「ええっ?」
「ほらだってさ、勉強のあとになんかするのってダルくね?」
「はぁ……わかりました。早く入ってきて下さい」
「次入るっしょ?てか入んないと風呂冷めるから入って」
「分かりました。……覗かないで下さいよ」
「何今更言ってんの?昨日、したばっかじゃん」
「そういう事言わなくていいです!」
で、風呂に入り、後から入った鈴音が上がった。
「さ、勉強を再開しま……」
「zzz………」
軽くイラッとしたが、普段の図々しさと強さからは考えられないほどのくったない寝顔を見てしまえば、何も言えない。
「………明日は勉強しますからね」
そう言うとわ鈴音は同じ布団に入って寝た。
○
「……と、いうわけなんですが」
「甘やかし過ぎよリンちゃん」
「甘やかし過ぎだぞ市原」
真由美と摩利に口を揃えて怒られた。
「蹴り起こして無理矢理にでも勉強させるくらいはしないとダメだろう」
「ですよね……でもあの寝顔を見るとどうも……」
周りの目も気にせずうっとりする鈴音。そして、携帯を取り出した。
「ほらこれです」
そこには、大輝の寝顔の写真があった。
「た、確かに……」
「確かにじゃないわよ摩利。ファイル名『天使の寝顔』って何よこれ」
納得する摩利と呆れる真由美。
「これだけじゃないんですよ。ほら、ほら、ほら……」
と、鈴音は次々に大輝の家でしか見られない写真を見せる。
「ちょっと待ってリンちゃん。フォルダ数千五百枚ってこれ全部真田くん?」
「そうですが?」
「市原!私にも少しくれ!」
「くれじゃないわよ!リンちゃんってこんな子だったっけ⁉︎」
で、真由美はため息をついた。
「とにかく、甘やかし過ぎよ。ちゃんと教育しないとダメ男になっちゃうわよ」
「そう言われましても、そもそも私親じゃないので」
「そうかもしれないけど……まぁそうじゃなくて。勉強くらいはさせなきゃダメ。じゃないと本当に留年しちゃうわよ」
「あ、これ私のお気に入りです。エプロンの大輝くん」
「それはかなりいいな!」
「人の話聞いてる⁉︎」
真由美に怒鳴られ、二人は前を向いた。
「とにかく、しっかり勉強させなきゃダメ。いいわね?」
「分かりました」
鈴音は、今日こそはと気合を入れて、再び摩利に写真を自慢するのだった。