魔法科高校の劣等生に転生したら生まれた時から詰んでいた件について(仮) 作:カボチャ自動販売機
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ではまた後書きで。
車椅子製作は意外な程に時間がかかった。徹夜なんて日常茶飯事、しばらくは新婚(籍は入れたが結婚式はまだ)ということで休みである沙世さんがいなかったため食事を取らないことも多々あった。前までは研究に没頭しても良い感じの時間で沙世さんが食事を持ってきてくれたのだ。沙世さんの有り難みが分かるというものである。 ちなみに今後沙世さんは住み込みではなく通いになるらしいのでちょっと寂しく感じているのは内緒だ。
さてそんな感じで多少の無茶をしながらも車椅子の完成を急いだのには訳があるのです。
実はこの車椅子、澪さん26歳の誕生日プレゼントととして贈ろうと思っているのだ。そして贈るからには妥協はしたくないというわけで最高の車椅子を作った。
そして明日の澪さんの誕生日パーティーでお披露目だ。ふっ今から澪さんの驚く顔が楽しみである。
◆
パーティー当日、車椅子をでっかいプレゼントの箱につめリボンで綺麗に包装し意気揚々と五輪家別宅にお邪魔するとそこには予想外の人物がいた。
七草真由美。
ぼくの関わりたくない十師族ランキングで四葉に次いで二位である七草の長女にして一校の生徒会長。なんでいるんや。
七草真由美は華やかなドレスに身を包み上品な笑みを浮かべながらパーティーをつつがなくこなしている。兄さんと姉さんにはぼくという弟がいることを学校では話さないで欲しいと頼んであるので七草真由美も知らないはずだが相手は七草だ。というか別に七草でなくても司波兄妹に弟がいることは少し調べれば分かることである。問題は顔が割れているかだ。割れていなければどうとでもなるが割れているとなると絡まれぬ様コソコソと動くことになる。とはいえ顔が割れているかどうかを調べるためにこっちから出向くのでは本末転倒だ。このパーティー中は顔が割れていることを前提にして動くべきだろう。さてそうと決まればこの場を離れよう。今日は父さんと沙世さんと来たのだが父さんは挨拶周り、沙世さんは夫の所というわけで現在ぼっち。ここは大人しく隅っこでじっとしてよう。ぼくはオブジェと化すのだ。そんな馬鹿なことを考えていたからだろう。年下とおぼしき女の子とぶつかってしまう。女の子はよろめき倒れそうになったので咄嗟に支える。
「ごめん、大丈夫?」
「いっいえ大丈夫ですわ」
大丈夫とは言うもののぼくに寄りかかったまま離れようとしない。それになんだか顔が赤い。間違ってお酒でも飲んだのだろうか?
「本当に大丈夫?顔赤いし体調悪いようなら人を呼ぶけど」
「あっ!いえ大丈夫ですわ!ご心配頂きありがとうございます」
「そう、無理はしないようにね」
なんだか心ここにあらずといった感じの彼女にそう声をかけてその場を去る。あっあの隅っこが良い感じだ。
◆◆◆
「おーいどうしたの泉美ちゃん?」
「見つけましたわ…
「へ?お姉ちゃんならあそこにいるじゃん、ってちょっ泉美ちゃんなんでキスしようとしてくるの!?離してよ!」
「お姉様~」
「ちょっやめ…んっ!?」
「ちょっと貴女達何やってるの!?」
「助けてお姉ちゃん!泉美ちゃんが壊れた!」
「お姉様~」
◆◆◆
あれっなんだか寒気がする。風邪引いたかな。
真由美さんがパーティーに来ていた理由は単純に招待されたからです。一応五輪洋史は真由美さんの結婚相手として候補に上がっており面識があるというのが招待の一つ目の理由。もう一つの理由はその内明かされます。一応伏線は張ってますがたぶんぼくしか分からないでしょう。
さて明日も0時に投稿します。