【サッカー】王座奪回へ柴崎決意「チームの中心に」 アジア杯準々決勝2019年1月24日 紙面から 【ドバイ(アラブ首長国連邦)松岡祐司】サッカーのアジア・カップで2大会ぶり最多5度目の優勝を目指す日本は、24日午後5時(日本時間同10時)からベトナムとの準々決勝に臨む。ボランチで先発出場するMF柴崎岳(26)=ヘタフェ=は「チームの中心となって、パスワークと技術でベトナムを上回る」と、長短の正確なパスを武器にベトナムゴールを襲いたい考えだ。両チームは23日、試合会場を視察後、それぞれ別会場で最終調整した。 試合前日の公式練習。砂ぼこりでかすむドバイの青空の下、森保監督の声で円陣が解かれると、柴崎は真っ先に飛び出した。チームの先頭を走る表情は引き締まり、中心軸としての決意に満ちていた。 「次のラウンドに進むために重要な試合。最善の準備を尽くして、ベストなプレーで勝利を目指したい」。初めて臨んだ公式会見で、柴崎は真正面を見詰め、静かに意欲の言葉を紡いだ。 前戦のサウジ戦では勝っても、決勝アシストを決めても笑顔はなかった。厳しい表情で反省の弁のオンパレードだった。ボール支配率は想定以上の23・7%まで落ち込み、まるで敗軍の選手のようだった。 司令塔として歯がゆい思いをためこみ、「チームが未完成なのは重々承知している。大会が進む上で成長しながら、最後にトロフィーを勝ち取れれば日本にとって1番いい」。高みを見据え、厳しい現実を消化しようと必死だった。 苦難に陥り、壁にぶつかっても、自力ではい上がり、強くなってきた。雪国の青森山田中、高時代は雪深い冬も、当然のように屋外でトレーニングした。練習前の雪かきは当たり前。雪に足を埋めながら歯を食いしばって走り、懸命にボールを追い、仲間たちと競り戦ってきた。どんな日も早朝5時に1人でボールを蹴るのが日課。授業前のチーム練習が始まる前に、いつも柴崎だけが汗まみれだったのは有名な話だ。同高サッカー部の黒田剛監督は「あの雪が、青森の雪が柴崎岳を育てたんです」と言う。 サウジ戦で得た教訓を、すぐさまベトナム戦で生かす。ゲームを支配し、味方を動かし、生かし、ゴールを陥れる。「パスワーク、技術で上回っていく。その中心を担っていきたい」。責任感、使命感を背負い、柴崎が出陣する。
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