俺も魔法科高校に入学する   作:フリーザ様
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決勝戦

 

 

 

で、決勝になった。大輝と三高選手である。客席には、さっきまでいなかった一高の選手がかなりきている。

 

「まったく……勝ってると分かった時だけ観に来るんだから……」

 

と、来たら来たで不機嫌になるエリカだった。そのいつもの面子の後ろの方では生徒会が見ていた。

 

「まさか、本当に決勝まで来るとはね……」

 

と、真由美が呟いた。

 

「ええ、これで勝てば一年生男子だけでなく一高生全員に発破が掛かると思います」

 

と、鈴音も頷く。

 

「それに………」

 

チラッと鈴音は前の方の席を見た。そこには、前の準決勝を見ていた女子達が、ほとんどファンクラブ状態でキャアキャア言っていた。

 

「ファンも相当増えたみたいですし」

 

「達也くんとほとんど同じレベルね。本当に今年の一年生は……」

 

と、呟いた時だ。「うおおおお!大輝ぃ〜!」と、聞き覚えのある声がした。摩利が先陣切っていた。

 

「…………何やってんのあいつ」

 

「知らね」

 

自分のキャラも忘れて二人は呟いた。すると、アナウンスが響く。

 

『第一高校、真田タイキ選手』

 

「タイキじゃなくて大輝よ!」

 

「会長、落ち着いてください」

 

で、大輝が入場して来た。が、手にはラケットが二本握られていた。

 

「あら、二本?」

 

「ルール上、問題はありませんが……」

 

「絶対、利き手じゃないほうが使いづらくて挫折して、片方捨てる奴よね」

 

「中学生ですか」

 

なんで話してる間に相手選手も入場。そして、ボールの射出によって試合が始まった。相手の三高選手は、チームメイトに言われた事を思い出していた。

 

(彼は多分、魔法が得意ではないと思うんだ。客席の方に『二科生の誇り』とかいう旗も見つけたしね。だから、まずは球を増やした後、なるべく加重魔法を掛けてやるんだ。あの速度で力強い打ちが出来るはずがない。数と質を同時にぶつけてやるんだ)

 

と、頭の中でその台詞を思い出していた。で、まずは一球目の速度を落とし、加重魔法をかけて、上に撃ち上げた。で、二球目が来て、同じような球を撃つ。球が五球溜まったところで一気に攻めた。

 

「っ!」

 

大輝はとりあえず一球打ち返そうとしたが、重くて思ったほど威力が出なかった。

 

「………なるほど、加重魔法か」

 

客席で達也が呟いた。

 

「どういうことですか?お兄様」

 

「球の速さを捨てて重さで責めるんだ。大輝は自分の腕力だけで打ち返さなきゃいけないわけだから、速度を捨てて数と重さで勝負するつもりなんだろう」

 

「なるほど……」

 

「仮に打ち返してこれたとしても、フルスウィングを続けては大輝の体力は3セットまでもたない。フルスウィングして体力が持ったとしてもスピードを加えればいい。良い作戦かもしれないな」

 

と、珍しく達也が褒めた。それでも大輝は食らい付いたが、5対4で1セット目は落としてしまった。

 

(………さて、どうする大輝?)

 

達也は楽しんでる感じで心の中で呟いた。

 

 

 

 

休憩中。大輝は上を見上げた。

 

(あー……畜生)

 

心の中で呟いた。

 

(これ、負けたらダサいよなぁ……いつの間にか人いっぱいいたし……。それに、三年は三連覇、だった、よな……)

 

で、ため息をついた。

 

(仕方ない……。奥の手、使うか)

 

ベンチから立った。

 

 

 

 

「お、二セット目始まるぜ」

 

レオの一言で全員がフィールドを見た。

 

「何か覚悟決めたって顔ね」

 

「ああ」

 

エリカの一言に達也が頷く。そして、一球目が射出された。相手の選手は一試合目と同じ球を撃った。大輝は、壁を踏み台にしてその高く上がった球を打った。

 

「っ⁉︎」

 

達也がその打った瞬間にピクッと反応した。大輝の打った球はまたとんでもない速度で視界から消えた。

 

「なるほどねぇ〜。重力を味方に付けたって感じかな?」

 

「いや、違うな」

 

「え?違うの?」

 

エリカの一言をあっさりと達也が一蹴する。

 

「打った瞬間、あのボールに掛かってる魔法を全て搔き消している」

 

「えっ?」

 

「つまり、ラケットにボールが当たった瞬間は、ボールに掛かってる加重、加速魔法が術で消えてただのボールになっているんだ」

 

「………何それチート」

 

すると、相手選手が作戦を切り替えた。ボールに幻術を掛けた。だが、大輝は増えたように見えた幻覚のボールも含めて、全部打った。

 

(は、速い………!)

 

が、三高選手は負けじと撃ち返す。球が一つ増えた。

 

(とにかく、ボールを複数個増やさないと……!)

 

さらにボールが増えて、4個。だが、大輝の勢いは止まらなかった。

 

「……このっ!」

 

やがて、ボールは8個に増えた。だが、幻術によって大輝にはボールは24個くらいに見えている。それでも、大輝は二つのラケットを巧みに使い、打ち返した。

 

「スターバースト、ストリームッ……‼︎」

 

明らかにパクった技名と共に、二つのラケットを振り回した。一球、大輝の方へ落ちた。が、三球、三高選手の方へ落ちた。残り四球。

 

「っ!」

 

だが、大輝の方に二球落ちた。三対四。残り二球。すると、三高選手は、移動魔法を使って真ん中に立っている大輝の左右逆方向に二球撃った。

 

「!」

 

「上手い……」

 

思わず達也が呟いた。だが、大輝はラケットを、後ろに向かって投げた。それが、透明の壁にぶつかってバウンドし、右側に飛んできたボールに当たった。

 

「ッ‼︎」

 

「嘘…………」

 

と、なる客席。大輝はそっちに目もくれずに左側に飛んできたボールを打ち返した。

 

「しまっ……!」

 

ありえないプレーに見惚れてしまい、三高選手は反応が遅れ、二つとも返し損ねてしまった。

そして、電光掲示板にwinner真田大輝の文字が映る。盛り上がる一高。その電光掲示板を見ながら大輝は安心したようにベンチに座り込んだ。

 

 





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