俺も魔法科高校に入学する 作:フリーザ様
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夏休み
夏休みになった。雫は大輝に電話をかけた。
「もしもし、大輝さん?」
『……………………ただいま、俺は電話に出ることが出来ません』
「どうしたの?なんか声がヤバイけど」
『……………………クーラーが、壊れた』
「大丈夫?」
『……………………身体が熱い。ギアセカンド並みに煙が出てる気がする』
「………今、お話しするの辛いならうちに来る?クーラーきいてるよ」
『……………………頼む』
「じゃあ、迎えに行くよ。ほのかもいるけどいいよね?」
『……………………なんでもいい』
で、大輝に住所を聞き出して、出掛けた。
○
「ここ、だよね?」
「そのはず……」
雫とほのかは普通のアパートの一部屋の前にいる。で、インターホンを押した。が、返事はない。
「………いないのかな」
「行くって前もって言ってあるんだよね?」
「だって大輝さんだよ?」
「………あり得るかも。一応、もう一度」
で、再びインターホン。すると、LINEが来た。
真田・インパクト・大輝『開いてます』
てなわけで、二人は控えめに部屋に入った。中は意外にも綺麗だった。だが、二人はなんとなく嫌な気配を感じて、ゆっくり中へ進む。
「「お、お邪魔します……」」
ハモった。で、二人して部屋の奥へ。
「うへえ………」
「暑い………」
たった十秒もしないうちに、滝のように汗をかく。で、床には大輝が干からびていた。
「だ、大輝さん⁉︎」
「ほ、ほのか!お風呂に水溜めて!」
「う、うん!」
で、水風呂に放り込んだ。服着たまま。そのまま待つこと三十分。生き返った大輝が部屋に入ってきた。ただし、パンツ一枚である。
「いやぁ〜生き返ったわ」
「「っ⁉︎」」
顔を真っ赤にする雫とほのかだが、大輝は気にせずに首に掛けたタオルで顔を拭きながら言った。
「悪いな。助かった」
「い、いいから服着てください!雫になんてもの見せるんですか!」
「ほのか、保護者なの?」
「ああ、悪い。ちょっと、待って……」
テキトーに服をタンスから引っ張り出して、着替えた。
「っし、OK。行くか」
「うん………」
「じゃ、行こうか」
北山家に向かった。
○
北山家に到着。した瞬間、大輝は唖然とした。
「……………家、デカくね?」
「そう?」
きょとんと首を捻る雫。確かにでかい。中はダンジョンになってそうなレベルでデカイ。
「………これが格差社会か」
「何言ってるの?いいから上がってよ」
家の中に入り、大輝は雫とほのかのあとに続く。
「…………中もすごいな」
「そんなことないよ。普通だよ」
(どっかに金落ちてねぇかな)
と、ものっそいやましい事を考えながら大輝は家の中を歩く。客間に到着。雫とほのかは早速、本題に入ろうとしたのだが、
「うへぇえええええ……すずしいぃ〜………」
と、茶菓子の代わりに出されたアイスを口に入れたまま、ソファーの上でダラける大輝をジト目で睨む。
「………あの、大輝さん。ここ、自分の家じゃないんだよ?」
「うるへぇ〜……zzz………」
「寝ちゃダメだよ!起きて!」
雫に叩き起こされるも、大輝は中々起きない。すると、ほのかがクスッと笑った。
「ほのか?」
「いや……大輝さんも、私達と変わらないんだなぁって思って……」
「?」
「暑かったらダラけて、アイス貪べて、クーラーつけてもやっぱりダラけて……怖がる事なんてなかったんだなぁって」
「それはそうだよ。大輝さんも、私達と同じだよ」
「うん。私も起こすの手伝うよ」
「お願い」
すると、ほのかは表情を変えて大輝の前に仁王立ちした。そして、
「起きなさい!」
と、一喝した。予想外の声に大輝は思わずびくっとした。
「大輝さんが電話じゃ暑くて無理だからわざわざ迎えに行ったのにここに来ても話を聞いてくれないんじゃ何のためにここに来たんですかって話になるでしょう!そのくらい考えて下さい!今まで暑い所にいたから仕方ないとは思いますけど、それでも人の家なんだからシャキッとしなきゃダメ!いいですか⁉︎」
「は、はい!」
自分でも驚くほど素直な返事だった。
「じゃ、雫。本題に入ろう」
と、いうわけで本題に入る。雫が若干、ほのかに引きながらも
「で、次の金、土、日にみんなで海に行くんだけど、来る?」
「あー……ちなみにみんなってのは?」
「達也さん、深雪、吉田くん、西城くん、エリカ、美月だよ」
「あーあれね。いつもの面子ね……」
「そう。どうする?」
「行く」
「即答だね」
「クーラーぶっ壊れてるからな。良いタイミングだ」
「分かった。お話はそれだけ」
「えっ?そ、それだけ?」
「うん」
「ええ……帰りたくない」
「は?」
「だってお前家帰ったら金曜日まで灼熱サウナ耐久大会だ……せめても少しだけここにいさせてくれ」
「ごめん。これからほのかと出掛けるんだ」
「………」
大輝はショボンとしながら帰宅し、灼熱サウナ耐久大会を始めた。