クラウドポートの新しいソーシャルレンディング「Funds」。
投資家の間で評価がうなぎのぼりです。
しかし、いささか持ち上げ過ぎではないでしょうか?
そこで、あえてFundsの問題点とリスクを指摘します。
ちょっと推し過ぎでは?
Fundsはクラウドポートが今月立ち上げたソーシャルレンディングです。
Fundsは良い
最初に明確に申し上げますが、僕もFundsを持ち上げている一人です。
そして、Fundsは良いと本気で思っていますし、あくまでも案件次第ですが積極的に投資しするつもりです。
Fundsの良さについては下記記事で詳しく説明しています。読んでみてください。
持ち上げ過ぎ
ただ、最近の投資系のブログやサイトを見ると、Funds推しの記事ばかりです。
ソシャレン系だけでなく株、FX、仮想通貨系のブロガーまでFunds推しの記事を大量生産中です。
全人民が諸手を挙げてFundsウルトラマンセー状態で、いったいここはどこの共和国なんだよ?って感じ。さすがにこれは行き過ぎだと思うのです。
リスクも明示すべき
Fundsも投資なのですから、リスクも問題点も当然あります。
それらネガティブな部分には一切触れず、ただひたすら持ち上げるってのは投資ブロガーとして無責任ではないかな?と。
なんかマジメなことを言って、自分でも柄にも無いなとは思うのですが。
あえて世論の多数派に逆行して懸念点を指摘する次第です。
Fundsの問題点とリスク
それではさっそく。
1.ノンリコースローンでないのは一部だけ
ノンリコースローンとは?
ソーシャルレンディングでは、投資家から集めたお金を借り手企業が事業に使います。
そして、事業から得た収益のみで返済が行われる貸付がノンリコースローンです。
ノンリコでは借り手企業の事業が上手くいかず収益を上げられなかった場合、借り手企業の金庫にお金が山のようにあっても返済は行われません。
つまり、その事業が上手くいくかどうかのリスクを僕たち投資家が背負うことになります。
ソーシャルレンディングではこのノンリコースローンがしばしば登場します。
Fundsはリコースローン
これに対してFundsの貸付はノンリコースローンの反対のリコースローンです。
借り手企業は事業が上手くいかなくても、自社の資金で返済する義務を負います。
事業が上手くいくかのリスクを投資家が負わなくて済むので、投資家にとって有利です。
リコースローンは借り手だけ
ただし、Fundsのすべての段階においてリコースローンなのではありません。リコースローンなのは借り手企業についてのみです。投資家と貸付係との間はリコースローンではありません。
ですので仮に借り手企業が経営破綻して返済できなくなった場合、借り手企業に代わって貸付係が僕たちにお金を返してくれることはありません。
借り手企業が飛んだ場合は僕たちのお金は返ってこない。ここは理解しておく必要があります。
Fundsが明確に示している
なお、このことはFunds自身が明確に示しています。
自社サイトのFundsの仕組みの説明ページで、次のように図を使って元本が毀損すると説明しています。
冒頭に紹介した僕のブログ記事の中でも書いていますが、Fundsはリスクの明示に非常に積極的です。
自社にとって不利な内容であっても投資家にリスクを示すFundsの姿勢は、高く評価されて然るべきです。
2.クラウドポートの目利き力
2つ目はFundsを運営するクラウドポート社の目利き力です。
Fundsの事前審査
Fundsでは貸付係であるファンド組成企業と貸付を受ける借り手企業を、次のような項目で事前審査しています。
- 実在性(事業が実際に存在するか)
- 財務状況の健全性
- 必要な許認可の取得状況
- 投資対象として信任に値する
- 上場している
- 監査法人による監査を受けている
- ベンチャーキャピタルなどから出資を受けている
そして、この審査を通過した企業だけが、Fundsに参加して資金融資を得ることができます。
手数料目当てで無分別に参加企業を増やすのではなく、参加企業を厳選することで投資家のリスク低減を図る。
この点についてもFundsの姿勢は評価できます。
クラウドポートに審査できるのか?
ただ問題があります。それは、クラウドポートの目利き力です。
参加企業を審査すると言いますが、審査できるだけの目利き力がクラウドポートにあるのでしょうか?
クラポー社長の藤田氏はクラウドバンクの立ち上げに参加していますが、主に担当したのはマーケティング戦略です。企業審査のプロでもなければ豊富な経験を有するわけでもありません。
共同創業者の柴田氏はタクシー配車アプリなど問題解決系の連続起業家であり、その面での実績には素晴らしいものがあります。しかし、企業審査は専門分野ではないでしょう。
審査を鵜呑みにできない
もちろん、必ずしもお2人が審査の実務を担わなければならないわけではありません。恐らく社内にその道のプロがいらっしゃるはずです。
しかし、それがあくまでも推測に過ぎない以上、クラポーの審査、評価を鵜呑みにはできません。
「クラポーの審査を通過しているから問題ナッシング」という投資判断は極めて危険です。
ベンチャー企業は大丈夫なのか?
