魔法科高校の劣等生に転生したら生まれた時から詰んでいた件について(仮) 作:カボチャ自動販売機
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13歳になり半年が経とういうある日の夜。ぼくの父、椎原辰郎から電話があった。テレビ電話であるためその表情を知ることが出来るがどうやら悪い話ではなさそうだ。
「雪花、父さんやっと本当にお前の父親になれたよ」
言葉の意味を理解するのに数秒フリーズした。
詳しく話を聞いてみるとなんとぼくの母と正式に結婚をしたらしい。長い恋が実ったのだ。父さんの妻、いや元妻が昨年亡くなったという話を聞いて遅かれ早かれこうなるのではと思ってはいたがこんなに早いとは思わなかった。しかしそうなるとぼくは─
「堂々と日本に戻ってこれるぞ、家も用意したんだ一緒に住もう」
約八年振りに日本へと帰還することになりそしてシールズ家とのお別れとなるのだ。
◆
思えば日本のマンションで過ごした期間よりもアメリカのシールズ家で過ごした時間の方が長い。思い出もたくさんある。
弾さんは良い人だった。ぼくを本当の家族のように扱ってくれた。
リーナは可愛かった。ちょっとポンコツだけど頑張り屋でぼくの知る限り誰より優しい。
リーナのお母さん、弾さんの妻には数度しか会う機会がなかった。ぼくが引きこもっていたのもあるがそもそもこの人あまり家に帰ってこない。
そして家政婦の沙世さん。実は一番付き合いが長いのはこの人だ。なんせ生まれたときから十三年の付き合いだ。実は特殊な訓練を受けた魔法師だと知ったのはいつだっただろうか。もうすぐ三十代だろうに未婚なのがぼくのせいだとしたら申し訳ない。さすがに責任取ってお嫁にもらうというには年の差がありすぎるし、なによりぼくにとって沙世さんは第二のお母さんという感じなのだ。本人にこれを言うと怒られるのだが。
「セッカ…本当に行っちゃうの?」
涙を一杯に溜めてぼくに抱きつきそう言ってくるリーナ。やめて帰れなくなっちゃう。あと弾さん、沙世さん。こっち見てニヤニヤするの止めて。
「行くよ、両親とはもう何年も会ってないしね。もちろんリーナ達も家族だと思っているけど母さんと父さんと日本で暮らしてみたいんだ。家族三人の暮らしを」
「うぅ~セッカ~」
「あー泣かない泣かない。ぼくももうそう簡単に海外であるアメリカへは来れないだろうけど電話とかメールとかあるんだしさ。それに今生の別れってわけじゃないだろ?」
未だ離れないリーナに苦笑いを漏らしつつ弾さんに別れを告げる。
「長い間お世話になりました。こんなぼくを家族として迎えてくれてとても感謝しています」
「ぼくの方こそありがとう。君がいたこの八年。とても楽しかった。それに君はもうぼくの息子だ。何か困ったことがあったらいつでも頼ってくれ」
「はい弾さん」
さてこの張り付いてる娘どうしよう。とりあえず無理矢理引きはが……ちょっ力強い。あっれー?モヤシっ子なのを気にしてそこそこ鍛えてるんだけどなー。いや筋肉全然付かないんだけど握力とか結構あるんだよ?でもおかしいな。びくりともしないや。
「リーナ、もう飛行機の時間なんだ行かないと」
「うぅでもぉー」
あかん、幼児退行しとる。
「リーナ、僕らにはこれがあるだろ」
すっと小指を出した。一年前の約束。リーナもおずおずと小指を出しぼくの小指と自分の小指を結ぶ。
「落ち着いた?」
「……うん、セッカ、私頑張るよ今度会ったとき凄いなってセッカに褒めてもらえるように」
「そっか、じゃあリーナが頑張れるようにぼくからの贈り物だ」
リーナに贈ったのは指輪だ。リーナの小指に合わせてぼくが作った。ぼくらの約束を形作る指輪なのでぼくも同じものを小指にはめる。
「セッカありがとう!大好き!」
「ぼくも大好きだよリーナ」
こうしてぼくは日本へと帰還した。これから始まる家族三人の暮らしに胸を躍らせながら。
沙世さんニヤニヤやめい!
オリ主、USNAから飛び立つ。
展開の早さが売りなんで!(震え声)
はい、圧倒的早さで進んでいくこの物語ですが原作に入れば落ち着くはずです。それまでは仕方ないんです。まぁUSNA編はあとでちょくちょく過去編やりますし(言い訳)展開の早さが売りなんで(大事なことなので二回言った)
さて明日も0時に投稿します。