俺も魔法科高校に入学する   作:フリーザ様
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生徒会長

 

 

 

新学期が始まって一週間。風紀委員以外にも生徒会長を決めなきゃならないなど、新学期早々、色々と問題があるのだが、大輝はそんなもの興味無し。音楽を聴きながら教室に到着した。中ではすでにいつもの面子が揃っている。

 

「……そんなデマが広がっているのか?」

 

「あっ、やっぱりデマなんだ?この間も立候補する気はないみたいなこと言ってたからおかしいと思ったんだよ」

 

「うーっす、なにがデマなん?」

 

「あ、大輝。おはよう。いや、達也が生徒会長に立候補って話」

 

幹比古が説明してくれた。

 

「え、何。そうなん?」

 

「だからデマだと言ってるだろう」

 

「まぁ確かに?達也が生徒会長ってのもナシって事はないと思うが……」

 

「ねぇ、人の話聞いてる?」

 

「なら、俺も応援するぜ。応援文とか考えてやるよ」

 

「その前に俺の気持ちも考えて。違うってば」

 

「あと、幹比古やレオにも声かけて支持者を集めるか」

 

「オイ、わざとだな?わざとなんだな?」

 

そこでようやく大輝は止まった。

 

「俺が立候補しても票が集まるとは思えないし、それ以前に立候補するつもりもない。何故先生方でそんな噂が広がってるんだ?」

 

「何、先公達に広がってんの?」

 

「先生だけじゃないぜ」

 

レオが口を挟んだ。

 

「部活中も、先輩たちがポツポツ噂してるな。意外とみんな、好意的だったぜ」

 

「あ、そういえばあたしも、昨日小耳にはさんだよ。一年の風紀委員が今度生徒会長選に出るって。あれってどう考えても達也くんのことだよね」

 

「私も……昨日、カウンセリングの時に、チラッとそういう話題が出たような記憶があります」

 

「じゃあ俺も聞いたわ。あれ……なんかで」

 

エリカ、美月、大輝と言った。

 

「いや、『じゃあ』ってなんだ『じゃあ』って」

 

それを注意しておいて、達也は美月の「カウンセリングの時に」というのを思い出した。

 

(一応、聞いてみるか……)

 

カウンセリングルームへ向かった。その達也の背中を見て、大輝はニヤリと笑った。

 

 

 

 

一限目の途中だが、達也はカウンセリングルームへ。中には小野遥がいた。

 

「まだ一限目の途中よ」

 

「もう課題は終わらせました」

 

「これだから優等生は……」

 

「俺は劣等生ですが?」

 

「そうじゃなくて……まぁいいわ」

 

「悩みがあるのですが、いいですか?」

 

「何でも相談してちょうだい」

 

ってなわけで、早速お話し。

 

「悩みというのは、月末の生徒会長選挙のことなんです」

 

「今回は立候補者の募集に難航しているらしいわね。それで?」

 

「それの噂のことです」

 

「噂?」

 

「ええ。俺が生徒会長に立候補する、と職員室で噂になっているそうですが、」

 

すると、遥は「しまった」といった表情を見せた。

 

「昨日、柴田さんにその話をされたそうですね。俺にも詳しいことを教えていただきたいのですが。まさかとは思いますが、小野先生が率先して噂をばらまいている、なんてことはありませんよね?」

 

「いやねぇ、そんな無責任なコト、するはずないじゃない」

 

「では、一体どういう経緯でそんなデマが流れているんですか?」

 

「何だ……やっぱりデマなの。でもごめんなさい。私も良くは知らないのよ」

 

「そうですか。それでは知っている部分だけで結構です」

 

まるで責めてるかのような口ぶりに、ため息をついて遥は答えた。

 

「誰がそんなこと言い出したかなんて知らないけど、一種の伝言ゲーム状態よ。服部くんが立候補しない→中条さんも立候補しない→次の生徒会長は誰にするか困ってる→司波さんなんかいいんじゃない?→司波さんが立候補するらしい→司波くんが立候補するらしい→……みたいな?」

 

「……そんないい加減な噂がなんで先生方の間で信じられているんでしょうか?」

 

「本気にしてる人が多いのはむしろ教師の方ね。四月の顛末、生徒に対しては情報が統制されてるけど、職員室は事実を知ってるから」

 

「……ブランシュの件ですか?」

 

「そうよ。あの一件を司波くんが中心になって解決したってことを高く評価してる先生も少なくないのよ。だから、それだけ制圧力を持ってるなら一年生でも面白いんじゃないか、って考えている先生、結構いるわよ?」

 

「………一応聞きますが、大輝が生徒会長とかいう噂はたってないのでしょうか」

 

一年生の二科生で目立ってるのは自分だけじゃない。だから、自分だけそんな目にあうのは不公平だ、と一瞬思って聞いてみたが、

 

「司波くん、学校を滅ぼしたいの?」

 

………ですよね。達也はそう思いながらもカウンセリングルームを出てった。

 

 

 

 

だが、九月の最終週。達也は深雪とあずさが生徒会長になるよう説得し、生徒会は落ち着いてきていた。だが、校内では「司波達也が立候補」という噂はより一層強まった。達也はすれ違う度に「選挙がんばれよ」とクラスメイトから言われた。

 

「………どうなってるんだ」

 

「さ、さぁ?噂がドンドン加速してってるんじゃねぇの?」

 

机に突伏したくなっている達也にレオが言った。

 

「でも確かにおかしいなこの広がり方の速さは。何があったってんだ?」

 

「そういえば、壁にも張り紙があったよ。『清き一票を』って達也の写真と」

 

「何それ俺知らない許可してない」

 

幹比古に言われて達也の目が鋭くなった。

 

「ほらこれ」

 

見せられたチラシには、『一科生と二科生の仲を親密に』と書かれていて、写真の達也はいつの間に撮られたのか、胸前で握り拳を握っていた。

 

「……おい、俺が一度でもこんなこと言ったか?」

 

さすがにイラついてるのか、達也の声は鋭い。幹比古とレオは首を横に振る。

 

「誰がこんな事を……」

 

と、そこで近くから、「司波達也をよろしくお願いしやーす」と、軽いノリの声が聞こえた。達也はそっちの方へ行って見てみると、『笑顔のある学生生活を』と書かれたチラシを配ってる大輝がいた。

 

「あっ」

 

「」

 

大輝と達也の目が合った。

 

「な、何やってんだお前」

 

「ば、バイト……」

 

「嘘つけ!てかどんなバイトだ!」

 

CADを取り出して走る達也と逃げる大輝だった。

 





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