女性の就業率が過去最高。キャリアを考え始めるなら「今」
最近の雇用情勢を示す調査で、女性の「就業率」は70%を超え、過去最高を記録しました。いま、女性の活躍推進や労働力人口の減少などを背景に、女性が個人の生き方とともに、さまざまなキャリアや働き方を選べる機会が広がっています。
総務省が2018年11月30日に発表した労働力調査によると、10月の就業率は、15~64歳で77.4%となり、このうち女性は前年同月比で2.5ポイント上昇し、70.5%に達しました。「雇用情勢が非常に良く、求人も多く出ている」状況が続いているといえます。実際、国内の人口は2008年をピークに減少し、今後、ますます労働力人口の減少が予想されます。
こうした中、人材不足に悩む企業は女性の人材獲得にも力を入れており、政府も後押ししています。2016年4月には、大企業などに女性登用への取り組みを促す「女性活躍推進法」が施行され、女性が働き続けたり、キャリアを形成したりするための雇用環境の整備が進んでいます。2018年6月に決定した「女性活躍加速のための重点方針2018」には、離職した女性の復職や再就職などを支援する「学び直し教育」講座の拡充も盛り込まれました。
このような経済と社会情勢の変化は、女性が仕事やキャリアを考えるうえで、かつてないチャンスが到来しているといえます。自分に必要なことを学び直すという選択肢も含めて、キャリアを見直す女性が増えています。
スキルアップや転職のチャンスを逃さないために、今こそ資格の取得を
女性活躍推進法の施行や働き方改革が進み、女性が仕事で能力を活かすことができる場面が増えるとともに、女性に求められる業務水準も確実に上がってきています。仕事を始めたり続けたりするうえで、実践的なスキルの証明がますます重要になってくるでしょう。
最近では、新卒者の就職が非常に厳しかった「就職氷河期世代」の方にもチャンスが訪れています。新卒時に希望の職に就けなかったが転職で当初の希望をかなえるケースもあります。この世代では転職経験者が増え、転職時に資格を活かしている人も少なくありません。
実際に資格を取得して仕事や転職に活かしている方にお話を聞きました。
●簿記
東京都内の大手企業で働く加奈子さん(40代、仮名)は、30代で勉強を始め、簿記3級と簿記2級を取得。システム部門から、念願の財務経理部門への異動希望がかない、グループ企業の経営戦略にかかわるなど専門知識を生かしたキャリアを積むことができたといいます。
会社や商店などでお金の出入りを一定のルールに沿って正しく記録するのが簿記です。経理の知識は経営に不可欠で、簿記2級の技能を持つ人は、企業から重宝されます。
●フィナンシャルプランナー(FP)
大手金融機関に一般職として入社した早苗さん(40代、仮名)の場合、30代半ばで民間資格のファイナンシャルプランナー(FP)を取得し、その後、証券アナリストの試験にも合格しました。早苗さんは「FPの資格取得が自分への自信となり、その後もほかの資格試験にチャレンジできた」と振り返ります。また、「資格取得に裏づけされた専門知識によって、仕事の場面でも積極的に発言できるようになり、昇進にもつながった」と資格取得のメリットを語ってくれました。
ファイナンシャルプランナー(FP)は税金・保険・年金などの幅広い知識と視野を持ち、お金の専門家として資産設計・資金計画など家計のアドバイスを行います。幅広い業界で求められている人材です。
●宅地建物取引士(宅建士)
30代前半で宅建士の資格を取得した由美さん(40代、仮名)は、自宅の引越しを通じて不動産取引の実務や知識に興味を持ち、勉強を始めました。由美さんは、「資格は自分をアピールできる材料。仕事を続けていくうえでの安心につながる」と宅建士の資格取得後、社内で異動希望などを出しやすくなったといいます。また、不動産会社に勤務する淳子さん(40代、仮名)は、もともとは大手企業で、フルタイムで働いていましたが、「子どもが学校に通っている時間だけ働きたい」と、子どもが小学校に入学したのを機に自宅から近く仕事時間を自由に選べる現在の職場に転職しました。転職時には、30代で取得した宅建士の資格が役に立ったそうです。
宅建士は、不動産業の売買や賃貸の仲介などに不可欠な資格です。不動産業を営むには、必ず宅建士が必要となるため、不動産が資産として重要視される日本では常に高いニーズがあるとされています。
自分で自分の人生と働き方を選ぶ時代。可能性を広く保ち続けるには?
多くの女性が仕事を続ける時代となり、女性の働き方に関するモデルケースはなくなり、「自分で自分の人生と働き方を選ぶ」時代に入っています。
そうした中で、理想とする生き方やライフステージに合った働き方を柔軟に叶えていくために、資格で人生の新たな可能性を見つける人もいます。
東京都心の飲食店で働く弥生さん(30代、仮名)は、時々、自分の将来や仕事に対して漠然とした不安に襲われることがあるといいます。そんな時、ふと思い浮かんだのが、会社で長年経理業務に就き、結婚を機に退職し、ご主人の経営する会社の経理を担当する友人の姿でした。「(人生の)ライフステージによって自分で働き方を選べる点もいい」。友人のすすめもあり、弥生さんは現在、仕事に活かせそうな資格取得を検討中といいます。「まだ具体的には決まっていないけど、比較的、時間に余裕のある今の時期に資格を取得したいです」と笑顔を見せてくれました。
何から始めるか迷っている方は、どの仕事にも活かせる汎用的な資格から始めるのもおすすめです。
●マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)
実務に役に立ち最初に挑戦する資格として人気を集めているのが、マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)です。ExcelやWordといったPCスキルを客観的に証明することができ、さまざまな業種で高く評価されています。身につけた知識やスキルは実務で即活かすことができ、日々の業務効率化につながります。
●TOEIC(R)テスト
グローバル化時代に欠かせない英語のコミュニケーション能力を証明することができるのがTOEIC(R)テストです。学び直しをするきっかけに、受験を目指す人も少なくありません。英語によるコミュニケーション能力を幅広く評価する世界共通の試験です。業種・職種問わず企業からの信頼は厚く、採用の判断材料や昇進・昇給の条件、人事査定の評価などに用いるケースも増えています。
「売り手市場」とともに、「女性の活躍」という時代のニーズを味方につけて、自分らしい働き方を見つけてみませんか。
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