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【サッカー】

<目撃者>サウジ戦ボール支配率23.7%の真相は次戦で明らかに

2019年1月23日 紙面から

日本-サウジアラビア 後半、相手のシュートに飛び込む吉田=21日、シャルジャで(共同)

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 原口は「(準々決勝に)上がったことが全て」と言えば、遠藤は「自分たちがボールを持って戦うべきというプライドは別にない」と淡々と振り返った。

 日本といえば、ボールを支配し、前線やサイドで複数人が連動、連係しながら好機をつくり出すのが従来のスタイルだった。本田、香川らが掲げた「自分たちのサッカー」をよりどころに臨み、散った2014年W杯ブラジル大会がまるで遠い昔のことのように思える。

 サウジに勝った。それでいい。ただ、あまりにも気になる数字がある。

 23・7%

 日本のボール支配率だ。日本が出場した1998年W杯フランス大会以降の主要大会(W杯・コンフェデ杯・アジア杯)で最も低い数字だった。

 近年では、2016年10月W杯最終予選・オーストラリア戦(メルボルン)の35%、17年11月親善試合・ブラジル戦(リール)の34%があるが、「ここまでボールを握られるのは、今までないんじゃないかな」とは長友。30%を割り、しかも20%台前半となれば、異常値の範囲と言っていい。

 だが、内容とスコアは必ずしも一致しない。15本放たれたシュートのうち、枠内はたった1本。シュートに対し、前半12分は吉田が顔面でブロック、後半42分には吉田、柴崎、長友が次々と体を投げ出して防いだ。押し込まれても、ゴールを襲われた危機はほんのわずか。守護神の権田は「勝てたのはみんなのおかげ」と涼しい顔だった。

 誰もが「自分たちのサッカー」より大切なものを見出し、共有している。それは勝つことであり、ボールを支配することは勝利から逆算した手段でしかない。長友に言わせれば、「ユベントスは戦い方を変えられる。勝てる方法がいくつもあるということ」となる。

 そうであっても…。森保監督は「(想定した)流れとして選手が表現してくれた」とたたえたが、ここまで守備一辺倒に傾いたこともプラン通り、想定内だったのか。攻めるべき、守るべき局面を見極め、ボール支配という手段も生かせなければ、勝ち続けることはできない。長友は「そういう判断ができれば、もっともっと成熟していける」と言った。“23・7%の真相”は、準々決勝・ベトナム戦で明らかになる。

 (松岡祐司)

 

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