俺も魔法科高校に入学する 作:フリーザ様
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体育
テストも終わり、放課後。風紀委員会。達也はほぼ毎日のように、夏休み後の資料を作っていた。
「何だか自分がとんだお人好しに思えてきましたよ……」
「極悪人でお人好しか。中々に興味深い二面性だ」
「……………」
あまりに的確なツッコミに、返す言葉もなかった。
「しかし今回は、君の中のお人好しな人格に感謝だな。大輝のアホみたいに逃げ出さなくて助かったよ」
「あいつはあとで殺します」
「………君が言うと冗談に聞こえないな」
摩利が引き気味に言った。
「しかし、随分前もって準備するんですね」
「九校戦の準備が本格化すれば、資料作りの時間なんて取れなくなるからな。メンバーが固まったら出場競技の練習も始まるし、道具の手配、情報の収集と分析、作戦立案、やることは山積みだ。………おっと、九校戦で思い出した。大輝に伝えておいてくれ」
「? 何をです?」
「出場選手候補に彼が選ばれている」
「………本当ですか?」
「ああ。君もな」
「…………今何て?」
「や、だから君もだと」
「待ってください!俺たちは二科生ですよ⁉︎」
「まだ何も決まっていないから、詳しいことは話せないが、それだけは覚えておいてくれ」
それだけ言うと、摩利は風紀委員の教室からフェードアウトしようとした。だが、
「くたばれ委員長」
「ほあああああああッッ‼︎」
爆発音と悲鳴が外から聞こえ、今度は達也がまきこまれないようにフェードアウトした。
○
翌日。体育の授業。今日はレッグボールをやっていた。
「オラオラ、どきやがれ!」
レオがこぼれ球に突進し、そのままパスを出そうとした。だが、それを大輝が取る。
「あ、あら?」
レッグボールのボールは反発力が極端に高く、ドリブルは難しくてほとんど使われないのだが、大輝は平気な顔をしてドリブルをする。
クラスの男子をフェイントとか使ってスイスイ抜いていき、ゴールまであと少しとなった距離、そこで目の前に達也が現れた。
「行かせないぞ」
そう宣言すると、大輝の抜こうとした方向へ前に出た。が、大輝はヒールパスで後ろにパスを出した。それをクラスメイトの吉田幹比古が受け取り、そのままミドルシュートを放った。見事に2人を躱すように曲がり、ゴールネットを揺らした。
「マジか……」
達也は思わず立ち尽くした。なぜ、大輝が後ろに幹比古がいたと分かったのか、不思議だったからだ。今回は魔法抜きのゲームだったはずだから、魔法ではないだろうし、何より魔法なら自分が気づく。
後で問い詰めてやろうと思いながらプレーに戻ろうとした。瞬間、後頭部にボールが直撃した。言うまでもなく、大輝のせいである。後でほんと殺すと心の中で宣言して、達也は今度こそプレーに戻った。
○
試合が終わり、男子組は見学ゾーンに戻った。幹比古は、大輝の元に向かった。だが、
「オイ、あの後頭部に当ててくれたのはどういう用件だ?」
「ワザとじゃないってばぁ〜、プレー中の事故はよくあることだろ〜」
「あんなドリブルできるやつがそんなミスするか!」
などというやり取りをやっていて、実に声をかけづらかったのだが、その2人の間にレオが入り、なんとか仲裁したところで幹比古は改めて声をかけた。
「真田くん、だよね。ナイスパス」
「ん?おお」
「どうして僕が後ろにいると分かったんだ?君は一回も後ろを見てなかったよね?」
「勘」
「へ?か、勘?」
「勘。それに、お前のシュートも俺と達也を躱してゴール決めるとは思わなかったよ」
「え?あ、ああ」
「おう!あれすごかったな!」
そこにレオが入る。
「すごかったぜ、吉田。こういっちゃなんだが予想外だぜ」
「幹比古。苗字で呼ばれるのはな好きじゃない。僕のことは名前で呼んでくれ」
「おう。じゃあ俺の事はレオって呼んでくれ」
「俺も幹比古と呼ばせてもらっていいか?もちろん、俺のことは達也でいい」
「オーケー、達也」
と、自己紹介する。で、幹比古は大輝を見た。
「好きに呼べよ」
「じゃ、大輝でいいかな?」
「どんぞ」
で、大輝はくあっと欠伸をした。
「実を言うと僕は、前から君と話をしてみたいと思っていたんだ」
幹比古は達也に言った。
「奇遇だな。俺もだ」
と、達也は返す。
「……なんとなく疎外感を覚えるぜ」
「気の所為だよ、レオ。君とも話をしてみたいと思っていたんだ。何と言っても、あのエリカにあれだけ根気良く付き合える人間は珍しいからね」
「……なんか釈然としねぇな」
レオは顔を顰めた。
「幹比古、以前からエリカと知り合いなのか?」
「まあね。いわゆる、幼馴染みってやつ?」
その問いには後ろからまさに当人であるエリカと美月が現れた。
「エリカちゃん、何で疑問系なの?」
「知り合ったのが10歳だからね。幼馴染と呼べるのか微妙なところだと思うのよ。それにここ半年くらい、学校の外では全く顔を合わせて無かったし。教室じゃずっと避けられてたしね」
なんて話してると、幹比古がエリカの姿を見て突然声を上げた。
「エリカ、なんて格好してるんだ!」
「何って、伝統的な女将体操服だけど?」
「伝統⁉︎」
いわゆるブルマーという奴だった。
「そうか?変わったデザインのスパッツだと思うが」
「スパッツじゃないよ。これはブルマーっていうの」
と、達也の台詞にエリカが返すと、レオが思い出したように言った。
「ブルマーっていうとあれか、昔のモラル崩壊時代に、女子中高生が小遣い稼ぎに中年オヤジへ売ったっていう……」
「黙れバカ!」
エリカはレオの脛を蹴り上げた。脛を抑えて悶絶するレオを見下してると、今度は大輝がクラスの男子に何か写真を売ってるのが見えた。その写真には、エリカのブルマー姿を下から撮った感じのものが写っていた。
「ち、ちょっと!何やってんのやめなさい!」
止めるエリカだが、止まらなかった。