前回の続き。
MBTIダイナミクスの心理機能は、スペクトラムのなのか?確率論的な切り替えなのか?
もう一度一個一個、スペクトラムの変化を見てみよう。
まずはE⇔I軸。
INTP:Ti Ne S Fe
ENTP:Ne Ti F Si
「主機能・補助機能間」「第三機能・劣等機能間」にスペクトラム的なアナログ的な隙間が存在しているのかどうか?
というのが主要議論となる。
これは疑わしいと思う。
論拠は「補助機能・第三機能間」の距離が存在していない事と、ダイナミクスの主機能・補助機能の距離の意味の定義の難しさがあるから。
距離の意味を定義するのは、「アナログ的なダイナミクス機能間の注意の配分仮説」のような物を用意しなければならないが、「補助機能・第三機能間」の距離がどうなるかを全くわからない所に問題がある。
現時点ではE⇔I軸に関しては「確率論的な切り替わり仮説」が成立している可能性が高い物と仮説を立てる。
(これも「補助機能・第三機能間」の距離定義ができれば可能性は無くはないと思うが。ちょっとこれの検証までは頭が回らない)
次にP⇔J軸。
INTP:Ti Ne S Fe
INTJ:Ni Te F Se
これもダイナミクスの表現の中にT⇔N軸やS⇔F軸のような物が存在しているかどうかが主要議論となる。
これはE⇔I軸とは違い特定タイプ内の心理機能の入れ替わりの変化ではないので上記とは本質的に違う構造を持っている。
T⇔N軸のような物があると仮定する。
そうするとこれ以外にも次のような次元を考えなければならない。
T⇔F軸
T⇔S軸
F⇔N軸
F⇔S軸
S⇔N軸
T⇔F軸もS⇔N軸も特定タイプ内の入れ替わりではなく、別タイプ間の遷移の話になる。
ここが連続的か離散的かという議論。
・アプローチ1(方程式化してみる)
それぞれの軸に比例定数を立てて方程式を解こうとしても6個の方程式に対して変数が10個になるの解は出ない。
ダイナミクスのモデルを拡張すれば存在しえる可能性はあるとしかいいようがない。
・アプローチ2(注意と無意識というものの次元への考察)
「特定タイプ内のアナログ的なダイナミクス心理機能間の注意の配分仮説」が成立しているのならば同時に「別タイプ間の主機能の注意の配分仮説」は同時に存在しえないという事。
何故ならば注意の配分という定義が「ダイナミクス内部内の距離である」というのと「各タイプのダイナミクス間の距離である」
では同じ心理機能への配分位置が二次元に分散してしまい、総合的な注意配分がどうなっているのかの実態定義が困難になるから。
心理機能への「注意量」と「無意識の働き」は別次元軸であると考えるのが普通だと思うというのが論拠。
・アプローチ3(自分の経験則)
注意の配分としてそもそも(Ti Fi)(Ti Ni)(Ni Si)のような注意配分が同時に存在しているのかどうかという事。
これが無いとしてみる。
例えば(Ni Si)が同時に存在していないというのは違和感がある。
知覚対象を抽象的に捉えるか具体的に捉えるかは明らかに認知機能上スペクトラム的だからだ。
(Ti Fi)が同時に存在していないというのはどうだろうか?
判断TiとFiで同時に存在していない。
これはどうだろうね、意思決定の価値判断対象を意識配分として、両方を考慮するという注意配分はあると言えばある気がするし離散的だといえばそのような気がする。
(Ti Ni)が同時に存在していないと仮定する。
これもある気がするし無い気がする。
・アプローチ4(四軸の内、二軸変化をしなければ中庸な注意ができない心理機能の存在)
(Ti Te)(Fi Fe)(Si Se)(Ni Ne)の注意配分がグレーな状態を考えてみる。
これはPJ軸とEI軸の両方がグレーな状態でなければ無理やね。
感覚的には両方同時に知覚しているというのはある気がするし無い気もする。
でも、この変化が一番怪しいよね。
実はPJ軸そのものが本質的に確率論的な軸な可能性もあるのかもしれない。
逆に言えば上記4つのどれか一つへの注意配分のバランスがよければパーソナリティ的にPJ軸EI軸が中庸になるという事を示唆しているわけで。
実は心の健康を保つ上で最も重要な組み合わせなのかもしれない。
・アプローチ5(究極の中庸は存在しえるのか?)
究極的に言えば究極の中庸。
Ti Te Fi Fe Si Se Ni Neの全機能に対して、注意を同時に八等分できるのか?
という仮定をすると無理だろと思ってしまう。
そういう考え方をするとやはり、どこかに離散的な軸が隠れているのではと思ってしまう部分もある。
それがあるとするのならば、恐らくSN軸以外のどれかだろう。
ダイナミクスの構造変化だけで考えるのならばEI軸とPJ軸が怪しいといえるのではないか?
現時点での結論
EI軸変化に基づいたダイナミクス内部間の軸に関しては注意量ではなく無意識の使い方の配列を単に表したにすぎない
EI軸に関してはまだ扱いが難しい。
ダイナミクス内部の配列の交換的な視点で見るのならば離散的と見るのが自然だが他タイプとのスペクトラムな視点。
例えばTi⇒Neに変化をするのはダイナミクス内部の交換ではなく単純に他タイプとのダイナミクスの中庸状態が存在しているだけという見方もできる。
次の仮説を今のところ有力としたい。
(Ti⇔Fi)(Te⇔Fe)(Si⇔Ni)(Se⇔Ne)の変化する過程は連続的である。
ダイナミクス上複雑な変化をもたらす他の機能同士の交換は非連続で確率論的である。
この仮説を元に、ダイナミクスをもう一度議論すると面白い世界が見えてくるのかもしれない。
例えば主機能が(Ti⇔Fi)のグレーな注意配分変化をしている時に補助機能以下がどうなるかとかね。
もちろんこの仮説が偽である場合、他のモデルが成立していた時のダイナミクス構造を可視化するのもそれはそれで面白い。
今回はまぁ、まだまだ本質には遠いかもしれないが、MBTIに対する注意の配分という側面構造がどうなっているのか少し明らかになったのはよかったと思う。