昭和の時代、特別なごちそうだったフライ。平成に入ると、ライフスタイルの変化に伴い、家庭で作る機会はめっきり減少、使う揚げ油の量も少なくなりました。そこで今回、現代のニーズにあった“新時代”のフライの作り方を大調査。少ない油でもおいしく、冷めてもサクサクな「新時代のフライ」を作るための3つのワザをお伝えしました。
新時代!サクサクフライの3鉄則
ワザ1 「ゆらゆら」・・・少ない油でもおいしく!
番組でおすすめした油の量、2㎝。家庭で作るトンカツや、イカリング、エビフライなど、一般的なフライの種全体が、きちんと油につかる量を目安としました。
この少ない油で、プロのようなパン粉が立ったサクサクのフライを作るためのワザが、「ゆらゆら」です。油に入れて衣が固まるまで待ったら(トンカツなら10秒、イカ、エビ、アジなら数秒)、菜箸を使って、種を「ゆらゆら」とゆっくり動かします。そうすると、油に対流が生まれ、色むらなく、パン粉が立つように揚げられるのです。また油を混ぜることで、熱効率がよくなり、調理時間の短縮にもつながります。
※ゆらゆらはゆっくりと、油がこぼれないように勢いはつけすぎないでください。
ワザ2 「塩」・・・180℃を見極める!
フライを揚げるのに最適な油の温度、180℃。この温度で揚げると、衣の中の水分が一気に蒸発するため、サクサクとした軽い食感が生まれるのです。
この180℃を見極めるのに、おすすめなのが「塩」。油に入れたとき、塩の中の水分が蒸発する「音」で見極めます。塩は、精製塩ではなく水分が多い「あら塩」を使ってください。パン粉を使わないときなどに便利です。
☆180℃のポイント:油に塩を入れた直後に、パチパチと高く心地よい音がします。
※温度が低い時は、入れてから少し間を置いて、低く鈍い音がします。
ワザ3 「バッター液」・・・冷めてもサクサク!
フライを作るとき、一般的なのは、小麦粉をはたき、卵に浸してから、パン粉をつける方法。今回は、あらかじめ小麦粉と卵を混ぜて作った「バッター液」を使う衣の作り方を紹介しました。というのも、「バッター液」を使うと、素人でも失敗なく、サクサクに揚がりやすいから。秘密は、通常よりも、厚くしっかりとつく衣です。この「バッター液」の衣が、高温の油からほどよいバリアにとなり、素材に熱がじんわり伝わります。また、時間がたっても、「バッター液」の衣が、素材の水分をブロックしてくれるため、サクサク感がより長く持続できるのです。
☆詳しい作り方は、次の項目を参照してください。
バッター液の作り方
[材料]
[基本の分量]
A
- 小麦粉 大さじ4
- 卵 1個
- 水 小さじ2
※トンカツなら約2枚、イカなら約2杯、エビなら約10尾分の分量です。
※イカのように、水分の多い食材を揚げる場合は、水を少なめにすると、より油はねしにくくなります。
[作り方]
- ボウルにAを入れ、ダマが残らないよう全体をよく混ぜる。 ホットケーキミックスより、やや柔らかい状態になったら出来上がり。
☆指を立てて手をホイッパーのようにして混ぜると、ダマになりにくく素早く混ざります。
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サクッとジューシー!トンカツ 【2人分】
[材料]
- 豚肉(1㎝厚・筋を切っておく) 2枚
☆肉は、揚げる20分前には冷蔵庫から出し、常温に置いてください。 - バッター液 基本の分量
- 生パン粉 適量(たっぷり)
- 油 素材全体がつかる量
※油は、鍋底から2㎝程度の量にすると、素材全体がしっかりつかります。
※油の量は、必ず鍋の深さの半分以下にしてください。
※フライパンによっては、揚げ調理を推奨していない物があります。
[作り方]
- 肉をバッター液に浸した後、パン粉をしきつめたバットへ。たっぷりのパン粉を、肉の上に山盛りでのせ、手で全体を包むようにして、しっかりつける。
- 油を180℃程度にあたためる。(温度の確認のしかたは、前の項目を参照)。
- 180℃の油にカツを投入。衣が固まるまで10秒ほどは触らず、強火で加熱する。
(油の温度の低下を防ぐため、一度に入れる量は、カツ同士が重ならない程度に とどめてください)。 - その後、油の中でカツをゆらゆら動かす。
(ゆらゆら動かすことで、熱い油が全体にまわり、色むらなく、パン粉が立つように サクッと揚がります)。 - 表面が色づいてきたらひっくり返し、もう片面もゆらゆら動かす。
全体がキツネ色になったら、油から出す。
(加熱時間の目安は、厚さ1㎝の肉の場合、1分半~1分40秒程度です)。 - トンカツはバットに立てて置き、余熱で3~4分ほど蒸らす。
(肉の厚さが1㎝以上のときは、余熱の時間を数分伸ばしてください)。
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油はねしにくいイカリング 【4人分】
[材料]
- スルメイカ 2杯
- バッター液 基本の分量
- 乾燥パン粉 適量(たっぷり)
☆イカの場合、加熱時間が短いため、乾燥パン粉がおすすめです。 - 油 素材全体がつかる量
[作り方]
- イカを1㎝幅に切り、ペーパーでしっかり水分をとる。
- バッター液をつける。
(全体をからませるように混ぜるとしっかりつきます)。 - パン粉をつける。
(たっぷりのパン粉を広げたバットにイカを入れ、リングの上から、手のひらで押すようにつけると、全体にきれいにつきます)。 - 油を180℃程度にあたためる。(温度の確認のしかたは、前の項目を参照)。
- イカリングを180℃の油に投入。強火のまま10秒、返して5秒、計15秒程度を目安に揚げる。
(加熱時間が短いので、一度にたくさん入れるのではなく、2~3個ずつ揚げると、調理が楽です)。 - 揚げあがりの色は、薄いキツネ色が目安。油から出したらバットに立てておく。
(イカリングの場合、余熱は不要です)。
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ピーンとまっすぐ!ぷりぷりエビフライ 【3~4人分】
[材料]
- エビ 約10~12尾
- バッター液 基本の分量
- 生パン粉 適量(たっぷり)
- 油 素材全体がつかる量
[作り方]
- エビは殻をむき、背わたをとっておく。
- 尻尾の先端を切り、包丁でしごいて水分を出す。
- 縮みやすいおなか側に5か所ほど、斜めの切れ込みを入れ、まな板上で、まっすぐ伸ばす。
- エビをバッター液に浸した後、たっぷりのパン粉を、全体を包むようにして、しっかりつける。
- 油を180℃程度にあたためる。(温度の確認のしかたは、前の項目を参照)。
- 180℃の油にエビを投入。衣が固まるまでの数秒は触らず、強火で加熱する。
その後、20秒を目安に、ゆらゆら揺らしながら揚げる。
(加熱時間が短いので、一度にたくさん入れるのではなく、2~3尾ずつ揚げると調理が楽です)。 - エビは、油から出したらバットに立てて置き、余熱で3分ほど蒸らす。
☆アジフライの場合は、加熱1分、余熱3分が目安です。
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