https://www3.nhk.or.jp/news/special/net-koukoku/article/article_02.html
で言及されたSpeee社に所属した事がありその時の所感を述べてゆきたい。(そこそこ長くなったので時間がない人は総括だけ読んでほしい)
創業者のK氏からして名古屋大の物理学部であり、理系高学歴が立ち上げた企業だった。K氏は理系卒だが営業経験があり20代前半でSpeee社を起業した非常に優秀な人間であった。
ざっと思い出すだけで、東工大、早稲田、慶應、京大と言った世間一般でも高学歴と呼ばれる人間が中心に構成されていた。
基本は学歴不問で高卒叩き上げみたいな人もいたが高学歴者が中心であった。
開発部には、商用コンパイラ作成経験があるという本当に優秀な人もいたし、高学歴で優秀な人が多かった。
また、人柄も多くは世間的には「いいヤツ」と呼ばれるような前向きで、気さくで親切な人が多かった。
ただ、私の在職中に敏腕営業マネージャーのパワハラが発覚し、飛ばされかけた事件もあったことにはあったので、演じることがうまい人も多かったのかもしれないが。
まぁ聞いた話によるとSpeee社は一度派閥争いにより乗っ取られかけたことがあるので、人柄重視の採用をしていたらしい。
私が在職中のSpeee社の事業の柱はSEOだった。当時はまだページランクが存在していて、それをあげるに被リンクが有効だった。
なので何をするかというとお客さんのページにリンクするためにブログなどにツールを使ってリンクを貼りまくるという結構グレーというか、
今なら完全にブラックな事をしていた。
他にもページランクが高いドメインが売られていると自動的に購入するツールや、
意味のないワードサラダまみれのサイトを自動生成しそこからお客さんのページにリンクするツールなどを作成していた。
ほかにもお客さんのページの検索順位を記録するために、グーグルの検索結果をDBに保存するため、レコード数は数十億とあった。そのため大量レコードを捌くノウハウみたいなのは結構蓄積されていた。
私が所属していたのは開発部だったので、ここらへんのツールの作成やメンテを行っていた。
当時のSpeeeの中心は営業部であった。前述したように創業者のK氏からして営業出身であり、創業に必要な資金を貯めれるくらいには優秀な営業であった。
そのため、営業部はK氏のお目にかなう優秀な営業部員で構成されており放送局など大手企業からの案件を受注していた。
Speee社の営業部には他のWebやSIerにはない特異な風習があった。
それは大手案件を受注した営業がオフィスの中心で受注報告を行い、それを全社員が聞き拍手喝采を行うというものだった。
おそらく営業になろうという人間は他の部署の人間に比べて目立ちたがり屋が多いのでこの風習は麻薬的にモチベーションを爆上げしたものだと思われる。(もしこれを読んでいて営業成績に悩んでいる経営者とかいたら参考にしてほしい)
あと、SEOを分析する部署もあり、この部署には東工大数学科出身の人間などがおり、コンサルティングと数値分析を行っていた。
このように営業部的な雰囲気が私に合わなかったが、基本的には働くには良い会社だったと思う。業務が倫理的にグレーな事を除けば。
当時の事を総括すると高学歴かつ優秀で人柄もいい人たちが、情弱を騙すような倫理的にグレーな事をして結構な利益を上げていた。
その有様はスタンフォード監獄実験のようだった。
これが資本主義で金を稼ぐという事がどういう事なのかを実感できた。
WELQ事件などを通してグーグルの検索結果はゴミばかりと認知されてきたが、Speeeでの経験はそれを予想するには十分であったし、個人的にはそれほど踊ろなかった。
そして、ネットの理想とか良心は資本主義の前には、あっさり敗北するものだと認識できた。
だって、すごく優秀な人たちがフルタイムで壊しにかかっているのだから。