©Joji Morikawa / 講談社
突然ですが、「マンガ」のあるシーン・ある言葉に、ハッと気づきを与えられたこと、勇気づけられたこと、ありますか?
普通に仕事をしているだけではなかなか気づくことのできなかった考え方など、「マンガから学べた!」ってこと、あると思います。そんな仕事に人生にジンジン効いてくるマンガの1フレーズを、筆者の独断と偏見で選定、解説までしてしまうこのコーナー。
今回は、既に単行本で100巻を超えるほど長く連載が続く、日本有数のボクシングマンガ『はじめの一歩』(©Joji Morikawa / 講談社)より、自分に才能がないと思うからこそ忘れたくない言葉をご紹介します。
「自分には才能がない」そんな風に思った時にどうするか
才能の差というのは、向き・不向きまで含めれば、多かれ少なかれ存在することでしょう。もちろん才能にあぐらをかいて磨くことを怠れば才能が輝くことはないでしょうし、才能が劣るからといって、努力で補う前に諦める必要もないと思います。
ただ、もし才能のなさを自覚しているのであれば、心に刻んでおかなければいけないことがあります。
そんな、自分に才能がないと思うからこそ忘れたくない1フレーズがこちら!
才能無えヤツがあきらめ良くて、何が残るってんだよ!!
©Joji Morikawa / 講談社
フェザー級日本王者である一歩は、小島というボクサーからの挑戦を受けます。小島は一歩のジムの先輩である青木と同期のボクサーで、元々ライト級にいた小島は2階級下げて一歩に挑むことになったのです。
小島は妻の出産を機に引退を決意していました。その最後の舞台として、一歩への挑戦を選んだのです。対戦までの間、一歩をさんざん挑発する小島。怒らせて本気を出させるという風に装っていましたが、本心はその逆。実は小島は一歩というボクサーを心から尊敬していて、自分の理想のボクサーだと思っていたのです。だからこそ、自分自身に甘えが生まれないように、一歩を挑発することで自分を追い込んでいたのです。
はたして、試合は一歩の圧倒的な勝利で幕を閉じました。試合後、小島の取材の場に青木が同席することに。引退を決めていた小島に「本当にこのまま引退できるのか」と迫ります。それに対して「仕方ないんだ」と返す小島。しかし青木は、安っぽい努力しかしてないからそんなセリフが言えるんだ、この先もそうやって何でも中途半端にゴマかしていけばいいと突き放します。
さすがにカチンときた小島は声を荒げて言い返します。
プロの世界ってのは選ばれた人間だけが上に行けるんだ。
持ってねえ人間がいつまでもしがみついてりゃぶっ壊れるだけだ。
才能無えからよ、どこかでさっぱりあきらめるしかねえんだよっ!
©Joji Morikawa / 講談社
そんな小島の言葉を「違うだろーがっ!」と真っ向から否定する青木。続けて青木が言った言葉が、今回の言葉です。
コツコツ積み上げてきたからしがみつくんだよ
積んで積んで、ようやく登ってきたのに簡単に下りられるワケねえだろっ
才能無えヤツがあきらめ良くて、何が残るってんだよ!!
©Joji Morikawa / 講談社
才能の差を補うためには、あきらめずに努力を続けるしかない
自分の才能を信じ続けることは難しいことです。多かれ少なかれ自分の才能を疑ったことはあるでしょうし、あるいは自分には才能がないと認めている人もいるでしょう。
日本では「潔い」という表現がありますが、しぶとく食らいつくよりもスパっと諦めることの方がよいという風にその言葉を捉えてしまう人もいるかもしれません。
しかし、もし本当に才能がないのだとしたら、そこで諦めてしまっては差がつく一方です。勝ちたいと思うのならば、才能の差を感じた分だけ努力で補う他に方法はありません。人より努力が必要ならば、人より努力をすればいいだけのこと。
才能という言葉をあきらめる理由に使うようなことはせず、才能がないからこそしぶとく、諦めず努力を続けていく必要があるのです。
一歩のような強靭な肉体に加えて愚直な努力を一切惜しまないボクサーや、鷹村のような天性の才能と勝利への飢えを持つボクサーがいる鴨川ジムの中で、青木は才能には恵まれていない(独特の才能は発揮していますが)ボクサーの代表例として描かれることが多いキャラクター。
しかし、大きな才能をもつ偉大な先輩と後輩に囲まれながらも、決してあきらめることなく、勝利を得るために多大な努力を払い続けます。その努力への自負、プライドがあったからこそ冒頭のセリフに繋がったのでしょう。
何かに挫折したとき、自分の才能を疑ってしまったときは、この青木の言葉を思い出したいものです。そしてその悔しさや無力感を、さらなる努力へと転換していきましょう。
監修:リクナビネクストジャーナル編集部