総務省と公正取引委員会が『中古スマホの流通実態調査』に着手したと産経新聞が報じました。
3キャリアが、消費者から下取りした中古スマホの国内流通に制限をかけていないか検証し、違反があれば行政指導も視野に入れるとのこと。日本の中古スマホ流通を拡大したい思惑があります。
端末代高騰で中古スマホにフォーカス
端末代金と通信料金を切り離す「分離プラン」の導入で、3キャリアのスマホ販売価格の高騰が続くなか、モバイル通信における「家計負担の低減」を目指す総務省は、中古スマホの流通に着目。9月1日以降、中古ショップなどで購入した端末のSIMロック解除にも応じるよう携帯3社に義務付けます。
また今回 、3キャリアが消費者から下取りした中古スマホについて、国内流通が妨げられていないか検証するとのこと。下取りされた中古端末は主に海外で販売されていますが、仮に国内流通を妨げる制限があった場合、これを是正することで、中古iPhoneを含む国内の中古スマホ流通量を増加させる狙いがあります。
つまり、SIMフリーで運用できる中古スマホの流通量が増えることで、中古スマホと格安SIMとの組み合わせの自由度が広がり、家計負担の低減に繋がるという算段です。
「中古スマホ推進」に懸念の声も
なお、総務省主導の「分離プラン」による端末価格の高騰。それに伴う低機能端末や中古端末の普及には、懸念の声もあります。
米国のシンクタンク、PPIのマイケル・マンデル氏(写真=下)は『消費者を低機能端末や中古端末に誘導することは、日本を最先端サービスを提供しづらい市場に変化させ、政府が進める「生産性革命」にもマイナスの影響を与える可能性がある』と指摘をしています。
▲廉価スマホが日本の生産性に影響を与えるとマンデル氏
また、世界的に2019年は4Gから5Gへの移行が始まる年。ここで低機能端末や中古スマホが台頭すれば、5G普及が進まず、日本の国際競争力に影響を与える可能性もあります。▲海外では2019年前半に5Gスマートフォンが登場する
加えて、特にAndroidスマートフォンの場合、発売からしばらく経った製品では最新のセキュリティパッチが提供されていない場合が多くあります。また、バッテリーは劣化する消耗品で、古い端末の場合は交換が難しいなど、新品にはない使いづらさがあります。
選択肢が増えることは喜ばしいことですが、中古スマホを使ううえでのリスクを消費者がしっかりと理解する必要もあります。