俺も魔法科高校に入学する   作:フリーザ様
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決勝戦

 

 

決勝トーナメント。大輝は三高対八高の試合を達也、大輝、幹比古は見ていた。が、展開は明らかに一方的だった。岩と岩の間を堂々と悠然と歩いて進む一条将輝。相手選手が次々と魔法を繰り出すも、干渉装甲によって弾かれる。

 

「………あれだけ継続的に魔法を使いながら少しも息切れしないのは、単に演算領域の容量が大きいだけではないな。余程『息継ぎ』が上手いんだろう。ああなるともう、センスとしか言いようがない……」

 

そして、将輝は更にCADの引き金を引く。すると、爆風が起こった。

 

「収束系『偏倚解放』か。単純に圧縮解放を使えばいいものを……結構派手好きだな」

 

「達也。どうする?あいつの対策」

 

「そうだな……。まぁ、勝てないことはないんだが……」

 

チラッと達也は大輝を見た。

 

「まぁ、いいか。大輝だし」

 

「おい待てどういう意味だコラ」

 

「その前に、九高との試合だ。それが終わってから作戦内容は話す」

 

「おい待て。達也くん?分かった、真田くん今までの君への暴行全部謝るから。だから教えて?ねぇどういう意味?僕怪我人だよ?ねぇ?」

 

だが、達也は答えなかった。

 

 

 

 

場所は渓谷ステージ。形状は「く」の字形に湾曲した人口の谷間。水が流れている上流・下流で有利・不利が生じるので、実態は崖に囲まれた細長い湖だ。

この試合は幹比古の独擅場だった。左右塞がった細長いフィールドを白い霧が覆った。

その霧は一高選手には薄く、九高選手には濃くまとわりついた。そのせいで、九高選手はモノリスに近づくことさえできない。

その霧を発生させてるのは幹比古で、結界の古式魔法だ。そして、達也はさっさと敵のデュフェンダーの背後に回り、鍵を撃ち込んだ。そして、幹比古の眼によって一高の勝利に終わった。あ、一応言っとくと、大輝は自陣のモノリスの上で寝てた。

 

 

 

 

決勝が始まるまでの間、幹比古はエリカとお話、達也は遥に届け物をもらっていた。大輝はといえば、することなくぼんやりとハナクソほじってた。その大輝の隣にほのかと雫がやって来た。が、ほのかは相変わらず雫の後ろに隠れている。

 

「達也さん達と打ち合わなくていいの?」

 

「二人ともどっか行った。ねぇ、試合前なのになんなのこのチームの協調性の無さ」

 

「チームじゃない私に聞かれても困る」

 

雫はバッサリ切り捨てた。

 

「てかさ、光井サンだっけ?なんで隠れてんの?」

 

「ふえっ⁉︎」

 

ビクッとなるほのか。

 

「そ、それは……」

 

「ほのか、大輝さん怖いんだって」

 

「し、雫!」

 

ほのかが止めるが、雫は涼しい顔で続ける。

 

「だけど同級生にオドオドするのは嫌だから応援しに来たんだよ」

 

「ふぅーん……まぁいいけど、俺の前でビクビクするのやめた方がいいよ。いじめたくなる」

 

「ひぃっ!」

 

「冗談だよバカ」

 

「大輝さん、ほのかを虐めないで」

 

キッと大輝を睨む雫。

 

「悪かったよ。っと……そろそろ木刀取りに行かねぇと。またな」

 

そのまま大輝は立ち去ろうとした。その時、

 

「待ってください!」

 

と、ほのかが声をかけた。

 

「あん?」

 

「そ、その………!」

 

と、ほのかは勇気を振り絞った。

 

「が、頑張ってください!」

 

「………………」

 

それに大輝は返事をしなかった。代わりに手をテキトーに上げて宿舎に戻って行った。

 

 

 

 

草原ステージとなった。そこに転送された達也、大輝、幹比古。だが、幹比古だけマントを着けていた。

 

「なんで僕だけ……」

 

「オフェンスをやる俺と大輝がそんなものを着けていたら邪魔だろう」

 

「そもそもなんで決勝に限って大輝はオフェンスなのさ……」

 

「デュフェンスだよ。守るのはモノリスじゃなくて俺だけど」

 

「今回だけだからなこの野郎」

 

大輝が横目でツッコんだ。そして、試合開始の合図が鳴った。将輝はまた同じ様に悠々と正面から歩いて来る。それを見るなり、大輝と達也はクラウチングスタートの姿勢をとった。

 

「遅れるなよ達也」

 

「そっちこそ大輝」

 

その様子をモニターで見ながら、真由美も摩利も十文字も服部も、更には敵である将輝も「何をする気だ?」と言った顔になる。そして、次の瞬間、

 

二人は全力疾走した。

 

「ッ⁉︎」

 

カーディナル・ジョージですら理解不能だった。

 

(何のつもりだ‼︎捨て身の特攻⁉︎)

 

(どういうつもりか知らないが、特攻が通用するのはガンダムだけだ!)

