魔法科高校の劣等生に転生したら生まれた時から詰んでいた件について(仮) 作:カボチャ自動販売機
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ではまた後書きで。
沙世さんが結婚する。
どうやら沙世さんはぼくと共に日本へ来て直ぐにその結婚相手と知り合い、それから一ヶ月でお付き合いがスタート。そしてつい一週間前結婚相手にプロポーズをされ見事ゴールインしたということらしい。お相手は一つ年下で中々の名家の者らしい。まぁ何にしてもめでたい。ぼくも一つ肩の荷が降りた。
◆
「で何この状況?」
ぼくは今東京都内にある五輪家の別宅に来ていた。十師族のあの五輪家である。
というのも実は沙世さんの結婚相手、
「雪花、あそこにいらっしゃるのが五輪澪様とその
五輪澪は長い黒髪を姫カットにした美人さんというかとても二十五歳には見えない美少女と表現するにもまだ幼いのではというほどの童顔と体型で柔和な笑みが良く似合う。その弟、五輪洋史は良く言えば優しそう悪く言えば気の弱そうな男だった。
「本日はお招き頂きありがとうございます」
「いえ、そう固くならずに。今宵は楽しんでくださいね」
父さんと母さんが五輪姉弟に挨拶をしている傍らでぼくは五輪澪の座る動力付き車椅子を見ていた。うむ実に素晴らしい車椅子だ。前にも少し話したがぼくはUSNAで一時期車椅子作りをしていた。故に分かるこの車椅子の素晴らしさが。シャープなライン、繊細にして大胆なデザイン。それでいて使用する人のことをよく考えている。本当に素晴らしい。
「あの
五輪澪が首を傾げながら訊ねてくる。しまったじっと車椅子を見るのは失礼だったかもしれない。
「あぁいえ、私は以前車椅子作りに熱中してまして。素晴らしい車椅子でしたのでつい見惚れてしまいました。すいません」
そう言うと五輪澪は大きな瞳を子供のように輝かせながら詰め寄ってきた。
「車椅子お詳しいんですか!?」
「えぇ三日三晩語れるくらいには」
そうしてぼくは五輪澪に気に入られた。
◆
パーティーのあった夜。ぼくは自宅の研究室で車椅子の設計図を書いていた。というのも五輪澪…澪さんに気に入られたぼくはパーティー終了後澪さんの私室に招かれ一時間ほど車椅子について語り合った。そこで宣言したのだ。
「澪さんの車椅子より凄いものを作って見せますよ」と。
あの車椅子を一目見た時から思っていたことだ。あの車椅子を越えたい、もっと良いものがぼくには作れると。
「よし、やるか」
とりあえず徹夜が決定した。
まさか当初モブ、出落ち、名無しの予定だった家政婦の沙世さんが結婚とは。書いていたらいつの間にかこうなっており驚いています。ちなみに初登場時の沙世さんは18歳です。
実は沙世さんってモブの名残なのかまだ一度も台詞がないんですよね。まあ沙世さんは後で活躍する予定なのでその時まで初台詞はとっておくことにします。
では、明日も0時に投稿します。