俺も魔法科高校に入学する   作:フリーザ様
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リーダー

 

 

実技棟。

 

「何の騒ぎだ、こりゃあ?」

 

レオが立っていた。

 

「テロリストが学内に侵入した」

 

「そこのバズーカ持ってるのはテロリストじゃねーのか?」

 

「大体あってる」

 

「オイコラ」

 

達也がシレッと賛同して、大輝が軽くキレた。

 

「レオ、ホウキ!……っと、もう援軍が来てたか」

 

遅れてエリカがやってきた。

 

「気にすんな。充分間に合ったタイミングだぜ」

 

「気にするわけないでしょ。殺したって死にゃしないくせに」

 

「んだとコラ!……いや、今はテメエと遊んでる場合じゃねぇ。さっさと俺のCADを寄越せ。って、投げんなよ!」

 

なんてやりながら、エリカはテロリスト達を見た。

 

「それでこいつらは、問答無用でぶっ飛ばしてもいい相手なのね?」

 

「生徒でなければ手加減無用だ」

 

「アハッ、高校ってもっと退屈なトコだと思ってたけど」

 

「お〜怖え。好戦的な女だな」

 

「だまらっしゃい。つーか大輝に言われたくないわ。てかそのバズーカ何?」

 

「もらった。いいから、ここからどーすんだよ達也」

 

「こいつらは陽動だろうな。おそらくこいつらの狙いは……」

 

「彼らの狙いは図書館よ」

 

後ろから、小野遥が歩いてきた。

 

「小野先生?」

 

「…………誰?」

 

大輝の質問は無視された。

 

「向こうの主力は、既に館内に侵入しています。壬生さんもそっちにいるわ」

 

「……後ほど、ご説明をいただいてもよろしいでしょうか」

 

「却下します、と言いたいところだけど、そうも行かないでしょうね……」

 

達也の台詞に、困ったように遥はため息をついた。で、全員で図書館に向かった。

 

 

 

 

図書館前では、拮抗した小競り合いが繰り広げられていた。襲撃者はCAD以外にナイフやら何やらと武器を持っている。三年生を中心とする応戦側は、魔法力で圧倒している。

それを目にした途端、レオが突っ込んだ。

 

「パンツァァー!」

 

雄叫びを放ち、乱戦へ飛び込む。

 

「音声認識とはまたレアな物を……」

 

「お兄様、今、展開と構成が同時進行していませんでした?」

 

「ああ、逐次展開だ。十年前にに流行った技術だな」

 

「アイツって、魔法までアナクロだったのね……」

 

エリカ、深雪、達也がそれを見ながら言った。そのレオは敵の棍棒やら何やらを腕でガードしていた。

 

「さて、じゃあ俺も行くか……」

 

と、大輝は首をコキコキ鳴らしながら歩き出す。だが、それを達也が止めた。

 

「待て」

 

「何だよ」

 

「お前の役割はもっと後だ。エリカ、代わりにレオの援護を頼む」

 

「了解」

 

で、達也と深雪と大輝は図書館内に突入した。図書館内は静まり返っていた。達也は一旦、入口脇の小部屋に身を潜めると、意識を広げて存在を探った。だが、それらを無視して大輝が勝手に突入。

 

「お、おい!」

 

一気に階段の辺りまで走って行くと、2人ほど待ち構えていた。マシンガンを大輝に向けている。

 

「! 真田さん!」

 

深雪が声を上げたが、向こうは問答無用で発砲してきた。が、それを大輝は木刀で弾く。

 

「っ⁉︎」

 

2人がかりの銃弾を、大輝は一本の木刀で全部弾いた。で、リロードしようとした隙を突いて、一撃で2人の敵を殴り、一撃で気絶させた。

 

「………体術だけでは、俺は大輝に敵わんかもしれんな」

 

達也はそう呟きながら大輝の後に続いた。

 

「大輝、階段の上にも2人いるぞ」

 

「うーっす」

 

で、あっさり倒した。さっさと倒して階段の上で待機。後から達也と深雪が来た。

 

「で、ここから先は?」

 

「特別閲覧室に4人だ。多分、魔法大学が所蔵する機密文献を盗み出そうとしてるんだろう。おそらく、壬生先輩もそこにいる」

 

「ふぅーん」

 

生返事しながら大輝はバズーカを撃った。特別閲覧室が吹き飛んだ。

 

「………だから、話聞いてた?」

 

達也の静かなツッコミと共に、三人は特別閲覧室に突入した。

 

 

 

 

「ケホッケホッ、クソ!なんだ今の爆発は!」

 

「奴ら、正気か⁉︎ここは機密文献があるというのに…!」

 

と、ぼやいてる間に達也はCADを向けて言った。

 

「産業スパイ、と言っていいのかな?お前たちの企みは、これで潰えた」

 

その達也の後ろには、深雪と大輝が立っている。

 

「真田くん……」

 

紗耶香が大輝を見て呟いた。その隣で、1人の男が実弾銃を向けた。だが、撃てなかった。男の右手は紫色に腫れ上がっていた。

 

