俺も魔法科高校に入学する 作:フリーザ様
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で、論文コンペ会場に到着。
「遅かったな、七草」
克人が行った。
「あそこのアホのせいでね」
真由美の視線の先には、大輝が「あっ、バズーカ忘れた」と呟いていた。
「真田」
十文字が呼んだ。
「はい?」
「気を抜くな。お前は、市原の護衛だ」
と、真剣な目で言われた。
「わーってますよ。鈴音さんには指一本触れさせやせん」
「ならいいが……」
と、テキトーに返しておきながらも、大輝はいつでも戦えるように心の中で準備していた。
○
そして、三時。いよいよ、一高代表チームの番となった。鈴音が舞台の中心で発表し、五十里はその隣でデモンストレーション機器を操作し、達也は舞台袖でCADのモニターと起動式の切り替えを行う。
「……核融合発電の実用化に何が必要となるか。この点については、前世紀より明らかにされています」
その様子を大輝は一番後ろの入り口から見ていた。なんだかんだ、大輝は頑張って作業をしていた鈴音とその愉快な仲間達を見てきた。だから、少しどんなことをしてるのか興味があった。だが、一気に聞く気が失せたのだった。何を言ってるのか分からなかったからだ。
そのまま発表をボンヤリと眺めていた。
(ウンコしたいや)
そう思って会場を出ようした時、ちょうど鈴音の発表が終わった。心の中で、お疲れさんと上から目線で語りながら、また出ようとした時、轟音と振動が会場を揺るがした。が、まったく構わず大輝は外に出ると、テロリストと鉢合わせした。対魔法師用のハイパワーライフルを持った奴らが数人いる。
「うおっ」
反射的に大輝は木刀で全員ブン殴って、全員壁に減り込ませた。
「うおお……ビックリしたぁ……」
そう呟きつつも、一応増援が来ないか確認する。どうやら、まだ来てないようだが、後から来ないとも限らない。すると、減り込んだ奴の通信機が鳴った。
「はーいこちらドーベンウルフ隊隊長ラカン・ダカラン。どーぞ」
『配置についたか?』
「ん?あー……」
こいつら全員揃ったところで突入する気だなと思い、大輝は返した。
「いや、一人緊張のあまり下痢気味でさ、一回ウンコタイム取った」
『何やってるんだ!正露丸飲んどけって言ったろうが!』
どんな指示してんだこいつらと思いつつも、大輝は「すいやせんね」と、謝っておいた。
「まぁ戻って来たら言っとくから、そっちは準備しといて」
『了解』
で、大輝は減り込んだ奴らをジーッとみた。
○
「状況は⁉︎」
エリカの一番上の兄貴、千葉寿和はフリーハンド通信機で聞いた。
『管制ビルに突っ込んた自爆車両は炎上中。追加の特攻はありません』
と、聞こえた。だが、安心できる言葉ではない。
『停泊中の貨物船よりロケット弾が発射されました!歩兵用ランチャーを使用した模様です!』
「船籍は⁉︎」
『登録はオーストラリア船籍の貨物船!ですがこれは形状から見て、機動部隊の揚陸艦と思われます!』
奥歯を噛み、寿和は通信を切り替えた。
「……親父か?寿和だ。国防軍に出動要請たのむ。それから雷丸と大蛇丸を至急届けさせてくれ。……大蛇丸?エリカに使わせるに決まってるだろ!」
そこで通信を切った。
○
「深雪!」
「お兄様!」
深雪とお兄……達也はステージ下で合流した。
「これは一体……」
「正面出入口付近でグレネードが爆発したのだろう」
すると、ガタガタと敵が入って来た。
「大人しくしろっ」
「デバイスを外して床に置け」
それに従う各生徒たち。悔しそうな顔でCADを床に置く。
「おい、オマエもだ」
達也に銃が向けられた。達也の目には動揺も恐怖もなかった。だが、達也は何も恐れることなく、そいつに近付いた。
「おい、待て!」
その瞬間、達也の後ろの奴がガチャッとハイパワーライフルを向ける。その瞬間、銃声が響き、血が噴き出す。だが、血を噴き出したのは達也の後ろの敵だった。撃ったのは、達也の目の前のテロリスト。
「何の冗談だ。大輝」
「気付いてたんなら怖い顔すんなよ」
帽子を取ると、大輝がテロリストの格好をして立っていた。
「真田くん⁉︎なんで……‼︎」
と、言いかけた深雪だが、周りからガチャッとハイパワーライフルを構える音がした。全部大輝に向けられている。
「裏切り者め!」
「どこの部隊の者だ!」
だが、答えることなく大輝はハイパワーライフルを発砲し、片っ端から狙撃。全員の意識が大輝に向いてる間に、他のテロリストを各生徒達が取り押さえた。その様子を見ながら大輝は呟いた。
「いやー作戦大成こ……」
と、言いかけた大輝を達也は飛び蹴りし、取り押さえた。
「オイィィィ!何しやがんだ達也!」
「いや、テロリストを取り押さえただけだけど?」
「ふざけてる場合か!バカバカバカ脱臼する!テメェ俺のお陰で助かったのを忘れたかこの野郎ッ‼︎」
「でもテロリストなんだろ?テロリストはテロリストだろ?俺に銃向けただろ?」
「分かった!俺が悪かった!謝る!謝るから離せ!」
で、ようやく解放された。
「達也くん!」
「達也!」
エリカ、レオ、幹比古、美月、ほのか、雫が集まって来た。
「よう。お前ら」
「お前、大輝か」
レオが言った。
「あんたどうしたのよ、その服」
「さっきウンコしに行ったら外にいたから洋服とライフルもらった」
言うと、全員呆れた顔をする。
「大輝、外の様子はどうだった?」
「そんなしっかり見えなかったよ。三十秒で着替えて敵の中に溶け込んだんだから」
「まぁ仕方ないか……。何にせよ、まずは逃げ出すにしても追い返すにしても、まずは正面入り口の敵を片付けないとな」
達也が言った。
「待ってろ、なんて言わないよね?」
エリカが目を輝かせている。
「別行動して突撃されるよりマシか」
言うと、達也は出口に向かった。
「達也、鈴音さん見なかった?」
「ステージ脇に……あっ、いやそこで七草先輩と一緒だ」
「なら、俺は残るよ。こっちは任せろ」
「分かった」
そのまま二人は別れた。
○
正面出口付近。ライフルと魔法の撃ち合いの真っ最中だった。先頭を走っていた達也は出入口の扉の影で足を止めた。二番目の深雪も足を止めたが、三番手のレオは横並びについてきた。
「止まれ!対魔法師用の高速弾だ!」
レオの襟首を掴んで引きずり戻す。「ぐぇっ」と潰れたカエルのような声を出して後ろに倒れるレオ。
「……達也、容赦ないね」
「でも、おかげで命拾い」
幹比古が引き気味に言って、雫も淡々と呟いた。達也は深雪に目を向けた。
「深雪、銃を黙らせてくれ」
「かしこまりました。ですがお兄様、この人数を一度に、となると……」
「分かっている」
達也の差し出した左手に右手の指を絡める深雪。そして、『凍火』を発動し、敵のライフルを全て使用不可にすると、達也は飛び出し、片っ端から手刀で敵を斬り裂いた。遅れてエリカも参戦し、あっという間に敵を殲滅してしまった。