【大相撲】白鵬10連勝 あるぞ史上最速12日目V2019年1月23日 紙面から
◇初場所<10日目>(22日・両国国技館) 2場所ぶり42度目の優勝を狙う一人横綱の白鵬(33)=宮城野=が平幕隠岐の海を寄り切り、10戦全勝で単独首位を堅持した。ただ一人1敗だった千代の国(28)=九重=が敗れたため、白鵬は後続と2差の独走態勢。現行制度では誰も実現できていない12日目での優勝の可能性が出てきた。2敗で追っていた関脇貴景勝(22)=千賀ノ浦=は、大関高安に敗れ、2場所連続優勝が遠のく3敗目を喫した。 ◇ 尻上がりに調子を上げる全休明けの白鵬が、あれよあれよの10連勝。後続の玉鷲、千代の国とは2差がつき、42回目の優勝へまっしぐら。さらに、達成不可能とされてきた“史上初”の12日目の優勝すらグッと現実味を帯びてきたのだ。 まわしをガッチリ引きつけて隠岐の海を寄り切った。完璧な内容だった白鵬は「いやまあ一番一番です。みんなも一生懸命頑張ってますから。一番一番ですよ」と浮ついたところはまったく見せない。だが、落ち着き払って話すところがかえって強さを際立たせる。 12日目Vを達成できれば、白鵬が敬愛してやまないあの双葉山を超えることになる。1939年夏場所。初めて15日制が取り入れられたこの場所で、優勝したのは双葉山だった。当時は決定戦制度がなく、同じ成績の場合は番付上位が優勝。そのため、12日目に後続と3差をつけた横綱双葉山の優勝が決まっていた。 決定戦制度がある現行制度で12日目Vを決めるには、後続と4差が必要となり双葉山の当時より条件は厳しい。それを全休明けの白鵬がやってのけようとしている。 昨年10月に右膝、右足首を手術をし、本格稽古は年明けから。当初は不安視されていたがふたを開ければこの展開。「千秋楽まで取り切るという思いですかね」とここまでを振り返るが、双葉山が12日目Vを決めた場所は、周囲から不安の声が出ているときだった。 その前の39年春場所で連勝を69で止められ、9勝4敗と不振で終わっていたからだ。今の白鵬とどこか似ている。だからこそ、やってくれそうな気がする。 (岸本隆) ▽八角理事長(元横綱北勝海)「白鵬は厳しい攻めでいい取組だった。最初は休場明けで足がついていっていなかったが、良くなってきた。高安は腰が崩れなかった。貴景勝は負けたけれど押し込んでいるし、悪い相撲ではない」 <白鵬の12日目V条件> 12日目に白鵬が優勝を決めるには、12日目まで全勝を守り、3敗の貴景勝、魁聖、遠藤、矢後が11日目、12日目のいずれかで4敗に後退し、2敗の玉鷲、千代の国が11日目、12日目と連敗することが条件となる。
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