「愚かな真似はおやめなさい。わたしが、お兄様に向けられた害意を見逃すなどとは思わないことです」

 

深雪が静かに言った。

 

「もう諦めろよ。あんたらに勝ち目はない」

 

珍しく真面目な顔の大輝が言った。だが、

 

「壬生、指輪を使え!」

 

後ろの男が叫んだ。すると、床に向かって腕を振り下ろした。小さな発火音と、白い煙。それと共に席は全員逃げようとした。だが、達也にほとんどが捕まった。その中に紗耶香の姿はない。

 

「大輝」

 

「あん?」

 

「出番だ」

 

「え、何で俺?」

 

「壬生先輩と関わってたのはお前だけだろ。説得も頼む」

 

「分かったよ……」

 

そのまま大輝は後を追った。

 

 

 

 

紗耶香が図書館から出る直前、真横をものすごい勢いで木刀が通り、壁に突き刺さった。

 

「⁉︎」

 

「待てよ。壬生先輩」

 

後ろには大輝が立っていた。手には箒が握られていた。

 

「真田くん……」

 

「そこから先に行きたきゃ、俺を倒してけよ。とでも言っておこうか」

 

「いや、カッコ良くないから」

 

若干、イラッとしたが大輝は堪えた。

 

「その木刀、使えよ。ハンデだ」

 

「馬鹿にしてるの?私はこれでも……」

 

「全国2位、だったっけ?」

 

「そ、そうよ」

 

「それなのに俺を倒して先に行く自信がないと?」

 

「………上等じゃない。やってやるわよ!」

 

呆れるほどちょろかった。で、紗耶香は木刀に手をかけた。

 

「……ぬ、抜けないんだけど。手伝ってくれる?」

 

「何やってんだよ……」

 

「あんたが刺したんでしょうが!」

 

で、抜いて紗耶香は木刀を構えた。

 

「怪我しても責任取らないからね」

 

「いいから来いよ」

 

大輝は箒を持ったまま棒立ちである。が、そこに隙は一つもない。じわじわと間合いを詰めながら、呼吸を合わせる紗耶香。

そして、思いっきり床を蹴った。

 

「はぁぁぁぁぁッッッ‼︎‼︎」

 

雄叫びをあげて、斬りかかった。が、大輝は箒でガードすることもなく躱す。

 

「くっ……!」

 

そのままビュビュビュビュッと音を立てて連撃が続くが、それを全部躱した。反撃はしない。

 

「ねぇ、どうして反撃しないの?」

 

「あ?」

 

「バカにしてるんでしょう⁉︎」

 

「いや、大したもんだなと思って」

 

「はあ?バカにしてるの?」

 

「違いますよ。それだけの腕を持ってて、なんでそんな風に自分を落とすのかって思って」

 

「なんですって⁉︎」

 

「おいおい、自分で落ちてることにも気付いてねーのか。マスターキー盗んで放送室占拠したり、学校の機密パクったり、明らかに犯罪だろうが。逆にそれで自分が落ちてないとでも思ったのかよ」

 

「何を……!」

 

「そもそも、一科生の奴らはあんたが思ってるほど俺たちをバカにしちゃいねぇ。あんたは、勝手に自分がバカにされてると思い込んで、勝手に自分を落としただけなんだよ」

 

「違う!私は現に渡辺先輩に言われたの!『お前じゃ相手にならないから無駄だ、自分に相応しい相手を選べ』って……!」

 

「あいつがそんなこというわけねーだろ。風紀委員長だぞ」

 

「そ、それは……!でも本当に……!」

 

「あいつ、風紀委員でメチャクチャ慕われてんだぞ。姐さんなんて呼ばれてよ。そんなやつが自ら掟を破るような発言するかよ」

 

「みんなの前で良い顔してるだけよ!」

 

「人を率いる長ってのはな、どんなに良い顔してても集まらねんだよ。芯のある奴の所にしか人は集まらない。そういうもんなんだ」

 

真っ直ぐとした目で大輝は紗耶香を見据える。それに紗耶香は怯んだ。

 

「もう一度聞くけど、本当に渡辺先輩がそんなこと言ったのか?」

 

「……………」

 

紗耶香はもう一年も前になることを思い出そうとする。確か、部活勧誘の時に危うく手荒な真似をされそうになった時だ。見事な剣技で摩利が助けてくれた。で、自分は稽古をお願いしようとした。その時に返された言葉……、

 

「うっ……」

 

思い出そうとした時、頭に頭痛が走った。そんなに強い痛みではないが、思い出そうとすると、痛みが出る。

 

「あれ?壬生さん?」

 

「あ、頭が……ううっ……」

 

「えっ、何。強化人間?ミブツー?」

 

「おい、大輝」

 

後ろから声がした。達也と深雪が立っていた。

 

「お前、女性相手に頭を本気で殴ったのか?」

 

「や、違うから、俺なんもしてないから」

 

「最低ね」

 

「おい、妹。話聞いてんのかおい」

 

とりあえず、紗耶香を連れて三人は保健室に向かった。

 

 





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