俺も魔法科高校に入学する   作:フリーザ様
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試験

 

 

 

あとから知った話だが、あの事件の後始末は十文字が引き受けてくれた。あと、紗耶香の記憶の改竄はやはり、司一によるものだった。で、その司一の金○マは潰れていなかったようだ。司一曰く、「股間の毛の意味を初めて知った」だそうだ。

で、今は7月の期末テスト一週間前。達也がE組の教室に入ると、なんか騒がしかった。見れば、1人の男子生徒が壁に頭を打ち付けていた。壁にはデッカいクレーターが形成されていて、所々血が飛び散ってるにも関わらず、その男子生徒は機械のように壁に頭を叩きつける。

 

「………何事だ」

 

「おっ、達也」

 

近くにいたレオが真っ先に声をかけてきた。

 

「てかあれ、大輝だよな。何してんのあいつ」

 

「それが、美月が『もうすぐ試験ですね!』って言った瞬間にああなっちまって……」

 

「つまり、試験が絶望的ってことかあいつは」

 

達也がやれやれと言わんばかりにため息をついた。あまり注目は浴びたくないが、風紀委員として見過ごせないので、達也は大輝の元へ歩み寄った。

 

「おい大輝。何してる」

 

声を掛けるも止まらない。

 

「おい、おいってば」

 

まだ止まらない。

 

「しつこいぞ」

 

そこまで言われてようやく止まった。で、グルリと血走った目と血だるまの顔で達也に言った。

 

「助けて!」

 

「おう。保健室行こうか」

 

「や、そうじゃなくて」

 

で、達也に連れられて大輝は保健室へ向かった。レオ、美月、エリカも途中で加わって、5人で保健室に到着。美月が大輝の頭に包帯を巻きながら聞いた。

 

「でも、そんなにひどいんですか?テスト」

 

「ああ……中間は全部赤点だった。ははっ、高校で留年とか笑えネー……死ぬか……」

 

サブマシンガン持ちに囲まれてもまったく慌てなかった大輝がここに来てここまで追い詰められている様を見るのは、達也達的には少し面白かったが、このままだとまた教室の壁を壊しかねない。仕方なくため息をついた。

 

「わかったよ大輝……」

 

「教えてくれんの⁉︎」

 

「市原先輩辺りに聞いたらどうだ」

 

「人任せかよ達也くたばれコノヤロー」

 

「お前がくたばれ。いいのか?市原先輩は確かすごく頭良かったぞ」

 

「マジで?いや確かに頭良いオーラ出してたけど」

 

「教わりに行ってこいよ。深雪に頼んでもらっとくから」

 

「マジでか!サンキュー!いや別にお前に教わるわけじゃねーから今の『サンキュー』は無しな」

 

「……いちいちむかつくなお前」

 

 

 

 

放課後。摩利は相も変わらず、イライラを隠そうともせずに校内を見回りしていた。もちろん、サボりの大輝を探し回っているからだ。

 

「ったく……あのバカめ……」

 

しかも、今日は何故か攻撃が来ない。それがまた不機嫌になっていた。ドMというわけではないが、なんとなく調子狂うのだった。

 

「何処で何をしてるんだ……」

 

で、不機嫌そうに生徒会室に入った。

 

「おい真由美。大輝を見なかったか……」

 

「ドォーン」

 

その瞬間、飛んで来るバズーカの砲弾。

 

「うおっはぁぁぁぁぁ‼︎」

 

悲鳴を上げて避ける摩利。

 

「なっなっなっ、何しやがんだお前えええええッッ‼︎‼︎」

 

「チッ、しくじったか……。あっ、いやすいません渡辺先輩。テロリストの残党だと思ったもので」

 

「しくじったってなんだ!」

 

「真田くん。余り暴れると勉強教えませんよ」

 

鈴音の静かな声で大輝は元の席に戻った。

 

「なんだ?何してるんだ?」

 

珍しい組み合わせに、摩利は気になったので聞いてみた。

 

「真田くんが一年前期で詰みそうだと言うので、勉強を見てあげてるんです」

 

「なるほど…それで今日は襲ってこなかったのか……」

 

「……襲われたいんですか?」

 

「まぁ摩利って名前なんだし、ドMなんだろ」

 

「イニシャルだけだろそれは!」

 

「ちなみに真田のSはサディストのSですぜ」

 

「それはなんか納得!」

 

「いいから、集中してください。真田くん」

 

鈴音に怒られて大輝は素直に従う。

 

「………鈴音の言うことには従うのか君は」

 

「そりゃお前、教わってる身だからな?」

 

「お前今タメ語使った?てかお前って言った?」

 

「ていうか勉強中なんで邪魔しないでください」

 

「グッ………!」

 

言ってることは正しいので言い返せなくなる摩利。仕返ししてやろうかと、摩利はその辺に落ちてる大輝のプリントを見た。

 

「って、おいおい。授業中何したらこうなるんだ。ほとんど全滅じゃないか。一般科目もギリギリラインだし……」

 

「うっ………」

 

ドスッと何かが大輝の心に刺さった。

 

「しかもアバダケダブラって……そりゃ魔法だけどさ……」

 

「うぐっ………!」

 

「魔法の仕組みがMPって……ドラクエかよ」

 

「うぐはっ………!」

 

「こんなのでよくうちの高校に……」

 

「摩利」

 

真由美が口を挟んだ。

 

「大輝くん、涙目よ」

 

「えっ」

 

見れば、大輝は机に伏せていた。今更になって「言いすぎた」っと後悔する摩利。

 

「さ、真田くん?大丈夫ですか……?」

 

鈴音が気を使って声をかけるも、顔を上げない。

 

「もう、いい……馬鹿は死ぬしかないんだ……」

 

「大丈夫ですよ。過去なんて関係ありません。これから頑張ればいいんです」

 

「俺勉強苦手だしぃ……」

 

「人間は得意なものだけ生きていくのは無理ですよ。特に勉強は誰でも通らなきゃいけない道です」

 

「うう……市原先輩ぃ……」

 

頭を撫でられ、大輝は思わず鈴音に抱き付いた。

 

「んなっ……⁉︎」

 

「ふえっ⁉︎」

 

「わっ」

 

「っ⁉︎」

 

摩利、あずさ、真由美、深雪と声を漏らす。で、鈴音は少し驚いたものの、なんとか冷静を取り繕って顔を赤くしながらも言った。

 

「そ、その……、困ります。真田くん……」

 

「え?あ、いやすいません」

 

離れる大輝。

 

「いやあ、そこの戦闘狂と違って余りにも聖人だったので……すいませんね」

 

「いえ、気にしてませんから」

 

「ま、待て!誰が戦闘狂だ!」

 

「お前だよ自覚を持てクソ委員長」

 

「なっ……おまっ……!」

 

「摩利」

 

またまた真由美が口を挟んだ。

 

「文句言える立場じゃないわよ」

 

「ウグッ……!」

 

で、摩利は悔しそう顔をしながらも大輝と目を合わせた。

 

「そ、その……真田。悪かった……」

 

「……………」

 

「……………」

 

目を合わせること数秒、大輝は顔を逸らして言った。

 

「骨折しろ」

 

「ングッ………!」

 

許されなかった。この後、なんとか鈴音に特訓されて大輝は首の皮一枚繋がった。

 

 





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