特に要注意なのは、前掲の審査基準最後の「ベンチャーキャピタルなどから出資を受けている」です。これは具体的には「成長が期待されるベンチャー企業」を指します。
成長が期待されているに過ぎない中小零細企業なのですから、この先も成長を続けるのか、途中で枯れて倒れるのか分かったものじゃありません。
僕は正直なところベンチャー企業はFundsが提唱する貸付投資には不向きで、むしろFUNDINNOのようなハイリスク・ハイリターン業者が扱ったほうが良いのではないか?と思っています。
自分での調査が必須
僕は決してFundsがいい加減な審査をしているとか、Fundsに審査能力がないとか言っているわけではありません。
十分な目利き力を持つことが明確には示されていない以上、Fundsの審査結果を鵜呑みにはできないと言うことです。
自分のお金を渡す相手である貸付係と借り手企業の見極めをFundsに丸投げにするのではなく、自分でも可能な限り調べることが、Fundsで安全に投資する上での必須作業でしょう。
3.クラウドポートの信頼性
Fundsはサイト上で「貸付係と借り手企業を厳選しているので信頼性が高まる」と説明しています。このこと自体は間違っていません。
しかし、もう一つのプレーヤー、つまり、Fundsを運営するクラウドポート社の信頼性はどうなのでしょうか?
Fundsにおいてクラポーはソシャレン事業者です。事業者がコケたら案件に関係なくその事業者に投資したすべての投資家が被害に遭う。
この事業者リスクの恐ろしさを、僕たちソシャレン投資家はこの1年間で骨の髄まで思い知らされました。
クラポーは本当に安全なのか?信頼できる事業者なのか?
ここは見逃してはならないポイントです。
目利き力と信頼性
最重要評価項目
ここまで読んで賢明なる読者諸兄姉はすでにお気付きでしょう。
- 貸付先に対する目利き力
- 事業者としての信頼性
この2つが重要なのはFundsに限ったことではありません。ソーシャルレンディング事業者すべてについて重要な評価項目です。
そして、この1年のエンドレス不祥事カーニバルを通して、この2項目が実はソシャレン投資の根幹をなす最も重要な評価項目であることが分かってきました。
OwnersBook
読者諸兄姉はご存知の通り、僕はむっちゃやたらとOwnersBookを推しています。
それはOwnersBookがこの2項目を十分に満たしているからです。
運営会社であるロードスターキャピタル社はマザーズ上場企業で、決算内容を公表しています。5期連続の増収増益で経営状態は盤石、つまり信頼性は十分です。
また、利益の9割以上を不動産運用業で稼ぎ出している不動産のプロです。
その不動産のプロがOwnersBookで貸し付ける相手は、すべて不動産業者です。不動産のプロが不動産業者に貸し付ける。貸付相手を見る目利き力は十二分でしょう。
信頼性と目利き力が推測ではなく事実で証明されている。だから僕はOwnersBookを推すのです。
Pocket Funding
中小業者であるにもかかわらずPocket Fundingを推すのも同様です。
実質的な運営会社である財全グループは非上場なので経営状態は見えません。しかし、20年以上に渡って貸金業者としての営業を行っており、完全ではありませんが一定の信頼性があります。
また、貸金業というソーシャルレンディングの根幹業務で豊富な経験があり、その大半が不動産を担保とした事業者への貸付です。
そして、Pocket Fundingで行っているのも、事業者向けの不動産担保ローンであり、その目利き力は十分と言えるでしょう。
Fundsの潜在リスク
この1年で散々痛い目に遭ってきた。だからこそ、Fundsについても目利き力と信頼性で確実な安心材料が欲しい。
それゆえ、少なくとも現時点で確固たる安心材料を示せていないFundsを、100%大丈夫だと評価することはできません。
目利き力と信頼性がFundsの潜在リスクであることを、僕たちソシャレン投資家は十分に認識する必要があります。
クラウドポートは自ら示すべき
僕はこの2点についてクラウドポートが自ら示し、投資家を安心させるべきだと考えます。
審査体制の明示
目利き力についてはFundsの立ち上げに当たって、これこれこういう経歴で豊富な経験を持つ誰それを審査担当者として新たに招いた。
審査にあたってはこのような基準を設け、このような審査体制、業務フローを整えている。
そういった事実を示せば、かなり明確に目利き力を示すことができるでしょう。
監査内容の公開
また事業者としての信頼性については、クラウドポートがみずほキャピタルなどから3.1億円の出資を受けている成長中のベンチャー企業であるという事実だけでは不十分です。
さすがに今すぐ上場ってのは無理でしょうが、監査法人の監査を受けその内容を公表してはどうでしょうか?
自社が貸付係と借り手企業に課している審査基準よりも、さらに高い基準で自社の信頼性を証明する。
そうすることで自社の信頼性と評価を高め、より多くの投資家を獲得できると思います。
Fundsは良いのか?
基本Funds推しです
かなり辛口のことを書きましたが、既述の通り僕は基本的にFunds推しです。
プライバシーポリシーなども含めてFundsサイトの全ページを読み、細かい点まで問合せをした上で、十分に投資価値があると判断しています。
それゆえ、無責任に持ち上げるのはマズイのではないか、存在する問題点は明確に示すべきではないかと思い、今回の記事を書いた次第です。
自ら投資判断を
Fundsは間違いなく良いです。しかし、最も重要な根幹部分で不安材料があるのも事実です。
みんなが良いと言っていた、有名ブロガーが良いと書いていた。そんな理由で投資するのは投資判断として下の下です。
問題点も十分に知った上で、良い点がそれを上回るのか下回るのか、自らの責任で投資判断をして欲しいと思います。
なお、繰り返しになりますが、僕はFundsをディスっているのでありません。Fundsは間違いなく良いです。下記の記事、ぜひご一読ください。