 

と、将輝も偏倚解放で応戦。だが、それを大輝は木刀で斬った。

 

「なっ………⁉︎」

 

将輝も吉祥寺もまた驚かされた。モノリス・コードでたくさんの学校を苦しめた魔法を木刀で大輝は叩き斬ったのだ。

 

「このっ………‼︎」

 

そのままさらに偏倚解放を発動するが、大輝は片っ端から斬る。達也はただ真っ直ぐ走ってるだけだ。

だが、それでも二人の周りを囲む将輝の圧縮空気弾。それを防ぎ切れないと睨んだ大輝、袖の中からさらに木刀を出した。

 

「二刀流………⁉︎」

 

そのまま、ジャンプして達也の頭の上を飛び越え、後ろから来る圧縮空気弾を全部弾いた。

 

「大輝、ペースを上げるぞ」

 

「鬼め」

 

「無理ならいいが?」

 

「はっ、上等!」

 

さらに二人は加速して走った。

 

 

 

 

その試合を第一高校の応援席の上級生は言葉を失っていた。相手の魔法を正確に確実に木刀で掻き消す大輝。大輝がすべての魔法を掻き消せると信頼して、走る達也。その二人を見ながら二、三年生は声を漏らした。

 

「なんという胆力」

 

「彼らは、本当に二科生なの?」

 

だが、真由美、摩利、十文字などのメンバーは顔色が悪い。それは、大輝が一回でも失敗すれば終わりだからだ。顔色が悪いというか、心臓に悪かった。

で、一方の一年生達は「うおおお!」「スゲェ!」「映画みてぇ!」と盛り上がるが、やはり深雪、エリカ、レオ、美月、雫、ほのかといったメンバーはドキドキしていた。理由は生徒会組と同じ。

 

「………なんでSASUKEの最終ステージ見てる気分にならなきゃいけないのよ」

 

誰かが呟いた。

 

 

 

 

その草原ステージでは、吉祥寺が動いた。

 

「僕も行くよ」

 

「分かった」

 

残り一人にそれだけ言うと出発。そして、達也、大輝、将輝の戦闘に巻き込まれないよう、モノリスに近付く。大輝も達也も気付いてはいたが、無視した。それより、目の前の将輝を優先した。

 

「!」

 

吉祥寺はそのままモノリスに接近する。だが、視界が急に定まらなくなる。

 

(幻術⁉︎)

 

幹比古の幻術だった。

 

(達也や大輝が戦っているんだ。僕も自分の役目を果たす!)

 

そのまま吉祥寺に攻撃しようとした瞬間、将輝の圧縮空気弾が幹比古に向けられた。

 

「チィッ‼︎」

 

大輝は舌打ちをすると、木刀を思いっきりブン投げた。唯一のデュフェンスにいなくなられるわけにはいかないという判断だった。で、幹比古に襲い掛かる圧縮空気弾を斬った。

 

「!」

 

そして、幹比古は魔法を続行し、吉祥寺を撃破。うわあ、あっさり。一瞬、幹比古に向いた将輝の隙を突いて、二人は一瞬で距離を詰めた。

将輝がCADの銃口を向ける。距離は残り三メートル。それが将輝に動揺を走らせた。そして、反射的にレギュレーションを超えた威力の圧縮空気弾が十六連発で放たれた。

そして、二人に襲い掛かる魔法。

一本の木刀を構え、あり得ない速度で大輝はすべての圧縮空気弾を叩き斬った。と、思ったら斬ったのは十五発、一発残っていた。

 

(ヤベッ………!)

 

そのまま直撃し、大輝は吹き飛ばされた。達也はその大輝を目だけで追いながらも、将輝の目の前に到着した。

 

「ッ!」

 

そして、耳元に手を差し出し、パチンッと指を鳴らした。それが大音響で響き渡り、客席まで届いた。一条将輝は、膝を着いて倒れた。

が、達也も耳から血を流して地面に膝を着く。大輝も吹き飛ばされたまま起き上がらない。残り二人。先に動いたのは幹比古だった。

残り1人の三高選手に乱れ髪をかけ、草で足を絡みつかせた。

 

「くっ………!」

 

が、三高選手は負けじと陸津波を使った。土地を掘り起こし、土砂の塊を叩き付ける魔法だ。

それが幹比古に向かって直進する。だが、幹比古はマントを叩きつけ、壁を作った。

 

「っ⁉︎」

 

攻撃を防いでから、幹比古は反撃する。雷童子を発動し、三高選手に落とした。短い悲鳴をあげて、倒れる三高の最後の一人。残ったのは幹比古一人だった。

その瞬間、winner第一高校の文字が電光掲示板に表示された。それを合図に、一高の応援スタンドから拍手と歓声が起こった。

その歓声の中、達也、大輝、幹比古(大輝は達也におんぶされてる)は歩いて客席の方に向かう。

 

「畜生……なんで俺だけこんな目に……」

 

「大丈夫かい大輝?直撃してたよね」

 

「てかあんま見ないでくんない?今、顔に出してないけどスゲェ恥ずかしいんだから」

 

「幹比古、写メを撮っておけ」

 

達也が言った瞬間、大輝はオンブされた状態のまま首を絞めた。すると、達也は背負い投げをした。背中を強打する大輝。

 

「うごはぁっ‼︎せ、背中がぁー!」

 

「た、達也!」

 

「正当防衛だ」

 

と、達也は悪びれる様子なく言った。で、幹比古はため息をつくと、大輝に手を差し出した。

 

「ほら、大輝」

 

「おお………」

 

で、今度は幹比古が大輝を持ち上げた。ただし、お姫様抱っこ。

 

「わざとかテメェ‼︎」

 

「えっ?な、何が⁉︎」

 

その様子を笑いながら客席は見ていた。

 

 





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