俺も魔法科高校に入学する   作:フリーザ様
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発足式

 

大輝の家。久々に体を使って疲れたのか、大輝は部屋で寝転んだ。一人暮らしだから、誰にも文句は言われない。と、思ったら電話がかかって来た。

 

「もしもし?」

 

『私だ』

 

「親父、珍しいな」

 

電話の相手は真田繁留。大輝の父親であり、独立魔法大隊の幹部だ。

 

『いや何、もうすぐ九校戦なんだろ?』

 

「ああ。出るよ、俺も」

 

『………マジで?』

 

「マジ」

 

『応援に行こうか?』

 

「いい、いらん、やめろ」

 

『3回も断るなよ。冗談だから』

 

で、繁留はハハッと苦笑いをする。

 

『でも、それなら気を付けろよ』

 

「? 何を?」

 

『富士演習場南東エリア、だよな?そこに不穏な動きがある』

 

「と、言うと?」

 

『国際犯罪シンジケートの構成員らしき東アジア人が目撃されてる。多分、九校戦が狙いだろうと思われてる』

 

「国際犯罪シンジケート?」

 

『ああ。「無頭竜」って聞いたことないか?』

 

「ああ、あれか。韓国の」

 

『香港は中国だぞ』

 

「…………………」

 

黙り込む大輝。

 

『ま、応援にせよなんにせよ向こうで会いそうだな』

 

「分かった。忠告サンキュー。じゃあな」

 

『おう』

 

そのまま電話は切れた。

 

「刀、持って行くか……」

 

と、大輝は呟いて、またゴロゴロに戻った。

 

 

 

 

学校。発足式となった。壇上に大輝は登る。選手用のテーラード型のスポーツジャケットを羽織っていて、意外と似合っていた。別に石も魔法も飛んで来なかったが、数箇所から舌打ちが聞こえた気がした。だが、大輝の耳は地獄耳。その舌打ちした奴を睨み返し、本気で「後で殺すから」と、笑みを零してやった。

で、一人一人選手の紹介が進む中、大輝は思わず欠伸をしてしまった。

 

(サボればよかった)

 

と、後悔しながら大輝はボンヤリした目で空中を眺めていた。すると、深雪が目の前に立った。

 

「…………何?」

 

「いや、徽章よ。付けるの」

 

「あ、ああ。そうなの」

 

で、付けてもらった。

 

 

 

 

で、早速練習。大輝、桐原、真由美、あと新人戦の女子もう1人が集まっていた。クラウド・ボールの出場者である。とりあえず、桐原がその女子を、真由美が大輝の面倒を見ることになった。

 

「……しかしあれ、達也も九校戦出るんすね」

 

「え?ああ、そうよ。エンジニアでね」

 

「ふぅーん……CADの調整って奴ですか?」

 

「まぁ、そんなところね。……と、いうか真田くんはどんな魔法を使うの?」

 

「えっ?」

 

「真田くんが魔法使うところ、見たことないわよ。いつも木刀とバズーカじゃない」

 

「あー……」

 

あまり言いたくないのか、大輝は目を逸らした。

 

「まぁ、言いたくないなら言わなくてもいいケド。でも、九校戦は魔法無しで勝てるほど甘くないわよ」

 

「あー……まぁ、そうですよね。そうなんですけど……」

 

大輝は達也みたいに生まれつき、二種類の魔法しか使えない。なんでか知らんけど。余りバレたくないのだ。

 

「まぁ、気が向いたらで」

 

テキトーに返事を濁した。

 

「なるべくなら使って欲しいのよねぇ…私達の代は今年で三連覇掛かってるのよ」

 

「………………」

 

なるほど、と心の中で呟いた。

 

「まぁ、使う場面になったらで」

 

そう答えながら、ぼんやりと練習を眺めていた。コートは一つしかないので、交代で使うしかない。大輝と真由美はコートの外にいた。すると、不機嫌そうな顔の紗耶香がズカズカと歩いてきた。

 

「あ、壬生先輩……」

 

と、声をかけても聞こえてないのか、そのまま悠々とコートの中に入った。で、桐原の胸ぐらを掴んで口喧嘩を始めた。どうやら、浮気と勘違いしたみたいだ。

 

「…………ムカつくんで撃っていいですか?」

 

バズーカを担いで大輝は聞いた。

 

「怪我させないようにね」

 

許可が下りた。

 

 

 

 

大輝と真由美が練習する時間。

 

「じゃ、まずは私の打つ球を打ち返してみて」

 

「うぃっす」

 

で、ボールが射出され、その球を真由美が打った。移動魔法を掛けてコートの端に向かう。それに大輝は追い付いて、打ち返し、真由美の顔面にクリティカルさせた。

 

「……………」

 

「あ、すいやせん。ミスりました」

 

「そ、そう。ミスは誰にでもあるものね」

 

で、2球目。また真由美の顔面。

 

「あ、すいません。顔に虫が止まってたもんで」

 

「…………………」

 

真由美は目を閉じて深呼吸する。

 

(怒っちゃダメよ真由美。ここで怒れば真田くんの思うがまま、耐えるのよ)

 

と、心の中で言い聞かせて3球目。今度は胸に当たった。

 

「あ、すいません。壁と間違えました」

 

限界だった。無言でCADを大輝に向けた。

 

「誰が壁よ。それなりにあるわ!」

 

そのまま追いかける真由美と逃げる大輝。そのまましばらく追いかけっこしていたが、十文字に捕まって2人で怒られた。

 

 

 

 

「よっ……と!」

 

「うん、中々やるじゃない。真田くん。1日でここまで出来るなら十分よ」

 

そこそこ真面目に(途中で板チョコ食ったり携帯いじったり何処から持ってきたのは金属バットで打ち返したり)練習していて、上達していた。

 

「っと、そろそろ交代ね。桐原くん」

 

で、交代して真由美と大輝は休憩する。すると、

 

「よぉ、やってるか?」

 

摩利が入って来た。

 

「あら摩利。どうしたの?」

 

「いや、大輝の様子を見に……」

 

と、言いかけた瞬間、大輝が木刀を振り下ろした。

 

「うおっ⁉︎」

 

慌てて避ける摩利。

 

「な、何をするんだ!」

 

「いえ、蚊が腕に止まってたもので」

 

「腕ごと持っていく気だっただろう!」

 

「ていうか、攻撃されると分かっていてノコノコやってくるとか、マゾなんですかい?」

 

「違う!人がせっかく様子見に来てやったというのに……」

 

すると、真由美はクスッと微笑んだ。

 

「? なんだ?」

 

「いや、確かにわざわざ様子見に来るなんて、不思議だなーって思って」

 

「は、はぁ⁉︎」

 

顔を赤くする摩利。

 

「違うぞ!そんなわけない!ていうかこの男にそんな要素ないだろ!」

 

「そうかしら?イケメンだし、強いし、運動神経もいいし……あれ?なんでモテないの?」

 

「黙れクソババァ」

 

「誰がババァよ。二つしか変わらないわよ」

 

なんてやりながら練習した。

 

 





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