俺も魔法科高校に入学する   作:フリーザ様
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やり過ぎ

 

 

 

翌日。放課後。風紀委員会本部。

 

「何故お前がここにいる!」

 

森崎が達也に指を指していた。

 

「いや、それはいくらなんでも非常識だろう」

 

「なにぃ!」

 

「やかましいぞ、新入り」

 

摩利に一喝され、森崎は慌てて口をつぐみ、更に直立姿勢で固まった。

 

「この集まりは風紀委員会の業務会議だ。ならばこの場に風紀委員以外の者はいないのが道理。その程度のことは弁えたまえ」

 

「申し訳ありません!」

 

「まあいい、座れ。そんな事より……その新入りも含めた第一回目の風紀委員会だというのに、真田はどうした」

 

明らかに摩利の声は怒っていた。

 

「司波、同じクラスだろう。何か聞いてないか?」

 

「それが、『クロワッサン食いたい』とか言って食堂に向かいました」

 

「………あんのガキ。まぁいい。あとで締める。全員聞いてくれ。今年もまた、あのバカ騒ぎの一週間がやって来た。風紀委員会にとっては新年度最初の山場になる。この中には去年、調子に乗って大騒ぎした者も、それを沈めようとして更に騒ぎを大きくしてくれた者もいるが、今年こそは処分者を出さず済むよう、気を引き締めて当たってもらいたい。いいか、くれぐれも風紀委員が率先して騒ぎを起こすような真似はするなよ」

 

不機嫌そうな声を出しつつも、言ってることは間違っていない。

 

「今年は幸い、卒業生分の補充が間に合った。一人いないが、紹介しよう。立て」

 

言われて達也と森崎は立ち上がった。

 

「1-Aの森崎駿と1-Eの司波達也だ。今日から早速、パトロールに加わってもらう」

 

「誰と組ませるんですか?」

 

岡田という名の2年が聞いた。

 

「前回も説明した通り、部員争奪週間は各自単独で巡回する。新入りであっても例外ではない」

 

「役に立つんですか」

 

「心配するな。二人とも使える奴だ。司波の腕前はこの目で見ているし、森崎のデバイス操作もなかなかのものだった。一昨日は相手が悪かっただけだ」

 

言うと、全員黙る。

 

「他に言いたいことのある奴はいないな?」

 

と、摩利が言うと、誰も手を上げない。

 

「なら、これより最終打ち合わせを行う。巡回要領については前回までの打ち合わせの通り。それに追加して、茶髪で短めの髪にアホ毛の一本生えた1-Eの真田大輝を見かけたものは私に連絡しろ。以上だ。では早速行動に移ってくれ。レコーダーを忘れるなよ。司波、森崎両名については私から説明する。他の者は、出動!」

 

で、風紀委員は出発した。

 

 

 

 

「ねねね、君。SSボード・バイアスロンに興味ない?」

 

大輝は勧誘されていた。

 

「あ?」

 

「どう?」

 

「まぁ、仮入部だけならいいですけど」

 

暇だったから、断る理由もない。そんなわけで、その練習場に行った。早速、そこに行くとどっかで見たことあるのがいた。

 

「あー!あなたは!」

 

と、大輝を指差すのはほのかだ。

 

「入学式で寝てた人!」

 

「ほのか、そっち?」

 

雫がほのかに聞く。

 

「この前、森……森、なんとか君をラーメンに押し付けてた人だよ。あと深雪のお尻触った人」

 

「余計なことばかり覚えてんじゃねーよ」

 

不満そうに2人を見る大輝。

 

「何、てか俺はお前らなんて見覚えねーんだが」

 

「北山雫。深雪のクラスメート」

 

まず、その「深雪」の顔すらピンとこない大輝だったが、そこは黙っておいた。

 

「私は光井ほのかです。同じく深雪のクラスメートです」

 

「俺は真田大輝。えーっと……達也ってわかる?あいつのクラスメート」

 

「うん。深雪のお兄さんだよね」

 

雫がボーッとした目で言った。

 

「って、その腕章……風紀委員なの?」

 

「ああ。一応」

 

「風紀委員なのにここにいていいの?」

 

「バックれた」

 

「……よく風紀委員になったね」

 

呆れる雫。だが、気にした様子なく大輝はポケットのガムを噛み始めた。すると、部長っぽい人が前に出た。

 

「さて、じゃあそろそろ始めようか。SSボード・バイアスロンっていうのはね。スノボかスケボに乗って的を撃つ競技だよ。じゃ、早速あの人がやるから」

 

と、先輩がスケボにのって始めた。そして、的を狙って撃とうとする。だが、その的が撃たれる前に消し飛んだ。

 

「!」

 

「よぉ、相変わらずなんかやってんな」

 

スピードシューティング部だった。

 

「ち、ちょっと!邪魔しないでよ!」

 

「はっ、邪魔とはご挨拶だな。あのままじゃそいつはきっと外すと思って俺が当ててやったんだぜ」

 

「そんなのわからないでしょう⁉︎ていうか、自分の部に人が集まらないからってチョッカイかけて来るのやめてくれる?」

 

「なんだとテメェ!」

 

と、スピードシューティング部の方がCADを取り出した。それに負けじと、SSボード・バイアスロン部の方もCADを向ける。

 

「沸点低いなオイ……。雫、だったか?なんか棒ないか?多少固ければ木の枝でもいい」

 

「い、いきなり名前呼び?あ、あと急に棒と言われても……」

 

と、オロオロする雫。すると、ほのかが部室の箒を持ってきた。そして、撃ち合いが始まった時、その間に入って、魔法を斬る大輝。

 

「……ふぅ、間一髪」

 

全員が「な、何した……?」みたいになる中、ニヤリと邪悪に笑う大輝。そして、箒を握って二つの部を見た。

 

「テメェら今、魔法を人に向けたよな?」

 

聞くが、2人とも頷かない。緊張気味に身構えるだけだった。

 

「なら、風紀委員として粛清の対象になった。全員、気絶するまでボコボコにしてやらぁ」

 

「「なっ……⁉︎」」

 

と、冷や汗が流す2人。だが、次の瞬間には2人とも倒れていた。箒で脳天をぶっ叩かれ、2人とも気絶した。

 

「なんだよ。一発で終わっちまった」

 

そうボヤくと、箒をその辺に投げ捨てて、首をコキコキ鳴らす。

 

「えーっと……この後どーすりゃいいんだろ。ヤベッ、やっぱ風紀委員行っときゃ良かったな」

 

「あ、あの……真田くん?」

 

ほのかが引き気味に呼んだ。

 

「何」

 

「やり過ぎ、じゃない?」

 

「そうか?てかそれより、こいつらどうしよ」

 

「と、とりあえず風紀委員会まで運べばいいんじゃないかな?」

 

「……そーするわ。じゃあな」

 

それだけ言うと、大輝は気絶した2人を担いで風紀委員会に向かった。

 

 





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