俺も魔法科高校に入学する 作:フリーザ様
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達也は何とか、立候補は回避出来た。と、いうのも真由美に割と本気で懇願したからだ。で、今日は生徒総会・立会演説会・投票の日。生徒会役員資格制度撤廃議案の。
「全員揃ったな?配置の最終確認をするぞ」
摩利が風紀委員全員を集めた。
「委員会の持ち場は基本的に講堂内だ。講堂の外はシステム監視になる。こちらは自治委員会がサポートする」
と、摩利は概要を説明する。
「じゃ、配置を説明する。大扉に私と千代田、通用口に辰巳と森崎……」
と、話す中、大輝は机の下で携帯をいじっていた。
「……演壇の上手が沢木、下手が司波と真田、以上だ」
と、いうわけで配置した。
「おい、大輝」
「はい?」
摩利に呼ばれて振り返った。
「達也くんを頼むぞ」
「はぁ?大体、あいつなら俺なんていなくても……」
「昨日、真由美を達也くんに送らせたんだが、三回ほど襲われたそうなんだ。荒れるかもしれない。だから、頼むぞ。一応、通信機を渡しておく」
「へいへい」
摩利に通信機を渡され、大輝は生返事をした。
○
で、生徒総会開始。
「………以上の理由を以て、私は生徒会役員の選任資格に関する制度の撤廃を提案します」
と、進む中、摩利は通信機で大輝に連絡を取った。
「………あー大輝。そっちの様子はどうだ?」
『………ズズズッ』
トランシーバーから聞こえたのは何かを啜る音。
『………こっちはアレ……もう少し、チョコレートホイップが多い方が、俺は好きですね』
「………は?」
『いや、こっちの問題です。達也の横は問題ありません』
「………お前今どこにいるんだ?」
『カf……演壇の下ですよ?……あむっ、おっ……クッキー入ってる』
「カフェって言いかけただろお前!」
『………任務中にカフェにいるバカがどこにいますか』
『お待たせ致しました。バウムクーヘンでございます』
『あ、すいません』
「明らかにカフェにいるだろお前!」
『まぁそういうことなんで。失礼します』
「ま、待て!」
だが、ブツッと切れた。
「…………花音、すまないがあいつを引きずってきてくれるか?」
「………了解です」
花音が出て行った時だ。
「会長は、生徒会に入れたい二科生がいるから、資格制限を撤廃したいんでしょう!本当の動機は依怙贔屓なんじゃないんですか!」
と、大声が響いた。それに続いて他の声も上がる。
「七草会長!あなたの本当の目的はそこにいる一年生を生徒会に入れることなんじゃないの⁉︎」
「知ってるのよ!昨日の帰りもそいつと駅まで一緒だったでしょう!」
などと声が上がる。摩利は「何でこんなに頭の悪いやつが多いんだ……」とばかりに頭に手を当てた。すると、シンッと透き通る声がした。
「仰りたいことはそれだけですか?」
深雪がいつの間にか立ち上がっていた。
「ただ今の発言には看過し難い個人的中傷がが含まれていると判断します。よって、議事進行係補佐の権限に基づき、退場を命じます。不服があるのなら、七草会長が特定の一年生に対して特別な感情を抱いているという発言の根拠を示してください」
それによって、反対派の妨害は不発に終わった。で、今度はあずさの選挙演説。そのまま順調に進み、このまま終わればいいと達也が思った時だ。
「……本日の決定を尊重し、次期生徒会役員には、一科生、二科生の枠にかからず、有能な人材を登用していきたいと思います」
その一言で、「そこの二科生のこと〜?」「あずさちゃんはワイルドな年下が好みなの〜」と、実に低レベルな野次が飛んだ。それが、きっかけだった。
「誰だ今のは!」
「中条さんにふざけた真似を!」
「言いたいことがあったら前に出てきなさい!」
「卑怯者を吊せ!」
頭の悪い言葉がまた飛んだ。
「お静かに願います!ご着席下さい!」
「静粛に願います!」
「落ち着いてください、みなさん!」
深雪、服部、真由美が声を張り上げるが、逆上した生徒には聞こえていない。摑み合いの輪はドンドン広がっていた。そして、野次が達也とあずさの仲を邪推するものになったとき、
「静まりなさい!」
と、深雪が一喝した。それと共に、想子の光の吹雪が荒れ狂った。激しい怒りが、世界を侵食しようとしている。このままでは講堂が何時氷漬けになるかわからない。真由美も服部も鈴音もあずさも、深雪を制止しようとCADへ手を伸ばした。危うく、生徒会役員同士による魔法大戦となりかけたが、それは回避された。
達也が深雪の両肩に左右から手を添え、止めた。その様子に、全生徒が釘付けになった。
「………何かあったの?」
後から板チョコを齧りながらやってきた大輝が摩利に聞いた。
「………いや、何もなかった」
とりあえず誤魔化した。
○
結果、
「おめでとう、あーちゃん」
「中条、おめでとう」
「おめでとう、中条さん」
と、あずさは生徒会長となった。
「司波さん。そんなに気にしなくていいと思いますよ。所詮、無効票ですから」
「惜しかったな、達也くん」
いたわるような鈴音の声と、面白がってることを隠しきれない摩利の声がした。それは、深雪三百二十票、中条百七十三票、達也百六十一票という結果だからだ。
「……待ってください。勘違いして私に投票した人たちが大勢いたのは認めざるを得ませんが……なぜ、女王様や女王陛下やスノークイーンが私の得票にカウントされているのですか⁉︎」
泣きそうな声で聞く深雪。
「他にもあるぞ。スノーホワイト、氷の女王、女帝深雪、深雪スペシャル、アナと雪の女王、let it go……」
「や、やめてください真田くん!」
「ていうか、なんかどっかで聞いたことあるのがチラホラあるな……」
摩利が声を漏らした。
「ていうかなんでそうなるのですか⁉︎私は変態的な性癖の持ち主だとでも思われているのですか」
「いや、決してそんなことはないと思うぞ。あの姿を見て、そんな度胸があるとは思えんし」
「いやぁ変態だろ。ブラコンの時点でお察しだわ」
「おいおいそれは言うなよ」
と、男子高校生同士の会話をする摩利と大輝を睨みながらも深雪は言った。
「投票用紙を貸してください!誰が書いたのかつきとめます!」
「ああ、内百票は俺が書いた」
サラッと大輝が言った。その瞬間、深雪がギュルんッと大輝を睨んだ。
「へぇ……そうなの……じゃあ、まずはあなたに仕返ししましょうか……」
再び、吹雪が起こりそうになる。だが、
「フリーズ女王、スノークイーン司波深雪様、深雪女王様、だらけきった正義……」
「いやあ!やめてぇ〜!」
涙目で耳を塞いだ。
「はっ、しばらくは魔法なしでも恐るるに足らんわ」
大輝が胸を張る。
「お前はとことん鬼畜だな……」
摩利が大輝をジトーっと睨む。涙目になってる深雪だが、達也が頭をポンポンと撫でた。
「深雪、大丈夫だ。お前は女王様なんかじゃないから。他の人にどう見えようと、俺にとって、お前は可愛いお姫様だよ」
「お兄様……」
思わず、別の涙が流れそうになる深雪。だが、
「白雪姫、雪女、氷河期、トドゼルガ……」
「だからやめてってばぁ!」
再び追撃する大輝だった。