俺も魔法科高校に入学する   作:フリーザ様
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モノリス・コード

 

 

 

翌日。メンバーは達也、大輝、幹比古の三人だ。早速、八高との試合である。森林ステージである。真由美、摩利はモニターでその様子を見ていた。

 

「大輝、デュフェンスは任せたぞ」

 

「いってらっさーい」

 

達也と幹比古は出発し、大輝はモノリスの前で、準備を始めた。で、達也はものっそい速さで森林の中を進み、八高デュフェンダーの前に躍り出た。

そのデュフェンダーがCADを達也に向ける。だが、達也は術式解体によってキャンセルさせ、デュフェンダーをモノリスから引き離して行った。

そして、幹比古も精霊魔法『木霊迷路』を発動。八高選手はそれによって、樹々の間をさまよい、三半規管を狂わせられている。

 

「どこだ、畜生!こそこそ隠れてないで姿を見せろ!」

 

幹比古はそのまま達也に言われた、次のミッションに移ろうとしていた。

一方、大輝。モノリスの近くに敵選手が現れた。

 

「! みつけた!」

 

モノリスを開こうと、モノリスにCADを向ける。その時だ。

 

「グッフォアァッ‼︎」

 

血糊によって血だらけになった大輝が目の前に現れた。

 

「ギャアァァァァァァッッッ‼︎‼︎‼︎」

 

「オオオオオオオオオオオオ‼︎‼︎‼︎」

 

追いかけっこが始まった。結果、完勝した。それをモニターで見ていた摩利は呟いた。

 

「…………何やってんのあいつ」

 

「まぁ……反則ではない、のかな?」

 

真由美は苦笑いだった。

 

 

 

 

次は一高対二高となった。今回も廃ビル。達也は二高の索敵をかいくぐって隣のビルへ回り込み、魔法を使わずに屋上から屋上を飛び移って、敵のモノリスに接近した。

 

「幹比古。聞こえるか」

 

『聞こえるよ、達也』

 

通信機で連絡を取った。

 

「やるぞ。モノリスの位置を探査してくれ」

 

『分かった。こっちはまだ大丈夫そうだよ』

 

「了解した」

 

達也は右手のブレスレットを操作して、喚起魔法を発動した。

 

 

 

 

その頃、大輝と幹比古。今回は幹比古は大輝のバックアップに回っていた。大輝は犬のフンを自分のモノリスの周りにメチャクチャ撒いていた。それによって、まず相手選手は「なんだこれ!」「汚な!」「つーか臭ッ!」と、声を上げる。それによって索敵して、幹比古が魔法で仕留めていた。

 

(作戦通りとはいえ……なんかやだなぁ……)

 

と、幹比古は呆れたように犬のフンから目を離した。すると、幹比古は精霊によって、達也が喚起に成功したことを知った。そして、視覚同調をして、モノリスを見つけた。

 

「達也、見つけたよ」

 

自分で撒いた犬のフンの匂いによって吐瀉物をブチまけてる大輝を捨て置いて、幹比古は達也に話しかけた。そして、達也がモノリスを開き、それを視覚同調によって幹比古はコードをウェアラブルキーボードに打ち込んだ。

 

 

 

 

試合終了のサイレンが鳴った。今度は真由美は苦笑いもできなかった。二人とも半眼になる。

 

「何をやってんだあの馬鹿者は……」

 

「モザイク入ってよかったわね……」

 

 

 

 

「お疲れ、達也」

 

「ああ、幹比古。大輝もお疲れ」

 

「お疲れ」

 

三人は控え室で飲み物を飲みながら休憩中。

 

「余裕だな。あんな手に引っかかるんじゃ」

 

「けど大輝。次はこうも行かないぞ」

 

「分かってる。決勝トーナメントだしな」

 

「働いてもらうからな」

 

「………ああ。分かってる」

 

そんな事を話しながら、三人は控え室から出て別れた。

 

 

 

 

ホテルのロビー。

 

「つまり、本当になんともないんだね」

 

「ああ。大輝が応急処置してくれたみたいだしな」

 

と、摩利とエリカの兄貴、千葉修次が話していた。が、修次の方は少し顔をしかめた。

 

「………最近、摩利はその大輝って子の話ばかりするな」

 

「ん?そうか?」

 

「ああ。ついこの前の電話でもそうだよ。別に気にしてはいないけどね」

 

「そうか……そんなつもりはなかったんだがな。すまない」

 

「いや、少しその子に興味が出たよ。どんな子なんだ?」

 

「クソガキ」

 

「は?」

 

「もしくは悪ガキだな。私に弟がいたらあんな感じかもしれないな」

 

「それは是非とも……」

 

「次兄上!何故このような所にいらっしゃるのですかっ?」

 

その声が二人の会話を遮った。振り返ると、エリカがすごい顔で睨んでいた。

 

「兄上は来週まで、タイへ剣術指南の為のご出張のはずです!何故ここにいらっしゃるのですか!」

 

「エリカ……少し落ち着いて」

 

「これが落ち着いておられましょうか!和兄上ならばいざ知らず、次兄上がお務めを放り出すなど、昔であれば考えられませんでした!」

 

「いや、だから落ち着いて……僕は仕事を放り出してきたわけではなくてね……」

 

「ほぅ……そうですか。では、タイ王室魔法師団の剣術指南協力の件は、私の思い違いだと仰るのですね?」

 

「いや、それはエリカの言う通りなんだけど……無断で帰国したわけではなくて、ちゃんと許可をもらったというか……」

 

