俺も魔法科高校に入学する   作:フリーザ様
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入院中

 

 

日曜日になった。レオはエリカと特訓、幹比古は十文字と特訓、とそれぞれが鍛えている中、達也はロボット研究部のガレージに入った。

 

「おかえりなさいませ」

 

中から、ピクシーが出迎えた。いい趣味してるよ……と、思いつつも達也はそのロボットに「一年E組、司波達也」と名乗った。

 

「コーヒーをご用意、いたします」

 

で、達也の前にコトリとコーヒーが置かれる。

 

「ピクシー、サスペンドモードで待機」

 

達也が言うと、「かしこまりました」と答えた。で、首を回すと、達也はキーボードに指を置いた。魔法式の動作シュミレーションを行っている。

そのままカタカタと軽快にキーボードを叩いて一時間ほど、身体に不調を感じた。眠気を感じた。

 

(根を詰めすぎたかな……)

 

そう思って深呼吸してみたが、眠気がなおさら強くなった。自分の体調は明らかに不自然だ。そのまま眠りそうになった時、自己修復能力が作用した。

 

(ガスか!)

 

そう判断すると、達也は息を止め、その場から逃げ出そうとした。その目の前に人影が立ち塞がった。

 

「空調システムに、異常が、発生しました。マスクを、お使いください」

 

ピクシーが簡易防毒マスクを差し出しているのだっだ。それを達也は受け取る。

 

「ピクシー、強制換気装置を作動。避難時の二次災害を警戒し、俺はここに留まる。監視モードで待機。救助のための入室に備え、排除行動は禁止する」

 

その台詞に従うピクシー。そして、達也は自分を眠らせたであろう人物は必ず来ると判断し、端末の前に座り直してマスクを外し、目を閉じたまま身体の力を抜いた。

そのあと、待ち人はすぐにやってきた。

 

「司波?」

 

聞き覚えのある上級生の声。

 

「司波、眠っているのか?」

 

その人物はもう一度聞いたが、達也は起きない。完全に寝たふりである。するとその人物は、サブモニター用のコネクターからハッキングツールを使って、起動式のデータを吸い上げようとしていた。

 

「関本さん、何をしてるんですか」

 

声が掛かった。それも聞き覚えのある声。

 

「千代田、どうしてここに⁉︎」

 

「どうして?私がここに来たのは保安システムから空調装置の異常芸能を受け取ったからですが」

 

「バカな……警報は切ってあったはずだ……」

 

「そうですね。警報は自動ではなく手動で届きましたから。しかし、聞き捨てならないことを言いましたね、今。警報を切ったとはどういうことです?」

 

聞かれて、関本は何も答えられない。その関本を追い詰めるように花音は言った。

 

「関本さん。この状況で黙っているのは、自分が犯人だと自白しているようなものですよ。ねぇ、司波くん?」

 

声を掛けられ、達也はむくりと起き上がった。

 

「バカな、ガスが効いていないのか……」

 

「彼は睡眠ガス程度で無力化されてくれるような、かわいいタマじゃありませんよ」

 

完全に逃げ場の失った関本。そして、花音は口調を変えて言った。

 

「関本勲。CADを外して床に置きなさい」

 

だが、関本は起動式を展開する。

 

「千代田!」

 

しかし、

 

「かっこつけすぎなんですよ。関本さんは」

 

関本の魔法は不発のまま終わった。花音の振動魔法に意識を刈り取られたからだ。関本はそのまま、部活連に引き渡された。

 

 

 

 

病院。

 

「真田くん」

 

と、鈴音が病室に入ってきた。ここ最近、毎日のようにお見舞いに来ている鈴音。だが、今日は大輝は病室にはいなかった。

 

「……トイレ、ですかね?」

 

とりあえず待つことにした。

一方、ようやく、多少身体が動くようになった大輝は、飲み物を買いに購買へ向かった。昨日、鈴音がお見舞いへ来てくれた時に、持ってきてもらった木刀を腰に差して。

今日はチーズケーキを買ってきてくれると約束した日ということもあり、少し楽しみにしている大輝。

だが、その途中、平河千秋と書かれた病室を見つけた。

 

(ほんとにここに入院してんのか)

 

と、心の中で思った時だ。その病室の目の前の階段から、ものっそいガタイのいい男が上がってきた。明らかに、お見舞いが目的ではないことが一発で分かった。

 

「オイ、お前。一応聞くけど、この部屋にいるもっさりした女に用があんのか?」

 

「………邪魔をすれば、お前は死ぬ」

 

まるで会話になっていなかったが、大輝はこいつの狙いが千秋であることはすぐに分かった。次の瞬間、大輝の顔面に男……呂剛虎の拳が減り込み、大輝の木刀が呂剛虎の胸に突き刺さった。

ボスォアアアッッ‼︎と、打撃と刺突の効果音が混ざり、床、壁、天井がヒビ割れた。ドロッと頭から血が流れるのも気にせず、大輝はニイィィッと口を歪ませた。呂剛虎はその大輝に言った。

 

「最後通告だ。邪魔をしなけりゃお前は殺さない」

 

「風紀委員の鬼ナメんな」

 

そのままさらに二人の拳と木刀がブツかり合った。

 

 

 

 

「なんだ⁉︎今の音は!」

 

病院にいた摩利と修次は上を見上げた。そこから、さらに打撃音が響く。

 

「摩利、多分この戦闘音の原因を作ってる奴らは只者じゃない。君は上に来るな」

 

「シュウは⁉︎」

 

「僕は様子を見に行く」

 

「それなら私も……!」

 

「ダメだ。それより、摩利には入院してる真田くんの様子を見に行って欲しいな」

 

「………わかった」

 

そのまま二人は別れて、摩利は大輝の病室へ、修次は音のする方へ向かった。

 

 

 

 

再び、大輝と呂剛虎の戦闘。

 

(身体が万全じゃねぇ……魔法斬りは使えないか……)

 

冷静に大輝はそう判断しながら、呂剛虎の鋼気功を纏った両腕と渡り合う。拳を横に躱しながら、木刀を持ってない左手の平でパァンッと払って体勢を崩すと、呂剛虎の横腹に木刀を叩き込んだ。だが、呂剛虎は左膝でガードし、右脚で跳びながら回し蹴りを放った。

しゃがんで躱され、呂剛虎は大輝を飛び越え、後ろに着地した。そのまますぐに後ろ回し蹴りを放った。足が命中したあたりから、ブシッと血が噴き出す。が、血が出たのは呂剛虎の足からだった。ふくらはぎの裏を大輝が木刀で突き刺していた。

 

(鋼気功を貫通するか……!)

 

そのまま大輝は突き込み、壁に足を串刺しにして、固定した。そして、木刀をから手を離し、顔面に拳を叩き込もうとする。だが、呂剛虎は木刀を叩き折り、そのまま踵を振り回し、大輝を反対側のガラスの手摺に叩きつけた。手摺は完全に大破し、ここは四階。落ちたら無事では済まない。

 

「! 呂剛虎……!それに、真田くん⁉︎」

 

そこに、修次が現れた。大輝がそこに一瞬、気を取られた時、呂剛虎が大輝に殴り掛かった。

 

「ッ!」

 

「真田………!」

 

四階の渡り廊下の一部が破壊された。

 

 





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