俺も魔法科高校に入学する   作:フリーザ様
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無頭竜

 

 

 

深雪のミラージ・バットの試合の最中、大輝は急激な便意に襲われ、トイレに向かった。その途中、サングラスの男が歩いてる男に殴りかかっていた。それを、大輝は止める。

 

「おい、何やってんだテメー」

 

そう聞いたくせに、返事の時間を待つことなく、大輝は木刀で殴り掛かった。それをガードするその男……ジェネレーター。だが、ガードした瞬間、大輝はそいつの腹を蹴り、頭をつかんで力ずくで、競技場の外にブン投げた。

そして、大輝は競技場からジャンプし、空中でジェネレーターを地面に叩き付け、落下させた。ジェネレーターは落ちながら大輝に反撃しようとする。だが、大輝に木刀を投げられ、胸に貫通して地面に串刺しにされた。

その後から、地面に着地する大輝。と、襲い掛かられた男。

 

「っ!」

 

「おっと、落ち着け。敵じゃない」

 

「誰だ。あんた」

 

「僕の同志だよ、大輝」

 

振り返ると、真田繁留が立っていた。

 

「親父………」

 

「やぁ、大輝。しかし、お前もやるようになったな。ジェネレーターを魔法無しで捕らえるなんて」

 

「おい、どういうことだ?なんだジェットコースターって。どこに遊園地があるんだ?」

 

「相変わらずの難聴だね。それに、まだ甘いよ?」

 

「あ?」

 

見れば、ジェネレーターは木刀が胸に刺さったまま起き上がっていた。そして、大輝に襲い掛かる。応戦しようとしたが、その前に先程の男……柳が立ちふさがり、右手を前へ差し出した。ジェネレーターは柳に吸い寄せられるように柳の掌へ突っ込んだが、身体に触れることなく跳ね返され、スタート地点に叩きつけられた。

 

「……………」

 

「しかし、いつ見ても見事なものだね。今のも『(まろばし)の応用かい?」

 

「何度も言っているが、(まろばし)ではない。転(てん)だ」

 

無言で驚く大輝に説明することなく、繁留と柳は会話を続ける。

 

「いい加減にくだらんお喋りはやめて、そいつを捕らえるのに手を貸せ」

 

「ふむ……では、そうしようか。と、言っても、既に藤林くんが『被雷針』で確保済みだけど」

 

と、繁留の言う通り、ジェネレーターの胸にはすでに被雷針が刺さっていた。そして、遅れて女性が歩いて来た。

 

「あら、その子は?」

 

「僕の息子だよ」

 

「息子?」

 

「ほら大輝。挨拶しなさい」

 

だが、大輝は軽く会釈した程度で済ませた。そして、繁留を見た。

 

「それより親父。無頭竜のアジトは分かったのか?」

 

「ははっ、分かってたらこんな所にいないよ。もう潰してる」

 

「このクソ親父……」

 

「うるさいよクソ息子。大体、お前だって一人で行くなっていう忠告無視する気だろ?」

 

「残念だったな。俺はちゃんと予約を取った」

 

「へぇ、友達できてたんだ」

 

「どういう意味だコラ」

 

「いや、友達じゃないか。国際犯罪シンジケートを潰すのに友達だったら連れて行かないよね」

 

「友達かどうかは知らんが誘ったのは事実だし、手も組んだ」

 

「へぇ、名前は?」

 

「司波達也」

 

その名前が出た瞬間、藤林、繁留、柳の表情が変わった。

 

「………なんだよ」

 

「いや何。世界は狭いなと思ってさ……」

 

「はぁ?」

 

「まぁ分かったよ。約束は僕もしっかり守る」

 

「お前の言うことはアテになんねぇからなぁ……。そこの二人に親父のエロ本の趣味バラすのでいいか?」

 

「………お前もなかなか性格悪いな」

 

そのやり取りを見ながら、藤林も柳も「こいつの子供だ……」と深々と感じるのだった。

 

 

 

 

その夜、「疲れてるから俺と大輝は朝まで起こすな」という流石に無理がある言い訳をしておいて、二人は出掛けた。

 

「いいな、大輝。お前は正面からだ。俺が行くまでに奴らが逃げないよう、先に退路を断て。俺が奴らの情報を吐かせる」

 

「拷問なら俺も得意だぞ」

 

「ダメだ。俺がやる」

 

と、いうわけで、達也は藤林と一緒に、大輝は繁留に送ってもらい、今は正面玄関。顔を隠すため、仮面ライダーのお面を被っている。

 

「じゃ、行ってくるぜ親父」

 

「くれぐれも無茶はするなよ」

 

「わーってるよ。じゃな」

 

大輝は手に木刀が何十本も入ったゴルフバッグを持って、正面から、横浜グランドホテルに歩いて入って行った。そのまま呑気に歩いて、ホテルの最上階の客に知らされていない一室に向かった。藤林が言うには、そこが無頭竜の東日本総支部のはずだ。

 

「おーここかここか」

 

大輝は珍しく気が立っていた。そして、木刀を一本抜くと、部屋に堂々と新入。

 

「失礼しまーす。ゴミ掃除に来ましたー」

 

「ん?お、おうそうか。頼む。と、言っても我々はこれでおさらばするんだが……」

 

「バカ、ダグラス!そいつ敵だ!」

 

「え、ええ⁉︎」

 

と、アホな一幕は置いといて、ジェネレーター達が大輝に襲い掛かる。だが、大輝の神速レベルの速さの抜刀で全滅した。

 

「じ、ジェネレーターが全滅……⁉︎」

 

誰かが反応する前に、大輝は全員の両足を折った。

 

「これで、もうみんな逃げられなくなったな」

 

「グッ………」

 

「動いたら全員アレだ、刺すから」

 

だが、その大輝の一言を無視して一人が魔法を使おうとした。そいつの顔面をシュートを撃つみたいに蹴る大輝。

 

「はい、動いた〜罰ゲーム〜」

 

で、大輝はそいつのズボンに手をかける。

 

「えっ、刺すって……ど、何処に刺す気ちょっと……⁉︎」

 

 

 

 

達也の方。横浜ベイヒルズタワーの屋根の上。大輝にテレビ電話を掛けた。そこには、大輝の顔がどアップで映っていた。

 

「もしもし」

 

『おお、えっと……コードネームなんだっけ?中山?』

 

「それはお前のコードネームだろ。中山きんにくん」

 

『なんで俺のコードネームそんなダサいの』

 

「お前が『もうなんでもいいよ!中山でいいよ!きんにくんで!』って言ったからだろう」

 

『そーだっけ?まぁいいや。で、えっと……お前のコードネームは?』

 

「大黒竜也だ。てか今更だけど近い。もう少し離れろ」

 

『え?何?』

 

「尚更近くな。あ、ハナクソ発見」

 

『ちょっ、やめて見ない……あっ、目ヤニ発見』

 

「えっ?マジ?深雪に見られてなかったかな?」

 

『シスコン乙』

 

「達……大黒特尉。いいから早くしてください」

 

藤林に怒られたので話を続けた。

 

「で、中山。奴らはどうした?」

 

『はい、アレ』

 

大輝の視線の先には、全員木刀が突き刺さった生尻をカメラに揃って向けた絵面だった。

 

「…………なんだこれは」

 

『いや動くなって言ったのに動いたから……』

 

「まぁそのままでいいや。もう面倒くさい」

 

で、尋問が始まった。

 

 





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