「そうですか。日本とタイの外交にも関わる大事なお務めを中断しなければならなかったのですから、さぞや重要なご用事なのでしょう。その大切な大切な緊急のご用事で帰国された兄上が、何故高校生の競技会の会場にいらっしゃるのです?」

 

「いや、外交ってそんな、大袈裟な……任官前の士官候補生同士の親善交流で、大学生の部活の一環みたいなものなんだけど……」

 

と、いう様子を摩利は見ながら「どうしたもんか……」と、ため息をついた。その時だ。ピキィィンと摩利がニュータイプバリの反応をした。

 

「三人とも伏せろ!」

 

その瞬間、やってくる砲弾。三人とも回避した。

 

「っ⁉︎ なんだ⁉︎」

 

修次が辺りを見回す。

 

「今、もっとも来てほしくない奴が来た……」

 

「奴?敵なのか?」

 

「ああ。さっき言ってた……」

 

と、摩利が解説しようとした時には修次はその場からいなくなっていた。そして、気配だけでその敵の方向を掴むと、剣を握って突撃した。

 

「渡辺せんぱぁ〜い、危ないですぜぇ。俺がバズーカ持ってないと思って油断してちゃ……」

 

と、言いかけた男に襲い掛かる修次。それを確認した瞬間、大輝はバズーカを捨てて腰の木刀を抜いた。そのままギィィィンッッ‼︎と剣と木刀がぶつかり合う。

 

(強いな……圧斬りを木刀で止めるなんて……)

 

と、思わず感心した修次に襲撃者、つーか大輝が聞いた。

 

「あ?なんだテメェ」

 

「お前こそなんだ。摩利のなんなんだ?」

 

「えーっと……とりあえず死んでほしーなーみたいな?」

 

「お前が死ね」

 

そのまま一度剣を離すと、攻撃する修次。大輝も木刀で応戦した。

 

「まてシュウ!そいつは……!」

 

と、摩利が口を挟むが止まらない。修次が突きを放った。大輝はそれをジャンプで躱し、廻し蹴り。それを突きを放った反対側の手でガード。大輝が着地した所で、斬りかかる修次。大輝も木刀で斬って相殺させ、距離をとった。

で、お互いに顔を見合わせる。大輝はニイィッと笑った瞬間、思わずゾクっとする修次。

 

(こいつ……ヤバイ……)

 

大輝は再び斬りかかった。すると、修次の前にエリカが立ち塞がった。

 

「そこまでよ!大輝!」

 

エリカは大輝を止めるために攻撃した。だが、大輝にまるで無視されたように攻撃を躱される。そして、大輝はエリカを通り過ぎて修次と距離を詰めた。

そのまま木刀と剣がまたぶつかり合いそうになった時、修次の手首を達也は掴んで止め、大輝は脇腹の傷口を蹴って止めた。

 

「いっだぁぁぁぁぁぁッッ‼︎‼︎」

 

ゴロゴロ転げ回る大輝。その姿に拍子抜けしたのか、修次の力も抜けた。

 

「て、てめええええ!達也この野郎おおおお!」

 

出血した。どうやら、少し強く蹴り過ぎだようだ。

 

「自業自得だバカめ」

 

「えっと……君は?」

 

状況を説明して欲しい修次。そこに摩利が現れた。

 

「シュウ!大輝!何やってるんだお前達は!」

 

「摩利……えっと、どういう状況なんだ?」

 

「あいつだよ。大輝は」

 

「へっ?」

 

「だから言ったろう。悪ガキだと。委員長の座を狙ってあいつ毎回私を殺しにかかって来るんだ。まぁテキトーにあしらってるが」

 

「………………」

 

割と本気で応戦した自分がバカらしくなる修次だった。

 

「って、大輝!お前傷口開いてるんじゃないか⁉︎」

 

「死ぬううううう!」

 

達也もやり過ぎたと思ってるのか、目を閉じると大輝をおんぶした。

 

「少し借ります」

 

「おい、どうするんだ?」

 

「応急処置です」

 

言うと達也は人目の付かないところに行った。

 

「………にしても、やるなぁ。彼は」

 

「大輝か?」

 

「ああ。この僕と怪我してる状態で木刀で互角以上に戦っていた。けど……」

 

「けど、なんだ?」

 

「…………いや、なんでもない。それより、彼には謝らないとな」

 

「いや、いいよ。ほっとけ。そもそもあいつが私に喧嘩売ってきたのが原因だし」

 

「じゃあ摩利が謝っといてくれ」

 

「分かった。………そういえば、エリカは大丈夫なのか?」

 

「ああ、エリカ?」

 

見ると、エリカは立ったまま涙目になっていた。

 

「怖かった………」

 

「ああ、うん。ごめんねエリカ……」

 

なぜか修次が謝るのだった。

 

 

 

 

再生をした。

 

「むお……?これは……」

 

「お前の魔法だけ知るのはアンフェアだし、ちょっと強く蹴り過ぎたからな。他の奴には言うなよ」

 

「………ふーん。OKだ」

 

すると、大輝は思い出したように言った。

 

「あ、そうだ。達也。お前無頭竜って知ってる?」

 

「! どこでその名前を……?」

 

「親父から聞いた」

 

「親父から……?もしやとは思ったがお前……」

 

「えっ、何。知り合いなの?俺の親父と?」

 

「真田繁留大尉か?」

 

「ああ。大尉なの。親父。そうそれ。そいつから忠告されててさ。で、無頭竜わかる?」

 

「ああ、知っているが……」

 

「あそこの殴り込み、手伝えよ」

 

「…………本気か?」

 

「ああ。喧嘩売られた以上はお返ししないと気がすまない」

 

「わかった。協力する」

 

そして、午後から決勝トーナメントである。

 

 





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