俺も魔法科高校に入学する 作:フリーザ様
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クーラーも直り、大輝は部屋で快適に過ごしていた。だが、やる事もないし、とりあえず家を出た。外は暑い。どこで何をしようか決めようにも外を歩き回るのは時間と体力と水分と汗の無駄だ。あ、最後一緒だ。
とりあえず、図書館に向かった。この街に来てから大輝が見つけた図書館には漫画本もある。北斗の拳とかタッチとかドラえもんとか。それを読みにだ。
ウィーンと自動ドアが開き、大輝はタッチを五冊ほど手に取って席に座ると、目の前に市原鈴音が座っていた。
「……………」
「……………」
顔をあわせること五秒。お互いを認識するのには十分過ぎる時間だ。
「……………どうも」
「こんにちは」
「受験勉強ですか?」
「いえ、私は内部進学ですので」
「じゃあ、それは?」
「夏休みの宿題です。と、いっても三年生ですから、そんなに量があるわけではありませんが」
「し、宿題?」
「はい」
「………………」
大輝は思い出そうと思考を巡らせる。夏休み初日……家に帰って鞄投げて風呂入って飯食ってゲームやって歯磨きして………鞄の中か!と、思い出して立ち上がった。
「漫画読んでる場合じゃ無かった!鈴音先輩待っててくださいね!俺も宿題取ってくるんで!」
「は、はぁ。一緒にやるんですか?」
「はい!前に教えてもらった時、教えるの上手かったですから」
「教えてもらう前提なんですね……」
直帰した。
○
で、再び図書館。
「お待たせしました……」
「慌てなくても良かったのに……というか頭から血が出てますよ?」
「原チャリに跳ねられました」
「………大丈夫なんですかそれ?」
「平気です。それより早く宿題やらなきゃ……」
「はぁ……少し待ちなさい」
で、鈴音は大輝の前に立つと、魔法を掛けた。治癒魔法だ。
「これでよし……」
「わざわざすいません」
「いえ。では勉強しましょう」
「うい」
で、二人は勉強を始める。基本的に、分からないところがあれば聞け、みたいなスタンスだ。鈴音が涼しい顔で端末を動かす中、大輝は涼しい顔でタッチを読んでいた。
「……………真田くん」
「んー?」
「勉強するんじゃないんですか?」
「してますよ。野球の」
「………もう終わりそうなので私帰りますね」
「待ってくださいお願いします」
「………ちゃんと勉強して下さい」
「はいっ」
で、そのまま勉強。しばらくして、大輝は目の前の鈴音を呼んだ。
「………鈴音さん」
「何ですか?」
「この問題なんだけど……」
問題は加速系魔法について。
問8.次の加速系魔法の起動式に変数を入力し、魔法式を作りなさい。(※電卓使用可能)
と、いう問題で、下に起動式がいくつか出ている。
「………懐かしいですね」
「俺の代わりにやって下さい」
「帰りますよ?」
「教えてください」
「最初からそう言えばいいんですよ……いいですか?加速系魔法式っていうのは……」
と、鈴音は大輝に勉強を教える。いつの間にか夕方になっていた。18:00の閉館時間である。
「うおお……結局終わらなかった……」
「でも、半分以上終わったじゃないですか。よく頑張りましたね」
「まぁ、そうですけど……」
「頑張ったご褒美で、帰りにご飯おごりますよ」
「ええっ⁉︎いや、悪いですよ!いただきます!」
「もう少し理性に頑張ってもらいたいですね。では行きましょうか」
で、二人で近くの店へ。
「ここでよろしいですか?」
「いっすよ。どこでも」
「分かりました」
鈴音が入ったのは意外にもラーメン屋だった。
「あっ」
「えっ」
中にはレオ、エリカ、幹比古がいた。三人でラーメン屋に来ていたのだ。しばらく顔をあわせること数秒、エリカの顔が悪い顔になった。
「大輝さぁ、市原先輩と付き合ってるの?」
「「はぁ?」」
鈴音と大輝がハモった。
「だってこんな時間に二人きりって……ねぇ?」
「ぼ、僕に話を振るなよエリカ!」
「なんでミキが赤くなってるの?」
「僕の名前は阿良々木……じゃなくて幹比古だ!」
エリカと幹比古がいつものやり取りをしてる間に、大輝と鈴音は席に着いた。
「悪ぃな大輝。邪魔しちまって」
「これデートとかじゃねーからな。たまたま会ったから勉強教えてもらってたんだよ」
「…………普通、たまたま会ったからって一緒に勉強するか?もしかして本当に……」
「違うっつの」
「でも、そっちの市原先輩は顔真っ赤だぜ?」
「えっ?」
見ると、ほんとに顔を真っ赤にしてる鈴音。余りに「付き合ってるの?」を連呼されて恥ずかしくなったようだ。
「あの……鈴音さん?」
「なんですか?」
「何照れてんすか」
「照れてません」
「意外と純情なんですね」
「帰ります」
「ええっ⁉︎ちょっ……まっ……!」
帰ってしまった。心なしか急ぎ足で。大輝はエリカ、レオ、幹比古を睨んで言った。
「どうしてくれんだ。ラーメン奢ってもらえる所だったのにてめーらのせいだぞ」
「違うね。絶対お前のせいだね」
レオに返された。