俺も魔法科高校に入学する   作:フリーザ様
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撲滅

 

 

 

保健室では、紗耶香の事情聴取が行われていた。大輝はそれに参加せず、外のベンチで板チョコを齧っていた。

 

「よう、今日は意外と穏やかだったな」

 

その隣に、摩利が座った。

 

「事情聴取は?」

 

「終わったよ。壬生が泣いて大変だった」

 

と、報告した後、悪戯っぽい笑顔でニヤニヤしながら摩利は言った。

 

「それより、壬生から聞いたぞ?お前から見たら、私は芯のあるリーダーに見えていたそうだな?」

 

「あ?………あっ」

 

確かに……と、心の中で納得する。あの説教は確かにそう捉えることもできた。

 

「なんだ?今までの攻撃はツンデレだったのか?ん?」

 

「や、それはないです。俺、渡辺先輩のこと毛ほども好きとか思ってないんで」

 

「そ、それはそれで少しショックだな……。でも、何かあったのか?君が暴力以外での解決をしたなんて、明日隕石でも落ちてくるんじゃないか?」

 

「今回ばかりはボコらなきゃいけないのはあの人じゃないでしょう。操り人形にすぎませんし」

 

「………どういうことだ?」

 

「壬生先輩に偽の記憶を植え付けたやつがいるって言ってんですよ。そいつをボコボコにすれば俺はようやくストレスを解消できます」

 

「それはダメだ。危険過ぎる」

 

「危険過ぎるってことは、やっぱりこの学校ではなく第三者と見て間違いないんですね?」

 

「あっ、しまっ……!」

 

「誰ですか?相手は。答えてください」

 

「そ、それは……」

 

「答えろ」

 

大輝が声を鋭くした。答えなければ殺す、とでも言わんばかりの声音だった。だが、

 

「それは、俺が答えよう。大輝」

 

達也がやって来た。

 

「奴らを叩き潰すというなら、俺たちも力を貸す」

 

「いらねーよ。俺1人で十分だ」

 

「そう言うな。俺も、奴らにはキッチリお返ししておきたい」

 

達也と大輝は、まったく同じ目をしていた。

 

「ま、いいか。で、場所は分かってんの?」

 

「小野先生から場所は聞いた。メンバーはすでに集まってる。行くなら来い」

 

「へーへー」

 

大輝は立ち上がり、達也の後に続く。

 

「お、おい待て!本気でいくのか⁉︎」

 

「すでに十文字会頭と七草生徒会長からの許可は下りていますが?」

 

摩利の問いにあっさりと達也は答えると、大輝と共にアジトへ向かった。

 

 

 

 

大型オフローダーが、閉鎖された工場の門を突き破った。

 

「レオ、ご苦労さん」

 

「……なんの。チョロいぜ」

 

「そうか、じゃあそれをあと500回やってもらおうかな」

 

「……やっぱ疲れてます」

 

大輝の容赦ないリクエストにあっさりレオは折れた。すると、十文字が達也に言った。

 

「司波、お前が考えた作戦だ。お前が指示を出せ」

 

「はい。レオ、お前はここで退路の確保。エリカはレオのアシストと、逃げ出そうとするヤツの始末」

 

「捕まえなくていいの?」

 

「余計なリスクを負う必要はない。安全確実に始末しろ。会頭は桐原先輩と左手を迂回して裏口に回ってくださいを俺と深雪と大輝は正面から踏み込みます」

 

「わかった」

 

「まあいいさ。逃げ出すネズミは残らず斬り捨ててやるぜ」

 

「達也、気をつけてな」

 

「深雪、無茶しちゃダメよ」

 

桐原は抜き身の刀を手にして駆け出し、そのあとに十文字が悠然と続く。達也と大輝、深雪は平気な顔で工場の中を進んだ。

 

 

 

 

遭遇は意外に早かった。三人が進んでいると、相手はホール状のフロアに隠れもせず、むしろヤル気満々で整列して待っていた。

 

「ようこそ、はじめまして、司波達也くん!それと真田大輝くんだったか……」

 

と、敵のボスが言いかけたところで大輝の木刀が顔面に減り込んだ。

 

「グッフォアァッ‼︎」

 

悲鳴をあげて後ろにぶっ飛ばされる。他の敵のメンバーや達也、深雪までもが半眼になる中、大輝は何食わぬ顔でぶっ倒れてるリーダーに歩み寄る。

 

「き、ききき君ぃ!なんなんだ!なんでいきなり顔面パンチ⁉︎まだ話してる途中でしょうが!」

 

「………いや、もうすぐスーパーのセールあるから」

 

「どんな理由⁉︎意外と家庭的だな君!」

 

「いや、こう見えて一人暮らしなんだよね。金とか色々と節約しなきゃなんねーのよ。分かったら投降するなり自害するなりしてくれねぇかな」

 

「誰がするか!大人をなめるのも大概に……!」

 

「い、い、か、ら、は、や、くっ!」

 

ガッ!ゴッ!ズゴッ!と拳が顔面に炸裂する。

 

「いだだだだ!ごめっ!ちょっ!タンまっ!少しでいいから!」

 

そこでようやく手を止めた。すると、その隙を突いてボスの目が妖しい光を放った。

 

「えいっ」

 

が、目を潰された。

 

「あああああッ‼︎目が!目がぁぁああああ‼︎」

 

ゴロゴロとのたうち回るリーダー。すると、大輝に向かって銃口を向ける周りの部下達。そして、発砲を始めようとしたが、発砲はされなかった。深雪の魔法だった。

 

「んなっ……⁉︎」

 

ガビーンとした顔になるリーダー。もはや絶体絶命となっていた。と、おもったら、丸腰になった部下達が大輝に殴りかかった。仕方ないので、大輝は応戦する。その隙にリーダーは逃げ出した。

 

「あっやべっ」

 

大輝はとりあえず5人ほど壁に減り込ませた後、リーダーを追った。

 

「お兄様、追ってください。ここは私が」

 

「分かった」

 

深雪に任せて、達也は先へ進んだ。

 

 

 

 

さらに奥へ進むと、残党が11人待ち構えていた。サブマシンガンが10丁。だが、まったく構わずに大輝は中へ入った。

 

「撃てェッ‼︎」

 

その瞬間、号令。が、大輝は木刀で全弾丸を弾く。そして、その隙に達也の分解が次々にサブマシンガンを分解していった。で、達也と大輝はあっさり全員ブチのめした。

 

「ひ、ひいぃ……」

 

後ずさるリーダー。つーかもう司一でいいや。すると、その後ろの壁が切り裂かれた。そこから出てきたのは桐原だった。

 

「よぉ、こいつらをやったのはお前らか?」

 

その言い草に、達也も大輝も軽く頷く。

 

「やるじゃねぇか、それでこいつは?」

 

「人の形をしたゴミです」

 

「ブランシュのリーダー、司一です」

 

まったく別の回答をする2人だった。すると、桐原の表情が一転する。

 

「こいつか!壬生を誑かしやがったのは!」

 

「ひいぃぃぃぃ!」

 

「テメエのせいで、壬生がぁぁ!」

 

「ぎゃああぁぁぁぁ!」

 

桐原は司一の腕を切り落とした。

 

「ついでにとりゃあぁぁ!」

 

大輝が木刀でさらに股間を潰した。

 

「あがぁぁぁぁぁ!」

 

股間を押さえようにも腕がない。すると、穴から十文字が現れた。一瞬、左手のCADをいじると、司一は泡を吹き気絶した。

 

 









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