俺も魔法科高校に入学する 作:フリーザ様
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「ねぇ、リンちゃん……」
「なんですか?」
真由美が緊迫感のある顔で聞いた。
「真田くんとはどうなったの?」
「今ここで聞くことですか」
言いながらも顔を赤らめる鈴音。
「上手くいったんだ。よかったわね」
「おめでとう市原」
「二人とも……」
鈴音は笑顔で言った。
「置いていったことと無理矢理告白させたことは許しませんからね」
摩利と真由美は目を逸らした。その時だ。ガギィィィンッッと金属音がした。中央で、竹光と棒がぶつかり合った音だ。
「おいおい、俺とやり合うのにお前怪我してんじゃねぇか。大丈夫なの?それ負けた時の言い訳?」
「お前に言われたくない。隠しているようだが、左肩や頭から血が出てるぞ」
「……ハンデはお互い様ってとこか?」
「そうかもな。これでプラマイゼロだ」
「あっそ。じゃ、全開でやり合ってもいいんだな?」
大輝は言うと、呂剛虎の棒をいなし、足を払って転ばせた後、その足を掴んで振り回し、思いっきりブン投げた。壁に激突、そこに大輝は追撃しようと突っ込む。だが、そこから棒が伸びてきて、直撃は回避したものの、大輝は後ろにブッ飛ばされた。
「これ、魔法師の戦いだよね……?」
「よせ、それ以上言うな」
引き気味に呟く真由美と、注意する摩利。
すると、倒れてる大輝に呂剛虎は殴り掛かった。だが、首を傾けるだけで大輝は躱し、蹴りで上から退かすと、竹光で脇腹を魔法斬りで斬った。だが、ガギンッと金属音。棒でガードされた。
その棒が伸びて曲がった。
「っ⁉︎」
それが大輝の左肩の銃弾の通った後を貫通する。
「曲がんのかよそれ……‼︎」
「ああ。奥の手は取っておく主義でな」
大輝はツッコミながら、後ろに倒れ込み、巴投げをした。後ろに倒れながらも、棒を振り上げ、大輝の左肩が抉れた。
「ッ………‼︎」
左肩を抑える大輝。呂剛虎はまだ元気だ。
「大輝くん!」
鈴音が心配そうに声を上げた。だが、大輝は立ち上がる。
(まだ勝てないこともないけど……)
と、大輝は自分の肩を見る。
(まだいけそうだな)
そう判断すると、「うおおお」と雄叫びを上げて突進してくる呂剛虎を見た。拳と棒と蹴りを上手く使って攻めてくるが、大輝は竹光一本で捌く。そして、隙を見つけると、鞘で顎を殴り、顔面に廻し蹴りをブチ込んで殴り飛ばした。
ズザッズザザザッと地面を転がる呂剛虎。だが、すぐに立ち上がり、ジリジリと隙を伺う。
「ッ!」
また突撃。棒で突きを放つも、大輝は後ろにバク転しながら、両足で呂剛虎の首を挟み、地面に頭から叩きつけた。頭が激突する前に、呂剛虎は両腕を地面に着け、頭部のダメージは避けたものの、地面に倒れる。その顔面に容赦なく突きを放つ大輝。ギリギリ棒を盾にして、首を傾けて躱したが、その腹に蹴りを入れられ、ゴロッゴロロッと転がり、受け身をとって棒を構えた。その棒が、キシンッと音を立てて二つに切れた。
「すごい……!圧倒してる……!」
エリカが声を漏らした。レオもその戦いぶりに見入っている。
すると、呂剛虎は大きくジャンプした。
(奴を倒すには、これしかない)
そして、空中で棒を最大限まで伸ばし、長さ三十メートル、直径三メートルまで伸ばした。どうやら、空中から重力を利用して特攻するつもりらしい。
(あれは流石にマズイ。仕方ない、『本気』出すか………)
言うと、大輝の目が赤く光った。大輝の生まれながらに持つ魔法「本気」。三段階まであって、自分の身体を無理矢理極限まで最高状態にする。あ、傷が治るってわけじゃなくて、なんつーの。戦闘力が上がる的な。
その内の第一段階を解放した。第一段階で上がるのは、パワーのみだ。
「クタバレェッ‼︎」
雄叫びを上げて、呂剛虎は棒を持ってツッコんだ。それが大輝の上に直撃する。
「! 大輝くん……!」
と、鈴音は声を漏らした。だが、必要なかった。大輝は、片手でその棒を支えていた。もうほとんどデタラメなその状況に周りが唖然とする中、大輝はその棒を思いっきり空にぶん投げた。ギュウィィィィインッッと飛んでいった。
「ふぅ……終わったか……」
脱力する大輝。その時だ。目の前に呂剛虎が降ってきた。
「っ」
そのまま呂剛虎は折れた方の棒を構えた。
「真田くん!」
真由美が叫んだ。鈴音が魔法を発動しようとする。大輝の身体は、反応しきれなかった。だが、身体はの話だ。頭は動いていた。呂剛虎の突きを、頭突きで砕いた。
「ッ………⁉︎」
が、もちろん大輝の頭も無事ではない。ポタポタと血が流れる。だが、竹光を握り直し、後ろに振りかぶった。
「気合いって、素晴らしい」
そう言うと、脇腹を竹光で思いっきりぶん殴った。ゲハァッと血を吐き出し、呂剛虎は思いっきりぶっ飛び、どっかの壁に減り込んだ。頭から流れる血を拭うと、大輝は鈴音を見た。
「終わりまし」
言いかけた瞬間、さっき投げた巨大化したもう半分の棒が降ってきて、大輝はプチッと音を立てて消えた。全員、あんぐりと口を開いた。