俺も魔法科高校に入学する 作:フリーザ様
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いつもの日常
繁留が帰ってから、大輝は車椅子の上でゲームをやり、鈴音は何をしたらいいのか分からず、ずっと座っていた。
「あの、スズさん。寛いでていいですよ。正座なんてしなくていいんで。あの辺にジャンプの山あるんで好きに読んでてください」
「……は、はい。あの、大輝くん」
「はい?」
「二人きりの時は……その、敬語やめてもらえませんか?」
「は?なんですか?」
「せっかく恋人になったんですから……その、学校ではそうもいかないでしょうけど、二人きりの時くらいは…」
「わかったよ。スズ」
「! はい」
で、鈴音は大輝の指差したジャンプの山に手を伸ばす。
「あまり漫画は読まないのですが……」
と、消極的ながらも読んでみる。思ったより面白かったのか、推理小説でも読んでるのかってレベルで読み込む鈴音。それを横目で見ながらも、大輝も手元でモンハンを続けた。
○
一時間後。
「あの、鈴音さーん?お腹すいたんだけど……」
「今いいところなんです!もう少し待ってて下さい!」
「………ねぇ、お願いだからお願い。お腹空いた」
「いいから静かに!」
大輝は泣きそうになった。このままじゃ飯が食えないと判断した大輝は結局、自分で作った。
○
翌日。二人は一緒に登校。
「アレだな。座ったまんまっていうのもなんか楽でいいわ」
「そうですか?痔にならないといいんですが」
「怖いこと言うなよ」
そんな事を話しながら歩いてると、後ろから声がした。
「よぉーっす」
「あら、千葉さん」
「エリカか」
「二人朝早く仲良いねぇ」
ニヤニヤするエリカ。
「エリカ、余りからかっちゃ悪いよ」
後ろに立っていた幹比古が注意をした。
「分かってるわよ。ミキ」
「幹比古だ!」
と、いつものやり取りをする。
「まぁな。で、なんか用?」
「いえいえ、お邪魔者は退散しますよ」
そのままエリカは走り去った。そのあとを追う幹比古。
「何しに来たんだあいつ」
「さぁ………」
で、昇降口に到着。
「じゃあ。またあとで」
「はい」
大輝と鈴音はそこで別れた。そこからは大輝は自分で教室まで行かなきゃならないわけだ。右手のレバーを上手く動かし、移動。だが、途中で椅子が勝手に動いた。後ろを見ると、美月が車椅子を押してくれていた。
「おはようございます。大輝さん」
「あ、どうも。悪いな」
「いえ。横浜では助けてもらいましたから」
結果的に助けたというだけで、決して助けようとしたわけではないのだが、まぁ美月が助けてもらったと思っているなら、それはそれでいいか、と大輝は思っていた。で、教室に到着。
自分の席まで運んでもらった。
「よう、大輝。大丈夫か?」
「ああ。まぁな」
前の席のレオが声を掛けてきた。
「しかし災難だったな。自分で投げた武器に潰されるなんてよ」
「自爆だけどな。本当にかっこつけなきゃ良かった」
「かっこつけてたのかあれ……。でも、よくあんな化け物をタイマンで倒せたなお前」
「あの程度なら問題ねーよ」
「そうか。お前にも色々稽古つけてもらいたいもんだぜ。技はエリカに教わったからな。喧嘩の仕方とかはお前だな」
「おい、何勝手に決めてんだよ。つーか俺から教えることなんてなんもねーし」
「そうでもないだろう」
そこに口を挟んだのは、達也だった。
「あ、達也」
「剣の使い方くらい教えてやったらどうだ?」
「叩く、以上」
「テキトー過ぎるだろ」
なんて、会話。いつものメンバーと会話をしていた。その様子を近くで見ている奴が一人いた。いつもいつも風紀委員の名の下に自分達を苦しめてきた大輝が、今は車椅子。このチャンスは滅多にないと感じたそいつは、密かに行動を開始していた。